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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第10章、成果を試す模擬戦
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苛烈な修行

「…し、しんどい…」


あの日の後、俺は茜に今まで影ながら花木にしてた修行を与えた。

最初は30㎞の重りを付けての階段ダッシュだ。

四宮神社の階段は結構あるし、良い修行だと思う。


「ふぅ、結構キツいわね、と言うかマジの修行は久しいわ」

「うん…」

「ふ、2人は平気そうですね…50㎞なのに」

「私は半分妖怪だしね、種族的な問題だと思うわ」

「私も、一応は妖怪だから…それでもお姉ちゃんには勝ててないけど」


戦闘の達人である水菜が妖怪になったわけだしな。

半人前のままで命を落とし妖怪になった藜より上でも不思議は無い。


「よしっと、それじゃあ、少し休憩にするか」

「ま、まだ私は出来ますよ!」

「身体を壊すぞ、強くなりたいなら量より質だ。

 無駄に量を詰んでも、質の良い短期間の修行には敵わないって」

「でも…早く強くなりたいですし」

「焦りは失敗を生むだけよ、前回の戦いで身に染みたでしょう?

 それに、身体を壊すとより修行が出来なくなるわ。

 こう言うのは修行を仕切ってる人に従うべきよ。

 そいつが無能なら無視でも良いけど、あなたに指示を出してるのは圭介。

 無能な訳がないわ、しっかりと従いなさい」

「は、はい」


信頼してくれてるのはありがたいな。


「お疲れ様ですじゃ、お茶をどうぞ」

「あ、ありがとう」

「茜様、何だか最近色々と背負ってるような気がします」

「え?」


睦月が姿を消して、本気で修行を始めた。

だが、今はその時以上に色々と切羽詰まってる風に感じる。

今まではあえて言わなかったが、これ以上は不安かもな。


「そうね、どうして?」

「え、えっと…4人で楓さん達と戦ったときです。

 私、実は少しだけ自信があったんです…

 勝てる筈って、あんなに頑張ったんだからきっと勝てるって」


6年間、必死に俺の修行に付いてきてたからな。

普段の口調とは違って、実はかなり自信があったと言う事か。

それでも、あの時茜たちはほぼ手も足も出ずに敗北した。


「それでも、あの時は手も足も出ずに負けました。

 強くなってるはずだと思ってたのに、本当はまだまだで…」


あの時の敗北、その理由は決して茜が弱かったからではない。

むしろ茜は十分強かった、妖怪相手に生身の人間である茜が

互角以上に立ち回れる、その地点で人としては相当上だ。

特に妖怪の中でも上位格であるイーリアに対し

茜、水希は1人1人では互角ではないが、協力すれば

イーリアを圧倒できるほどの実力を持っている。

この地点で、この2人が相当な実力なのは間違いない。

それでも、あの戦いでは妖怪チームに圧倒されていた。

その理由は意思疎通が出来ていなかったから。

お互いその場で結成したチームだが、妖怪組は

花木を中心とし、なおかつ全員が自分の役目を完全に把握していた。

だから、巫女チームは妖怪チームに圧倒されてただけだ。

茜自身に大きな非があったわけでは無い、全体に非があった。

茜が自分の力に不安を抱く必要は無かっただろう。


「それに、前回だって私達は負けてました。

 こっちは4人も居たのに、花木さん久里さんに追い込まれてた…」


あの戦いだって、茜に非があるわけではない。

あの2人の戦術性が圧倒的に上だっただけでしか無い。

そもそも人数差はあの2人が扱う戦術の前では意味を持たない。

むしろ、人数が多い方が不利になる戦い、敗色濃厚だったのも仕方ない。

だから、あの戦術を辛うじて脱した茜の機転は十分褒められる物だった。


「このままだと、もし強い妖怪が来たら…また皆さんに頼る事になる。

 私は皆さんを守る為に強くなりたい…だから、もっと強くなるんです!」

「良い心がけではあるのだけどね」

「そうだな、強くなりたいと考えるのは大事な事かもな。

 向上心って言うのは、やっぱりどんな場面でも重要だからな。

 だが、行きすぎた向上心は身を滅ぼすだけだ、ただ数をこなすな。

 まずは自分の成長を自覚しろ」

「どう言うことです?」

「今日の修行はここまでにする」

「な、何でですか!? 私はまだ!」

「んー、言い方が悪かったかな、この身体を酷使する修行はここまでだ。

 この後は、身体を休める修行って事だ」

「そんな事をしても」

「身を滅ぼせば修行もなにも無いだろう?

 それにだ、身体を休めながら出来る修行だってある。

 今の自分に出来る事を考えてみるとか

 最初の自分と比べて今の自分がどれだけ成長したかを考えてみたりする事とかな」

「それで成長出来るんですか?」

「やってから疑え、誰か知らない奴の言葉ならやる前から疑えば良いが

 この言葉は俺の言葉だ、お前は俺が信頼に値しないと思ってるのか?」

「そんな事ありません!」

「なら疑わないで欲しい。

 信頼しろ、無意味な事は言わないさ」

「……分かりました」


何とか納得してくれたな、やっぱり茜は真面目なのは良いんだが

1つに目が行くと、他の事に目が行かなくなっちまうな。

他人事に関しては、どんな状況でもしっかりと目が行き届くのに

自分の事になると、どうしてこう盲目的になるんだろうか。

まぁ、人間性かな、茜はそう言う子だ。

どんな場面でも自分じゃ無く他人に目が行ってしまう。

自分の事はどうでも良いと考えたり、自分を過小評価したり

自分を何処までも追い込み、自分にだけ責任を背負う。

他人に対しては優しく、他人を見捨てることも出来ず

どんな場面でも他人第1に考えて、誰かの失敗を自分のせいと考える。

それが茜だ、そんな可愛い子供をしっかりと成長させるのが

俺達大人の仕事だ。

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