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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第11章、更なる上を目指して
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ライバル同士の戦い

何も障害物が無い平原での戦い。

勝敗を分けるは己の技術のみ。

攻撃特化の水希対防御特化の茜。

水希は茜の守りを崩せるのか、茜は水希を制することが出来るのか。

実力は五分五分、この戦いで出てくる差は俺達神々が短期間で叩き込んだ技術。

この戦いは茜と水希の戦いであると同時に、俺と時音の戦いでもあった。


「戦いの決まり事は単純よ! 30分以内に水希が茜の防御を崩せなければ

 茜の勝利! 水希が茜の守りを崩せれば水希の勝利よ!」

「おいおい、茜がいつまでも守るだけだと思うか?」

「…はい、私は水希ちゃんの攻撃を耐えるんじゃ無い…

 水希ちゃんを倒します」

「へへ、そう来なくっちゃ」


2人の表情には真剣な表情が勿論ある、だがそれ以上に前に出ていたのは

笑顔だった、2人は自分の訓練に確かな手応えを感じていて

今、目の前にいる相手を最大の好敵手としてみている。


「この戦いは、2人が満足いくまでするべきだ」

「……良いでしょう! 正し最低限の決まりは守って!

 まず第1に、相手を殺す事は禁忌、絶対にしたら駄目よ!

 次! 武器の使用は自由だけど、本物は駄目よ!

 次! 手心は無し! 本気で戦いなさい!

 次! 怪我をしても相手を決して恨んだら駄目よ!

 最後! 自分が満足するまで全力でやりきりなさい!」

「はい!」


茜と水希が同時に力強い返事をした。


「じゃあ、始めましょうか…構えなさい!」


茜と水希が同時に構えた、茜の武器は木刀、剣術を使った戦闘スタイルだ。

当然、茜の全力は剣を持ったときに発揮される。

素手だろうと戦う事は可能だが、そっちは茜本来の戦い方じゃ無い。

水希は拳だ、ただ単純に拳のみ、しかしながらその両手には

小さな模擬刀が握られていた、拳だけでは無く、刃も使う戦いか。

素早く相手を翻弄し、確実な一撃を叩き込む戦い方。

だが、水希の確実な一撃は刃による一撃では無く

拳による一撃になる事は想像に難くない。


「始め!」

「はぁ!」


2人は同時に動く、しかしながら、初動は水希の方が上だった。

水希は軽快な動きで相手を翻弄し、確実な攻撃を叩き込むタイプだ。

前、イーリア達の負けた際には大剣を使った戦いだったから

その最大の持ち味を生かせず、結局は負けた。

だが今回は短刀でその長所を最大限利用している。


「それ!」


正面からいつも通り真っ直ぐ攻撃をしてくるかと思ったが

そうでは無く、わざと茜の視界から外れ、死角へ動いた。

茜の死角に入ったと認識したのか、水希はすぐに茜へ攻撃。


「戦い方が違うね、でも、足の動きで予想は出来てたんだけど」


だが、茜はその行動を既に読んでいたらしく、素早く水希の攻撃を受け止め弾いた。

同時に水希はもう一方の刃を茜に向け振り下ろす。


「あた! うぇ!?」


だが、茜はその攻撃を水希が当ったと誤解するほどにギリギリで回避。

そしてすぐに水希へ強烈な一撃を叩き込んだ!


「うぅ!」


その一太刀は素早く鋭く、そして重かった、水希は辛うじて短刀で防いだが

もし防いでいなければ、1発でKOだっただろう。

真剣なら、真っ二つに斬られてもおかしくなかったかも知れない。

それをギリギリで短刀で防いで軌道をずらすのは流石だな。

だが、流石に防いだ腕が痛いようで、ちょっとだけ腕を回している。


「こ、こんなに速くなってるなんて思わなかったよ」

「ふふ、ありがとう、水希ちゃんも流石だね、前までとは戦い方が違って

 少し読みにくいし、完全に不意を突いたと思ってた私の反撃も防いじゃうなんてね」

「茜、あんなに成長したのね…」

「私も頑張らないと茜に負けてばかりになりそう…姉として、それは不味い」

「なんや、藜は茜の修行、参加してへんかったんか?」

「いや、参加はしてましたけど…」

「まぁ、難易度高いし、茜と藜は戦い方が違うから大丈夫よ。

 でもまぁ、問題はやっぱり私達よね、水菜」

「せやな、このままだとうちらも追い抜かれるで、危機感持たな」

「修行、参加した?」

「まぁな、結構辛かったけど」


あれでもまだ追い抜かれていないという自信があるというのは流石だな。


「ケロ…茜の反撃、超怖いケロ…」


茜の反撃は圧倒的と言っても良い程に速い。

相手の行動を読む茜とカウンターの技は相性抜群と言える。

茜の反撃を避けるには、茜さえ読めないほどに特異な動きをするしか無い。

ましてや茜と長く一緒に居る相手なら、癖を完璧に読まれているのだから

今までとは違う動きと言えるほどに行動を変えないと厳しいだろう。

だがまぁ、それでも短期決戦を仕掛けない限り茜には敵わない。

茜は戦いながらも相手の動きを把握し、より相手の動きを把握するだろう。

茜は同じ相手と長く戦えば戦うほどに強くなるからな。

それらを考えて、茜と何度もぶつかってる筈の水希が

ここまで茜と互角だというのは、実は相当凄いといえる。

茜は既に水希の戦いの癖が分かってる筈。

それなのに互角と言う事は、細かい所を意図的にか無意識に変えていると言うことだ。

そして恐らく俺の予想では…意識してでは無く、無意識に行動を変えていると予想する。


「うりゃ! うりゃりゃ!」

「やっぱり速いね、それに攻めが一定じゃ無い」


水希の行動は急激に変わり、素早く連続で茜をせめた。

茜は水希の攻撃を受け止めるので精一杯で反撃が出来ていない。

この短期間で戦い方を変えた、そんな芸当、並の人間にゃ出来ない。

そのまま攻防戦は続き、お互い有効打を与える事が出来ず1時間。

普通はそろそろ体力の限界が来る時間だろう。

と言うか、もう過ぎてるはずだ、並の人間が

全身を全力で使った運動を1時間以上も連続で出来るとも思えないしな。


「い、いつ決着が着くケロ…」

「一進一退…決着が着きそうに無いよ」

「うぅ、こう言うとき、どっちを応援すれば良いんだよ…」

「両方頑張れー!」

「人間さんも凄いわね~」

「あの2人は特別だと思うよ~?」

「…はぁ、はぁ、はぁ」

「ふぅ、ふぅ、はぁ…やっぱり茜、凄いや、こんなに攻撃してるのに

 完璧に当った攻撃は1度も無いなんて」

「何度か擦ったりしてるけどね、流石水希ちゃんだよ。

 ずっと戦ってるのに、次にどんな行動をしてくるか読めないもん」

「なら、あたいは最後の最後! 残った全部の力をこれに賭ける!」

「その全力、私も全部を賭けて受け止めるよ!」


茜は剣を斜めに構えた、四宮剣舞において、最後の一幕での構え。

一瞬で相手の攻撃を防ぎ、弾き、瞬時に相手の急所を裂く。

全身全霊、最大レベルの集中が必要となる構え。


「ふぅ…」


水希は体勢を低くし、左手の短刀を前へ出し下へ降ろす。

右手の短刀は背後に下げ、僅かに上げている。


「うりゃぁああ!」

「はぁああ!」


戦いにおいての最後の一瞬、基本的にその瞬間というのは見えず

お互いが距離を取った後に結果が分かる場合が多い。

でも、俺には見えた、全部の瞬間が、何がどうなったかが。

水希の左手に持つ刃を茜が刀の柄頭で動かしずらす。

すぐに水希が右手に持つ刃での反撃に出るが、茜はそれを

剣を振り上げると同時に弾き、一気に振り下ろした。

だがその瞬間、水希は柄頭で逸らされた短刀捨て構え直し

茜の胴を殴った、同時に茜の一撃は水希に打撃を与えた。


「うぁ!」

「うぐぅ!」


茜は吹き飛ばされ、水希はその場に叩き付けられる。


「…ど、どうなったケロ!?」

「同時に攻撃…こうなると、起き上がった方の勝ちだけど…

 残念ながら両方気絶…よってこの勝負、引き分けね」

「う、うぉおお! スゲー! 何か知らないけど超スゲー!」

「ケロ…これは唖然ケロ」

「決着付かなかったね~、予想通りだったけど~」

「あの2人の実力は互角だし、仕方ないかな」

「でも、初期の決まりだと、水希の負けなのよね、私は負けを認めるわ」

「お前が認めても、本人達が認めないなら意味ないぞ?」

「そうね、でも、私とあなたの戦いはあなたの勝ちよ」

「それは嬉しいな、茜に感謝しないと」

「そうね、さ、急いで手当よ!」

「あぁ、全力のぶつかり合いだ、怪我も酷いだろう」


俺達は急いで茜たちの手当をし、四宮神社へ戻った。

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