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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、息抜き編、バレンタインのチョコレート
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お返しを考えて

バレンタインのチョコレートは本当に美味しかった。

当然、その茜の努力や愛情に対しお返しをせねばならない。

バレンタインのお返しは3倍とか聞いたことがあるが

当然だが、3倍返しなど造作ない。

つまりだ、茜が注いでくれた愛情の3倍以上を注げばいい。

大事な巫女への愛情だ、3倍はあるだろう。

だが、茜が俺へ送った愛情の底も知れないから

こっちも自分が注げる最大の愛情を注ぐしか無いだろう。

正直、俺は神という立場だし、その気になれば色々と召喚出来る。

だが、その様な手で作った物に果たして愛情はあるのだろうか?

否、材料だけならまだしも、その物を召喚したというのであれば

その場に愛情など存在しないだろう。

バレンタインに買ったチョコレートを渡すと言うのはよくあるが

そこに愛情があるかと言われると、少し疑問符はある。

とは言え、かなり苦労するし、仕方ないとは言えるがな。

現に茜はチョコレートを作るために70時間を超える時間を要した。

そこまでの時間を消費してまで手作りチョコレートを渡すのは非常に苦戦するだろう。

あれは茜の強靭な精神力があったからこそ出来る物であって

ただの人間が早々出来るような芸当では無い。

あそこまでの精神力と行動力、茜にしか無いだろう。

しかも茜はホワイトデーの存在を知らない、完全に無償だと考えての行動。

あそこまで全力なのが茜のいいところであり、悪いところでもあると言えるのだろう。


「さて、どうするか」


やはり色々な条件があるから、考えるのが大変だな。

ただ召喚するだけでは味気ないからな。

確かホワイトデーのお返しは…マシュマロだとかクッキーとか

そんな感じの多種多様なプレゼントだと言える。

その事を考え、なおかつこの状況でやるとする場合の無難なところが

とりあえず団子なんだけど、これは正直花木が得意だし、目新しさも無い。

大福とか、そう言うのでも作ってみるか?

まぁまぁ作るのに苦労しそうだ、いや、作る事は造作ないんだが

どう渡すべきかという感じだな。

とりあえずは大福を作ってみよう。


「とりあえず…まずは餅だな」


確か大福の皮は白玉粉に砂糖と水飴を加えて煮つめながら練り上げた菓子…

確か、求肥…だっけ? それを使ってるんだよな。

ひとまず俺は曖昧な知識を利用して、求肥の材料を買いに言ってみた。


「あっと…」


ひとまずバレないように性別を女にして街へ出た。

やはり神である俺が当たり前の様に里に居てはありがたみに欠ける。

この姿を知ってるのは四宮神社の常連ばかりだからバレハしない。

ひとまず、水飴と白玉粉を探すかな、砂糖は神社にあるし。


「んー……」


しかしまぁ、里にあまり出てないから、何処にどんな店があるか分からない。

一応、茜からある程度の位置は教えて貰ってるが、やっぱり実際歩くと違うな。


「…しかし」


何かスゲー見られてる気がするんだよな、格好変か? 変化したときに

服装も同時に変化するんだし、極めて普通の格好なのでは?

ちゃんと和服だし、そこまで派手という訳でも無い。

茜が元とは言え、服装は巫女服では無いから目立たないだろうが。


「あの人、綺麗……」


…あぁそうかそうか、そう言えばそうだったな。

考えてみれば当たり前だった、神はそもそも憧れの象徴だ。

当然、女の人は絶世の美女だとか、そう言うのに憧れるわけだし

今の俺の容姿は絶世の美女だと言う事なのか。

そりゃ目立つ…かといって、姿を見せて歩くというわけにもいかないし。

だが、これはこれで目立つしなぁ…


「…こっちこっち」

「ん?」


里をウロウロしていると、小さな声で俺を呼ぶ声が聞えた。

その方向を見ると、そこには花木の姿があった。

あぁ、俺の姿を見て、俺が圭介だと理解したのか。

花木にはこの姿は見せてあるしな。

ひとまず俺は花木の方へ移動した。


「やぁやぁ圭介~、里に下りてくるなんて珍しいね~」

「あぁ、と言うか俺としてはお前が買い物をしてるのが意外なんだが」

「あはは~、時音に強制労働されて、少しくらいはやらないとな~と思ってね~」

「それで買い物か」

「そう言う事だよ~、それで~、圭介はどうして~?

 その姿で歩くのはまぁ、分かるんだけどさ~

 でも~、やっぱり目立つというか~」

「やっぱりそうか?」

「まぁね~、その姿の圭介は絶世の美女だからね~

 茜を更に大人にした感じだからさ~」


うん、そう言われると、茜は将来的に絶世の美女になると言うことか。

嬉しいんだけど…少し心配でもある。


「っと、まぁ俺が里をぶらついてるのは、買い物をしたくてだな」

「ん~? 茜におつかいさせればいいのに、どうして~?」

「いやな、茜へ贈り物をする為の買い物だからさ」

「ほうほう~、何かあげるの~?」

「あぁ、1ヶ月ほど前にチョコレート食べただろ?」

「うん~、美味しかったよね~、作ろうと思ったけど~

 どうも普通は出来ないって言われてがっかりだったよ~」

「そうそう、で、そのお返しをする為に買い物をだな」

「ん~? 圭介なら出せるんじゃ無いの~?」

「いやいや、やっぱり出来るだけ買って作りたいからさ

 でも、あまり店が分からなくて」

「へぇ~、じゃあ、私が案内するよ~、何が欲しいの~?」

「お、それはありがたいな、じゃあ説明するけど。

 白玉粉、水飴、後イチゴ、牛乳大量かな、小麦粉とか鶏の卵も欲しいけど

 …神社の分で出来るか不安だしな」

「はいはい、分かったよ~」


俺は花木に案内して貰い、準備に必要な材料を買った。


「これでよしっと、ありがとな、花木」

「いやいや~、それじゃあ~出来たら私にも頂戴ね~」

「はいはい、分かったよ、お前も団子屋頑張れよ」

「あはは~、任せてよ~」


花木に別れの言葉を告げた後、俺はその場から転移し神社に戻った。

そして、とりあえず和菓子作りを開始した。

しかし、和菓子なんて興味が無いけど、そう言う知識があるのは

やはり神としての能力なのだろうな。

全能の神だから料理も出来るはずと言う考えからそれを把握したと。


「っと、これで」


中々に曖昧な知識ではあったが、何とか完成させる事が出来た。

結構曖昧な知識でも出来るんだな、いや、俺が神という立場だからかな。

とは言え、これで大福を作ったところで、やはり目新しさに欠ける。

とりあえずだ、大福の材料としてイチゴを買ってきたから

こいつを利用しよう、雪見大福のイメージが強かったから

何か欲しかったんだよなぁ。


「っと、次はスポンジ」


卵をかき混ぜ、砂糖と小麦粉を使い、オーブンで焼くんだよな。

一応、オーブンってあったと思うから大丈夫だろう。

で、その間に生クリームだ、牛乳を使って作ろう。

確か、バターとかと組み合わせればいいとか聞いた気がするが

残念ながらバターなど無く、完全に牛乳で作るしか無い。

1度、クリスマスの時に作った記憶があるが、今回は正攻法でやろう。

細かい調整をして、上手くかき混ぜ生クリームを作る。

こっちに来る前、転移前の世界だと出来ないだろうけど

こっちならあまり技術も進んでないから出来た。

ふぅ、最悪の場合の召喚を使わないで済んだ。

あの手段でやるのも、何か負けた気分になるしな。


「あぁ、そろそろかな」


そろそろ茜が料理を作りに台所に来る時間だ。

ひとまず今日はここまでで保存して、夜間に作るか。


「あ、圭介様、何か作ってたんですか?」

「あぁ、ちょっとな」

「お料理は私にお任せください! 頑張って覚えたんですから!」

「あぁ、分かったよ…楽しみにしてるよ」

「はい! でも圭介様、何を作ってたんです?」

「さぁ? 何だろうな」

「えー、何ではぐらかすんですかぁ!」

「まぁ、楽しみにしてろ」

「むー…」


さて、しばらく時間が掛りそうだが、茜を喜ばせるためだ、大した苦労じゃ無い。

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