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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、息抜き編、バレンタインのチョコレート
217/251

茜の本気

茜がチョコレート作りを開始した。

しかしながら、1から作るとなると、相当苦労するだろう。

カカオ豆の問題が何とかなったとしても時間が掛る。

何か30時間とか言ってたし、そんなの連続で出来る時間じゃ無い。


「本当に始めるとは、何処まで本気なのでしょうか」

「茜は早々冗談は言わないし、多分最初から最後まで本気だぞ」

「30時間とか並の時間じゃ無いわよ」

「茜さんが1人で出来るはずもありませんね、協力を申し出るとは思います。

 しかし、どうです? 茜さんが1人で出来る限界時間はどれ程だと思いますか?

 私は精々10時間かと思いますが、流石に休まずにだとこれが限界かと」

「うーん…10時間は相当だけど、連続では無いなら15時間はいけるかしら」

「圭介さんはどう思います?」

「いや、うん…途中休みも入るというなら…茜が本気だとすれば30時間全部1人で出来る」

「……いやいや、流石にそれは無理でしょ」

「えぇ、確実に飽きますね、それは」

「普通は…でも、茜って本気になったらトコトンまでやる性格だからさ。

 途中で妥協はしないだろうと予想する。

 下手したら70時間やりそうだ、会話でさらっとそんな事言ってたろ?

 茜は徹底的にやるぞ、本気を出したらそこまでやる」

「流石に無いと思うけど…どうなのかしら」

「間違いなく休憩はするだろうがな、多分1週間以上掛けてやるぞ、あいつは」

「バレンタインの日は2週間後だったはずですが」

「やるだろうな、ギリギリまで、茜は挫折するけど諦めはしないから」


小さい頃、何度か挫折を経験して周りがサポートして立ち直った。

挫折を小さい頃に経験したってのは間違いなく茜にとっては大きいことだ。

そして、それを乗り越え成長したという経験も大きいだろう。

挫折をしても、あいつは何とか問題を解決しようと動く性格だ。

だがまぁ、その性格が今はどうでも良いチョコレート作りに向けられてるってのは

何か変な気分だが、とりあえず頑張って欲しいとは思う。


「確かに良い言葉よね、挫折はするけど諦めないって…でも、チョコレートよ?

 今はお菓子作りの話をしてるのよ? 挫折しても諦めないでお菓子作りって

 何かさ、そう思わない?」

「おいおい、お菓子作りに情熱を捧げて、何度も挫折する人間も居るんだぞ? 

 てか、茜は絶対にこのチョコレート作り、遊びで作ってないからな?

 最初から最後まで本気で作るぞ、あいつは間違いなく」

「でも、たかがお菓子作りじゃないの」

「間違いなくその言葉は料理の神に言ったら本気で怒られる言葉ですね」

「え? そ、そう?」

「勿論です、料理の神にとって、お菓子作りも大事な加護対象ですし」

「まぁ、お菓子作りも料理と言えば料理だしな」

「後、花木さんもお菓子作りで生計を立ててるわけでして

 お菓子作りって、大事なんですよ? お料理とかと同じで。

 それでもまぁ、チョコレートの為に70時間は異常だと思いますがね」

「茜はマジでやるんだって、本気になったら徹底だぞ、あいつは」

「いや、流石に協力を頼むはずですよ」

「じゃあ、勝負してみるか?」

「良いですね、負けたらどうします?」

「無難なのが1日言いなりになるとかだな」

「いやいや、それは私達からして見ればご褒美かも知れませんが

 圭介さんからして見れば、割とどうでも良い事でしょう?」

「なんでそう思う? いやまぁ、全くもってその通りだが」

「いやだって、その気になればここにいる全員を力尽くでいつでも言いなりに出来ますし」

「何かいやだな、それ」

「神々の主神ですし、力その物が桁違いですからね、私達2柱でも手も足も出ません。

 恐らく、他の2柱が参加しても無理です」


やっぱりえげつないんだな、俺の存在。


「じゃあ、どうするのよ」

「ここは負けたら1日巫女交換とか」

「1度やったわね、それ」

「やったな、あの時は巫女交換というか、神交換だったけど」

「さらっとやらないでください、因みに感想はどうでした?」

「茜、超優秀だったわ、でも、何か落ち着かなかったわね。

 やっぱり私には水希が丁度良いみたいだと感じたわ、圭介は?」

「同じくだ、やっぱり茜の方が安心出来るし落ち着く」

「やはりそうなんでしょうが、私は経験ありませんし」

「でも、その条件…俺に何の利点があるんだよ」

「……そうですね、やっぱり勝負は止めましょう。

 どう考えても圭介さんに利点がある条件がありません」

「いやまぁ、現状に満足してるしな」

「勝てたら得意げになる事が出来るって感じでどうですか?」

「勝負でも何でも無いが、まぁ良いだろう」

「では、始めましょう、茜さんは何処まで徹底しますかね」

「茜の主は俺だ、茜の性格は大体知ってる、舐めるなよ」

「さてさて、どうなることやら」




とまぁ、そんな勝負になった訳だが、結果は俺の勝ちだった。

茜は俺の予想通り、泣き言を言わず、家事をしながら隙を見て

チョコレートを作るために、ずっと台所へ入っていた。

やはり予想通り、合計70時間をすりつぶした。

2週間の時間を掛け、ギリギリで70時間を達成させた。


「これで! 後は時雨さんに言われたとおりに作れば完成です!」

「…何か言うことは?」

「本当にあの子は凄いです、尊敬するほどに凄いです」

「神から尊敬されるとは、茜も大した物だな」

「いや本当、これは素直に称賛するわ…本当すごい根性ね。

 私も尊敬しちゃうくらい」

「言ったろ? 茜は本気を出したら徹底するって」

「えぇ、しかも元気そうなのがまた凄い…」

「相当苦労したでしょうにね、2週間で完成って事は

 毎日5時間以上やってたって事よね」

「あぁ、家事もしながら修行もしながら

 休憩時間は全部チョコレート作りだった。

 修行も手を抜いたつもりは無かったんだけどな。

 本当に大事な事の方が重要だし、でも、やり遂げた」

「異常な根性ですね…寝る間も惜しんでって奴ですか」

「誰に渡すんだろうな、あのチョコレート」

「いや、選択肢1つしか無いと思うわよ」

「まぁ、あなたでしょうね」

「え? いやでも、親にあそこまで本気のチョコを渡すか?」

「親だと思ってるのは十中八九あなただけなんでしょうね」

「親と言うより、尊敬する大事な大恩人って感じだと思いますよ。

 尊敬する大事な大恩人に渡すチョコレートなら徹底するでしょ」

「…何か嬉しいな、そう思われてるって、でも、恩人か?」

「あの子にとっては、でも、私達からして見ればあの子の方が恩人ですが」

「茜が圭介を復活させてなかったら、私達も復活してないしね」

「だな、そう思うと、茜ってとんでもなく重要な存在だよな」

「英雄になるのかしら」

「英雄と言うより、英雄を復活させた女傑でしょうか」


まぁ、英雄は男だしな、女だとそうなっても不思議は無い。


「全くその通りで、下に見ること出来ないわ」

「茜は自分を下に見て欲しいと思ってると思うがな。

 自信過剰な奴じゃないし、神に仕えるのが巫女って考えてるだろうから

 その神と対等は恐れ多いと思うだろ、絶対に」

「そうでしょうね、あの子は真面目ですし、そこも好感が持てます。

 それに比べてあの子は本当に自分の世界にいつも閉じこもって。

 確かに自分の価値観を得るのは大事なのは間違いありませんが

 もっとこう、沢山の価値観や世界観に触れて欲しいんですが。

 あの子は積極性がありませんからね、いや、前よりは改善してますよ。

 前はずっと神社に引きこもってたんですから、あの子が少し成長して

 この子も成長するんだと喜んだ物です、このまま成長して

 茜さんほどにはならなくても良いですが、活発な性格になって欲しいですね。

 でも、それはそれで何だか変りすぎて、ちょっと違うようなきもし」

「…時雨」

「何でしょうか?」

「あなたって、恋歌のこと…大好きでしょ?」

「はぁ? 何で私があんな引きこもりを好かないといけないのですか?

 確かにですよ、私の話はちゃんと聞きますし、書き留めもします。

 私の意見に対し疑問を抱き、質問を投げかけてくれるのも良いです。

 教えた事をすぐに吸収して、何とか活用しようとするけど経験不足で

 活用できず、どうすれば良いかと私に聞いてくることもありますけど

 でも、引きこもりですし、家事も下手ですし

 家事で教えた事をやろうとしてる気概は分かりますが、でも結果が伴ってない。

 何度か料理の味付け分量を間違えて泣きそうにもなったりするような甘ちゃんですよ」


絶対にこいつ、恋歌のことが好きだな、滅茶苦茶早口じゃ無いか。

しかもいやだいやだと言っておきながら、何か語ってて楽しそうだし。

何カ所も褒めてたし、嫌いならそこまで徹底して見ないと思う。


「素直になった方が良いわ」

「は、何を馬鹿な事を、あなたも巫女はいやですよね?」

「私は好きよ、水希の事は、確かに敬語を使わないのはあれだけど

 どんな困難や苦労にも立ち向かおうとするあの性格は良いわね。

 失敗しても表面上は特に反省も後悔もしないけど

 でも、行動が地味に変ってて、失敗に対策をしているのも良いわ。

 あの子は絶対に顔には辛い思いとか出さないけど

 内心は反省してるたちね、しかも対策も考えられるってんだから良いわ。

 でも、あまり上手く対策できてないから、それとなく諭すの。

 そしたら、自然と吸収して確かな対策に変化してくれて見てて飽きないわ。

 でも、その場でお礼は言わないの、修行が終わった後

 小さな声で恥ずかしそうにありがとうって言うのよ。

 お礼を言うのに慣れてないのかしら、まぁ、そんな所も見てて楽しいわね」


へぇ、水希って全然そんなイメージ無いけど、意外としっかりしてるんだな。


「それを言うなら私の巫女も」


まぁ、どうでも良いけど…こいつら、自分の巫女好きすぎかよ。

いやまぁ、気持ちは分かる、俺も茜の事は大好きだ。

恥ずかしいから何処が好きかとか、そんな事は口には出さないがな。

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