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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、息抜き編、バレンタインのチョコレート
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ホワイトデー

時間の合間を縫って、少しずつ大福を完成させた。

今回作ったのはイチゴ大福、生クリームとスポンジでイチゴを包んで

凍らせ、求肥で包み、大福を作った。

茜ほどに苦労したわけでは無いが、茜に負けないくらいに愛情は込めたつもりだ。

そして、今日はホワイトデ-、イチゴ大福を作り、箱に入れた。


「ふんふふーん」


茜は神社の境内を鼻歌混じりに掃除をしていた。

今日は折角ホワイトデーだし、楽しんで欲しいからな。

修行した後にでは、疲労であまり喜べないだろう。

とは言え、茜は多分、どんな状況だろうと喜んでくれるだろうが。

しかしながら、休んでいいと伝えているのに

神社の境内を掃除しているという所から考えて

流石真面目な巫女だという風に思える。

まぁ、何だかんだで参拝客も多いからな。

境内が汚れるのは間違いないだろう。

とは言え今は、参拝できる時間を制限しているんだけどな。

流石に修行をしている間に参拝客が来ては、修行にならないからな。

参拝客が来る時間は巫女として茜は待機していて

その時間以外は修行に励むという形になってる。

参拝時間は10~12時、15~18時となってる。

一応、休みの曜日も設定してあって、大体火曜日は休みだ。

それでも参拝客は十分来るから忙しい物だ。


「茜、修行を休んで良いと言ったのに、仕事をするのか」

「あ、や、やっぱり何もしないって言うのはちょっと…あはは」


ま、茜はいつも何かをしてるからな、ただ休むというのはきっと

茜にとってはそれなりの苦行になるのだろう。

休みの時間に強制的に苦行を与えるのでは休みの意味は無いだろう。

だがしかし、今回はちょっと勝手や都合が違うがね。


「っと、茜、ちょっとこっち来い」

「はい? どうしました?」


茜は箒を持ったまま俺の方へ小走りでやって来た。

少し不思議そうにしている。


「茜、箒置いとけ」

「あ、はい」


俺の指示通り、茜は縁側に箒を置いて、手を腰辺りに移動させた。

手元にはあまり力も入っていない。

少し怪訝そうな表情をしてるが

リラックスをしていることになるのかね。

ま、それはそれでありがたいと言えるが。

茜なら見てそうだよな、こう言う細かい部分。

心理的状況を読もうとしてる感じかな、気遣いの達人である茜だし。


「っと、それじゃ、茜」

「はい」

「これをやろう」

「え!? こ、これは!?」


俺は茜にまぁまぁ苦労して作った大福を渡した。


「1ヵ月前のバレンタインのお返しだ、俺も愛情込めて作ったつもりだから

 まぁ、美味しく食べて貰えたら嬉しいかな」

「あ、あ、ありがとうございます!? い、一生大事にします! 家宝にします!」

「いや、食べ物だから、食べ物だから食べてくれ! 腐るのは困る」

「は! す、すみません、よ、喜びのあまり…ほ、本当にありがとうございます!」


本当に嬉しそうに俺が渡したプレゼントを大事そうに抱えてくれた。

スゲー嬉しいな、これ、プレゼントをして本気で喜んでくれるって。

しかも、茜は今、喜び以外の感情は抱いてないみたいだし。


「え、えっと、あ、開けてもいいですか!?」

「あぁ」

「あ、大福! もしかして、今まで作ってたのって!」

「そう、その大福だ、一応手作りでな」

「あぁ、わ、私の為に…うぅ、嬉しいですぅ!」

「泣くなよ、嬉し泣きでも、そう言うのは喰ってからで頼むぜ」

「は、はひ! うぅ、圭介様、本当にありがとうございます!」

「だから食べてからにしてくれ」

「はい、で、では、い、いただきます!」


茜は嬉しそうに俺が渡した大福をほおばった。


「あ、甘いぃ! あんこじゃありませんね! イチゴが入ってます!

 い、イチゴの周りにあるのは…な、何ですか!? 甘いの!」

「生クリームだよ、前にケーキの時に使ったろ」

「あ! あの甘い白い奴ですね! どうやって作るんですか!?

 わ、私も作ってみたいです! あの甘いの!」

「結構大変だからな、ま、それは後で良いだろう。

 今は食べてくれ」

「はい! あむ!」


満面の笑みを浮かべ、表情を緩めながら茜は俺が作った大福を食べてくれる。

目の前で自分が作った料理をこんな幸せそうな表情で食べて貰えるというのは良いな。

しかし、かなりがっついてるな、頬がハムスターみたいに膨れてて可愛らしい。


「おいひいれふ!」

「美味しそうに食べてくれるのは嬉しいが、食べながら喋るなよ」

「ごめんなふぁい!」


とか言いながら、やっぱり頬に大福を溜めながら謝罪をするんだな。

でもま、嬉しそうに美味しそうに食べてくれて俺は嬉しいよ。


「何々? 何だか凄く楽しそうな声が聞えたけど!」

「あぁ、サラ」

「茜殿が声を荒げるのは珍しいですじゃ」

「何かあったんですか?」

「うん! 聞いて! 圭介様が私の為に美味しい大福を作ってくれたの!」

「大福!? そう言えば、大福はあまり食べないね! 団子ばかりだったし!」

「花木殿がお団子をいつも持ってきてくれるから当然ではあるのじゃがな」

「美味しいからな、飽きないし、でも大福は珍しい…」

「しかもじゃ! ご主人が作ってくれた大福となれば!

 その価値は売られておる物では比較にならぬのじゃ!

 き、キキも食べたいのじゃ…しかしながら、その大福は茜殿への贈り物。

 き、キキ達が食べて良い物では無いのじゃ…」

「まぁ、全員分は一応用意してるんだ、茜のは特別極上の物だけど」

「あ、ありがとうございます!」

「茜様への贈り物ですし、わっちらへの分が下というのは当然ですね」

「むぅ! あたしも美味しいの食べたかったぁ!」

「これは茜が俺の為にチョコを作ってくれた分へのお返しだ。

 そりゃあ、力入れるよ、当たり前だろ?」

「だったら! 今度はあたしも圭介にちょこを渡す!」

「そりゃ楽しみだな、だがそれは来年までお預けだな」

「何でぇ!?」

「もうチョコレートを渡す日は過ぎちゃったからね」

「むぅ! でも、美味しい物を食べられるなら、あたしはいいけど。

 でも、やっぱりもっと美味しいのを食べたいから、次はあたしも作る!」

「はは、楽しみに待ってるよ」


俺は全員分に作った大福を渡した、いい日になって良かったぜ。

美味しく食べて貰えて、俺は嬉しいよ。

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