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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、息抜き編、バレンタインのチョコレート
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愛情たっぷりチョコレート

時雨と時音の巫女大好きトークを聞いてる間に

いつの間にかそこそこの時間が経っていた。

この時間で分かったことは、こいつらは巫女が大好きすぎると言う事だ。


「圭介様圭介様!」

「ん?」


俺が少し呆れながら2人の話を聞いていると

後ろの方から楽しそうな声が聞えてくる。

その声が茜の声だと理解するのに時間など掛らない。

茜の手には小さめの箱があった。


「圭介様、私、頑張って作りましたよ! ちょこれーとです!」

「お、もう出来たのか」

「もうって…70時間経ってますよ、結構な時間だと思うんですがねぇ」

「いや、それが達成して、短い間で出来たという意味でしょう」


時音が言ってた方が、俺が言いたかった方の言葉だ。

実際、70時間も混ぜた後、すぐにチョコを作るのは凄いと思う。


「頑張って美味しく作りました!」


茜に尻尾や耳などは見えない、そもそも純粋な人間にそんな物は無い。

だが、今の茜はなんかこう、尻尾が見えてる感じがする。

その尻尾が小刻みに左右に動いて、耳がピョコピョコしてるように見える。

所詮イメージ映像なんだけど、凄く可愛いと感じた。


「食べてください! えへへ!」

「ありがとうな」


俺はワクワクしている茜からチョコが入っていると思われる箱を受け取り

こっちも少しワクワクしながらその箱を開けてみた。

箱の中には綺麗に整ったハートの形をしたチョコレートが入っている。

チョコレートの真ん中には圭介様へと書いてあった。

書いてあったと行っても、クリームなどで書いたわけでも

その場所だけ色が違うという訳でも無く、綺麗に僅かに彫られていた。

太さから考えて恐らく、包丁で傷を付けて書いたのだろう。

少し字が震えている様に見えるしな。


「おぉ! こりゃ凄いな!」

「はい! 頑張りました! 美味しく食べてください!」


凄いのはそこだけでは無く、このチョコレートがハート型と言うことだった。

基本、チョコレートの形はハートの型を使って作るのだろうが

この世界にそんな物は無い、つまり茜はチョコレートを上手く扱い

ハートの形にして冷凍庫で凍らせたと言う事だ。

きっと、何度も試行錯誤されていると予想できる。

この完成した物は最も上手く出来た物だと言う事だろう。


「少しハートの形に苦労して、ちょっとギザギザしちゃいましたけど…

 い、1番上手く出来た物です!」

「あぁ、見ただけで分かるよ、お前の努力は…本当にありがとな」

「えへ、えへへ」


久し振りに茜の頭を撫でた、茜は幸せそうに笑い

少し恥ずかしそうでもあるが、かなり嬉しそうに見える。

何だか懐かしいような、そんな感覚を覚える。


「それにしても、なんでハートの形にしたんだ?」

「はい! 時雨さんがハートの形がいいと教えてくれまして!」

「へぇ、なる程」


ハートの形は前のトランプで説明したから分かったと言う感じかな。

結構前だというのに、かなりの記憶力だな、流石茜だ。


「えっと、それじゃあ食べてください!」

「あぁ」

「愛情も沢山入れました!」

「それも時雨から?」

「はい! チョコレートには愛情を入れるといいと教えてくれました!」

「へぇ、案外そう言う事も言うのね、頭固そうなのに」

「私も叡智の神とは言え女神、愛情くらいは知ってますとも」

「ふーん、ま、いいけどね…しかし圭介羨ましいわ。

 私も水希とかから貰えないかしら」

「バレンタインは基本、女の子が好きな男子にチョコレートを渡す日です。

 女同士に渡す、友チョコですっけ、そう言うのもありますし

 家族に渡す義理チョコという物もあったりしますが

 基本的には女の子が好きな男子にチョコレートを渡すのが主ですよ。

 因みにそのチョコレートは本命チョコと言うそうです」

「へぇ、じゃあ茜はどれ?」

「その中なら勿論本命です!」

「はは、そりゃ嬉しいな、ありがとよ、初めて貰ったぜ」

「えへへ、喜んでくれたなら嬉しいです!」


やっぱり自分の巫女って言うのは可愛いんだなぁ。

本当、娘を見ている様な感じだ。

この年齢でも慕ってくれるってのは本当に嬉しい。

父親冥利に尽きると言えるのかね、本当立派に成長して嬉しいよ。


「ささ、圭介様圭介様! 食べてください!」

「あぁ、頂くよ、でもまぁ、1人で食べるのは勿体ない気もするな。

 茜、お前も食べてみろよ、自分が頑張って作ったチョコレート

 絶対に美味しいぞ」

「え? でもこのチョコレートは圭介様の為に作ったチョコですけど…」

「俺が一緒に食べたいんだ」

「そ、それじゃあ、私もいただきますね!」

「あぁ」


とは言え、ハートのチョコを真ん中で割るのは非常に可哀想だし

チョコレートの丸めの部分を少し割って茜に渡した。


「いただきます!」

「いただきます」


俺と茜は一緒にチョコレートを食べた。

あぁ、程よい甘さだ、甘すぎず苦すぎない丁度良くなめらかな口当たり。

しかもだ、その甘さの後、ゆっくりと奥からミルクの優しい味が出てくる。

その優しい甘みはゆっくりと口の中に広がり、確かな愛情という物を感じた。

必死に努力して、試行錯誤をしたと言う事が分かる味わいだ。


「美味いな! 程よく甘いし、後からミルクの優しい甘みも出てくるとは」

「本当美味しいです! 頑張って作って正解です!

 圭介様も美味しいと言ってくれて、私も凄く嬉しいです!」

「く、食べたい…」

「わ、私も…」

「チョコレートは沢山作ったので食べてください!

 で、でも、そっちは失敗なんですけど…」

「それでも構わないわ、食べたいし、でも成功したのも食べたいわね…」

「このチョコは俺へのチョコだからな、我慢しろ」

「くぅ! 羨ましいわ!」

「まぁ、仕方ないのですけどね、失敗でもきっと美味しいですよ」

「ちぇ、まぁ良いわ、食べさせて貰えるんだし文句は言わないわ」

「皆さんも呼びましょう! 失敗作ですけどね」

「失敗作で騒ぐって言うのも、また変な感じだけど、別にいいか」

「どちらにせよ、皆さんにとっては珍味ですからね、美味しいことでしょう」


その後、茜は全員を呼び、失敗作だけどと前置きしチョコレートを振る舞った。

全員、そのチョコレートを美味しい美味しいと食べていたが

これで失敗作だと言う事は成功は…等と言う興味を抱いたみたいだ。

しかし、俺は茜から貰ったチョコレートは渡さなかった。

そう簡単にばらまく物じゃ無いだろうからな。

俺は1人だけ茜の最高の愛情と最高傑作を食べているという

優越感に浸りながら、今日1日を楽しく過ごすことが出来た。

本当、茜には感謝しないとな、当然こうなるとホワイトデーとか

俺もお返ししないといけないだろうな、1ヵ月後だが、考えておこう。

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