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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第11章、更なる上を目指して
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新しいお客様

耶麻は相変わらず元気そうで安心した。

そのまま俺達はひとまず文月山を巡り、ある程度顔を見せた。

そして、いつも通りの修行を再開する。

それ以降は実に今まで通りだった、強いて言えば山に行く頻度が増えた程度だ。

そのまま時間は進む、茜は必死に修行を続け、かなり実力を付けてきた。


「うん、結構成長したな、茜」

「ありがとうございます!」


茜の太刀筋は今まで以上に精密になった。

一撃は的確に相手を斬り裂く、そんな早業もこなせるほどに。

茜が本気で修行を始めてからの成長は目を見張る物がある。

それに負けじと当然、水希の成長も凄い。

たまに水希の修行風景を見るが、動きが読みにくくなっていた。

完全なる茜対策だが、動きを読めなくするのはいかなる戦いでも重要だ。

茜と言うその対策が必要な相手の中でも最上位の存在。

その茜を攻略出来れば、大半の相手は圧倒できるだろう。

多分、今の水希にはイーリアでも苦戦は必至だ。

攻撃も防御も読みも成長した水希だからな。


「修行、この上なく順調なようで安心しましたよ」

「そうだな、そっちはどうだよ、恋歌は成長したか?」

「まぁ、戦闘面ではお2人に見劣りはしますよ?

 ですが、戦術面では恐らく相当成長しているかと。

 とりあえず、作戦の立て方等の戦術的戦闘術を熟読させました」

「結局修行も勉強なのね」

「勉強は大事ですよ、どんな時でもね、そう思いますよね? 御園 時江さん?」

「いや本当、よく今来るって分かったね」


あまりにも早い登場だった、御園 時江、過去時雨が話していた

結界外に取り残されている神社の神、料理を司る神、御園 時江。

結界の展開速度が速くなったとは言っていたが、ここまで早いとは予想外だ。


「こいつが時江? 料理の神…しかし、随分と早い登場ね。

 まだ時雨がこっち合流して1年も経ってないわよ?」

「えっとまぁ、あたしも一応信仰は集めてたから、一応人が過せるだけの

 結界は発展してたんだ、だから早く四宮の結界と合流出来たって事かな

 それで…そのお方が四宮の神で? やはや、格好いい御仁で」

「敬語…下手だったりします?」

「ま、まぁまぁ下手かな…使わないし」

「と言うか、わざわざ敬語を使う必要は無いぞ?」

「いやしかし、流石に主神様に敬語も無しというのは、礼儀としてぇ」

「私は1度も圭介に敬語は使ってないのだけど」

「礼儀がなってないですね、軍人のくせに、軍の神のくせに

 規律がなってませんよ? 上下関係崩壊ですよ?」

「あぁ!? 仕方ないじゃ無いの! 何か! 敬語で話しにくいし!」

「どう言うことだよ、上っぽく無いって事か?」

「ま、まぁ、言っちゃえばそう言う…事かしら」


それってどうなんだろう、親しみやすいという風に捉えるべきなのか。

それとも俺に威厳が無いと取るべきなのか、まぁ、実際威厳は無いだろう。

と言うより、こっちに来るまでは万年平社員だったし。

と言うよりだ、神としての経験とかは向こうの方が上な訳だしな。

威厳とか無いだろ、いきなり主神になったって言う、訳の分からない立ち位置だし。


「やれやれ、容赦の無い言葉ですね、圭介さん泣きますよ?」

「いや、分かりきってる事で無くかよ」

「まぁ、そうですね」

「そこは否定しないのか」

「事実ですし」

「イラッとした」

「すみません」

「え、えっと…その…とりあえず圭介さんが主神様、四宮の神で

 こちらの方は軍神様…と言う事で? お名前は…」

「山明 時音、山の神社の神をやってるわ、言った通り軍神よ。

 戦いに関する事なら、大体出来るわ、よろしくね」

「では、聞かれてないですが私も自己紹介と生きましょう。

 私は礼奏 時雨、叡智の神です、礼奏神社の神をやっています」

「でまぁ、俺が四宮 圭介、四宮神社の神だ、全能の神らしいけど

 いまいち自覚が無い、いきなり主神になったから、純粋な神じゃ無いんだ」

「そうなんですか!?」

「えぇ、圭介さんは転移、異世界より四宮の神として召喚された神です。

 恐らく、力を失った四宮の神と偶然融合し、こっちに来たと言う形でしょう。

 彼の巫女、四宮 茜が呼び寄せたという可能性もありますがね」

「な! 巫女にそんな力が!?」

「何処までも純粋な奴でね、案外あり得るかなって、才能も突出してるし」

「ほぅほぅ、それはそれは」

「巫女としての才能は恐らくその四宮 茜が最も高いと思いますよ。

 とは言え、そんな事を言われても誰か分からないでしょうが。

 ですが、丁度ここは四宮神社、すぐにその姿を見れますよ」

「和菓子を持ってきま……え?」


丁度茜がこっちにやって来て、時江を見て一瞬硬直した。

そして、少しして盆を見て、何かに気付いた後急いで台所へ走った。


「…彼女が四宮 茜です」

「え!? 何であたしを見て台所に!?」

「多分お前の姿を見て、菓子と茶が足りないと気付いて戻ったんだろ」

「いやいや、普通は何であたしがここに居るかを気にするべきじゃ…」

「おもてなしその物、みたいな子ですしね」


そして、すぐに茜が人数分のお茶とお菓子を盆にのせて戻ってきた。

で、菓子のグレードが何段階も上昇してる気がする。

流石に初めてのお客様にいつも通りのお菓子は不味いと判断したのだろう。


「ど、どうぞ…」

「あ、ありがとう」

「そ、その、お客様が来ているとは知らず、申し訳ありません!」

「まぁ、普通は分からないと思うけどな、神とか何処でも移動できるし」

「……」

「あ、あれ?」


おっと、時江が茜の持ってきたお菓子を見て表情が変った。

あれは、品定めをする目だ、料理の神だからな。

和菓子を見て、その血が騒いだのだろう。


「……この団子」


時江が最初に目を付けたのは花木特性の多種多様5段団子だった。

その独特な色合いは食欲をそそる物では無いかも知れないが

味を細かく分けることが出来る妖怪には非常に好評の団子である。

そして、その隣にある、団子屋では変えない愛情たっぷり真兎団子も見ていた。

愛情たっぷり真兎団子は、花木が四宮神社にやってくる際に持ってくる団子だ。

最高の食品を使った最高品質の団子、この団子の味は他の追従を許さない程美味しい。


「何々? 料理人の血でも騒いだ?」

「失礼…あむ…む! この団子! これだけ小さな団子に

 これだけ多種多様の味わいを乗せてきて、なおかつお互いの味を殺し合ってない!

 人間は上手く分ける事が出来ないかも知れないけど、妖怪や神ならばこの味と

 この分量の素晴らしさが分かる、まさしく妖怪と神のための団子!

 そして、こっちは…む! お、美味しい! この団子粉!

 なんて舌触りが良い! 団子だけでは無く、他の料理にも応用が出来そうなほどに上質!

 そしてこのほどよい甘み! 口に入れた瞬間、自分の方が包み込まれるような

 この優しい味わい、そしてこの安心感はまさしく愛!

 料理は愛情! この団子には、その愛情がぎっしりと詰っている!

 愛情も感謝もあらゆる優しい気持ちが込められていると分かる!

 こ、これほどにまで上品で上質な団子を作れる存在が居たとは…!

 だ、誰がこの団子を!?」

「えっと、花木さんです、兎の妖怪の…」

「よ、妖怪!? 妖怪がこれほどの料理を…!?」


正確には花木達化け兎連中なんだけどな。


「今すぐあって礼を言いたい! 美味しい団子をありがとうと!」

「花木…まさか料理の神の舌さえも唸らせるとは」

「美味しいのは間違いありませんしね、もぐもぐ、あら、優しいお味

 団子屋で買ったときよりも美味しい気がします」

「まぁ、四宮神社に持ってくる団子は特別製だからな、花木も動いてるみたいだし」

「はぁ、四宮神社の特別扱い凄いですね、

 それだけ彼女達はあなた達に恩を感じてるのでしょう」

「その妖怪は何処に!?」

「え!? い、今は人里でお店をしている頃かと…」

「人里で!? 妖怪が料理を人に振る舞う…

 そんな事が四宮結界の中では出来ているとは!」

「四宮結界って言うんだ、あの結界」

「四宮の神が作り出してる結界だし、四宮結界なのは無難ね。

 でも、正確には私の信仰の力も影響してるけどね」

「私の信仰もですね、まぁ、それらを含めても四宮結界で良いでしょう。

 主神、四宮の神を中心とした神々の結界なのですから」

「何処!? 何処の団子屋が!」

「え、えっとぉお! き、きっとそろそろ四宮神社にぃ~!」

「今すぐ礼を言いたいから場所を教えて欲しい!」

「に、人間の里、中央通りを歩いて、8つめの曲がり角で曲がって

 少しまっすぐ行ったところに! 兎の、兎の団子屋さ」

「ありがとう! 行ってきます!」


…そのまま嵐の様に四宮神社から飛び出した。

彼女が飛び出した後には目を回す茜が座っている。

まぁ、がっしり掴まれて全身揺すられたらああなるよな。


「…帰ってくるまで団子を食べましょう」

「そうね」

「茜、大丈夫か?」

「だ、大丈夫です……あ、でもちょっと気持ち悪いかも知れません…」

「あら、この芋羊羹も美味しいわね、誰が作ったの?」

「き、キキちゃんが」

「こっちの栗羊羹は?」

「キャンちゃんが…お、お料理対決をしてたそうで…」

「どっちも美味しいですね、あの子達、料理も出来るとは意外です」

「あいつらも結構頑張ってるからな、茜が体調を崩したときは助かったよ」

「はむ、美味しい、菓子が無くなるまでに帰ってくるかしら」

「どうでしょうね」


とりあえず、あいつが帰ってくるまでのんびりとくつろぐか。

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