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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第11章、更なる上を目指して
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燃え上がるやる気

案外くだらない事、他人から見ればくだらないと思えることで

本人は俄然やる気が出る物なんだな。

茜が必死に修行してる姿を見て、そんな事を思った。

今日も必死になって階段を使った修行をしている。


「はぁ、はぁ」


階段を登り切り、鳥居の前で汗を流しながら息を整えようとして居る。

3月、程よく暖かくなり始めた時期だからか、凄い汗が流れている。

息を切らし、ゼーハー言ってる茜の足下は茜が流した汗で少し濡れていた。

足下があそこまで濡れるほどに、茜は汗をかいていると言う事だ。


「ま、まだまだ!」


茜が額の汗を拭い、再び前を見て大きく叫んだ。

表情に疲れの色は見えているが、やる気は一切色あせては居ない。

やる気に満ちあふれているというのはこう言う状態なのだろう。

俺はあまりやる気を出すという事が無かったからな。

仕事とかにやりがいを感じる事も無かったし、茜が羨ましく思える。

自分がやりたいと思ったことを集中して出来る茜が。


「あ、でも、そろそろ家事をしないと!」


そして、四宮の巫女という役職にも全力を注いでいる。

茜はこの仕事までもやりたいことなのだろう。

ここまで至ることにやる気を出せる茜は本当に凄いと素直に思うよ。

巫女の仕事も、神社の家事も、辛い修行も、茜は全て全開のやる気を出している。

まさしくやる気の塊だな。


「ふぅ、急いで着替えないと!」

「茜、休まなくて良いのか? 少しは休むべきだと思うぞ?」

「大丈夫です! 私、まだまだ体力ありますから!」

「やる気ってのは、たまに感覚を麻痺させるからな

 やる気のお陰で大丈夫って思えてるのかも知れないけど

 実は結構身体は辛いかも知れないぞ? 何かあってからじゃ遅い。

 お前のやる気には感服するが、無茶は駄目だぞ?

 少しは休め、休むのも大事な修行だ、身体が壊れちゃ意味が無いんだから」

「分かりました、着替えた後、少し休みますね」

「あぁ、それが良い、俺としてもお前に身体を壊されると面倒だからな」

「あはは、圭介様にご迷惑を掛ける訳にはいけませんよね、ありがとうございます」

「ん? 何でお礼だ? 俺は自分の為にお前に文句を言っただけだぜ?」

「ふふ、圭介様が私の事をよく知ってるのは分かってます」


まぁ、お互い、全部お見通しという感じかな。

茜は基本、自分をないがしろにするタイプの性格だ。

あなたの為を思ってと言われたら、迷惑を掛けたと感じるだろう。

なら逆に俺が自分の面倒を避けたいからと言っておけば

茜は自分のわがままで俺に迷惑を掛ける訳にはいかないと思い大人しく受入れるだろう。

だから、俺は茜に対し、お前の為に言ってるんだ、と言う言葉は殆ど使わない。

茜も既にその事を見抜いていたのだろう、そりゃな、茜の観察眼は凄まじいしな。

そんな茜が、最も長く一緒に居る俺の事を分かって無いとかあり得ないだろう。

ま、俺も茜の事は全部お見通しだ、性格も分かってるし、行動も分かる。

1番長く一緒に居る相手だ、分からないとか恥ずかしい。


「…ありがとうございます、いつも私の心配をしてくれて」

「お礼を言われることじゃないって、当たり前の事だ。

 でもまぁ、そう言う言葉を聞けるのは嬉しいけどな。

 ほら、部屋に戻って服着替えてこい、汗でびしょびしょだぞ?

 最悪透けて、下着とか見えても知らねぇぞ?」

「あはは、それは嫌ですね、急いで着替えてきますね」


茜は笑顔のまま神社の中に入り、自室に戻った。

あいつはすぐに自分の事を忘れるからな。

何よりも身近にあって、何よりも大事である筈の自分自身を。

他人を第1に考えすぎて、自分の姿すら見えていない。

本当、かなり危険なタイプと言えるだろう。

でもまぁ、茜の周りには見守ってくれてる色々な奴が居る。

だから、茜が1人で何かを背負うことは無い、1人で背負おうとしても

きっと何処かの世話焼きが勝手にその荷を一緒に背負うだろう。

そんな連中達に囲まれてるんだ、あいつは大丈夫だろう。


「…少しは素直に言う事を聞くようになったな、茜も」

「茜は最初から素直だろ? 刀子、お前と戦ったときもな」

「ありゃ、素直というかわがままだと思うけど…

 でも、そのお陰で私はここに居る訳だが」

「そろそろ、お前も安住の地とか探さねぇの?」

「ここ以外に安心出来る場所があると言うのか?」

「早々無いだろうな、騒がしいけど、安心出来る場所だからな」

「あぁ、それに私は長くここに居すぎた、今更何処かに行けと言われても

 行き先なんて見付けられはしないって、放浪の旅に出ることになるな。

 人斬り刀子様の再臨って感じになるかもな」

「馬鹿言え、お前は1度も人を斬ってないだろう?」

「い、いや、斬った! 斬ったはず!」

「報告は聞いてないがな」

「ま、まぁ、結局妖怪化して、あっさり退治されたしな

 結構格好付けたと思うけど、さっくりと…」

「あの頃の茜に負けたって酷いよな」

「あれは武器が凄まじかっただけだ!

 擦っただけで妖怪の力を奪うとか強すぎる!」

「俺が作った剣だし、まさに妖怪殺しだ、殺しはしないけど」

「ま、まぁ、今の私ならそこそこ強いと思う、鍛えたし」


睦月が消えた後、刀子も鍛えてたからな、そりゃ強くなる。


「今の茜と戦ったら勝てそうか? 茜は普通の剣で」

「どうかな、良い勝負は出来ると思うが…正直、今の茜は強すぎるからな

 相手の動きを的確に予想できて、些細な動きで動きを完全把握。

 更には正確に的確な反撃も行えるし、死角も的確に狙える。

 実際、茜に勝つには、力で抑えるしか無いと思うな。

 技はまだ粗いけど、それを完全に補助出来るだけの予想能力がある。

 予知と言っても過言では無い程の予想能力が」

「茜の最大の強みだな」


しかしまぁ、こう、茜を褒められると

自分が褒められたかのような、そんな喜びを感じる。

いや、自分が褒められるよりも嬉しいかも知れない。

茜の成長、本当に見てて嬉しいよ。

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