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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第10章、成果を試す模擬戦
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勝負は辛うじて茜たちの勝利と言う事になった。

だが、茜が言っていたとおり、花木と久里は本気を出しては居ない。

特に水希の時だ、あいつ自身が言うとおり、あの時倒していれば

茜はあの2人の信頼を回復する手段を失うことになる。

そうなると、茜はあの2人を排除するしか無い。

排除し、疲弊したところに近くで待機していた花木と久里が

同時に攻撃を仕掛け、排除することも出来ただろう。

そして当然、茜と藜達が合流した場面でも同じく

あの2人に化けていれば、あの切羽詰まっている状態だ。

流石の茜でも看破は困難、勝利することが出来た。

だがそれをせず、あの2人は最初から最後まで

4人の成長を見るように立ち回ったと言う事だ。

勝利への執念は無く、ただ4人の成長を見届ける為の姉として動いた訳だ。


「いやぁ、負けた負けた、成長したね~」

「嫌味にしか聞えないわよ?」

「成長したのは事実だよ~」

「それはそうだと思うけどね」

「しかし、恋歌はあまり成長したと思えませんね、全く。

 最初から最後まで掌の上で踊らされて、情けない」

「も、申し訳ありません」

「情報が無かったのが大きいと思うがな」


どれだけ頭が良くても、情報が無いんじゃ戦術は組み立てられない。


「しかし何というか、兎と狸はいがみ合ってる気がするのですが

 あなた達2人は全くいがみ合ってない所か異常に連携に秀でてますね」

「いがみ合ってるの~?」

「昔話でも良くいがみ合ってますよ」

「案外そうでも無いと思うけどね~、カチカチ山とか~?」

「あれだと、あたしが花木に追い込まれてるって感じになるのかな」

「あはは、でも久里さんの方が翻弄しそうですね」

「……いや、ちょっと…自信ない…かな」

「え!?」

「久里の方が絶対に頭が良いよ~」

「はは…花木、君はもう少し自分の実力を把握した方が良いと思うなぁ…」

「え~?」


でもどうだろう、久里と花木の心理戦…何故か花木の方が上手に思える。

普段はのほほんとしてるけど、本気を出せば豹変するからかもな。

そもそも、久里の場合は化かす術で翻弄するが

花木の場合は純粋な心理戦で相手の動きを読んだり

相手を圧倒したりするスタイルだ。

相手の心を能力無しで読め、狙いも完璧に把握。

耳も良いから化けて移動しても足音で看破されそうでもある。

声真似も上手いし、能力では無く完全に素のスペックが圧倒的だ。

兎の妖怪とは思えない程に圧倒的な能力。


「いやなんかさ、花木って異常だと思うわ」

「妖怪でも上位なのは間違い無いが、ただの兎がここまでとはね」

「恐らく、四宮神社に通い詰めているからではありませんかね。

 四宮神社の修行も無き崩し的に受けているようですし」


何だかんだで付き合って貰ったり、修行させたりしてるしな。


「なんでサラと四季にはなにもしないのに

 私と茜にばかり修行させるのか不思議だよね~」

「茜は巫女だからで、お前はただサボってるだけだからな。

 結構キツい修行をくれてやれば大人しく帰るかと思ってな」

「…まさか花木が圭介の第2の弟子とは思わなかったわ」

「しかも茜さんよりも苛烈な修行とは、通りで」

「け、圭介様! わ、私にもその修行を! 苛烈な修行をお願いします!」

「いや、流石にお前には可哀想だし辛いだろうし」

「私なら可哀想じゃないって言うのが嫌だなぁ~」

「元々、お前への修行はさっさと帰るように仕向けた修行だからな…

 それを乗り越えて来るのは恐ろしいが」

「どんなことをさせているんですか?」

「超重たい重りを背負わせて、大好きな兎跳びをさせたり

 近くの森で、その重りを背負わせたまま木の枝を飛び回らせてる

 重量は、最初は50で、今は200位」

「なにその修行、厳しいを通り越してほぼ不可能じゃ…」

「足が枝に付いた瞬間に跳べば落ちないんだよ~、最初は失敗ばかりだったけどね~」

「でも、心理戦の方は…」

「それは元々の能力だ」

「…流石花木さん」

「花木の身体能力にはその修行が…何でその修行は受けるのに団子屋はサボってばかり?」

「サボってないよ~、ちゃんとみてるよ~?」


見てるだけなんだろうだが、それでも顧客全員を把握してるんだろうな。


「け、圭介様、わ、私にもその修行をお願いします!」

「修行内容を聞いてもやりたいと?」

「はい! 私はもっと強くなるんです!」

「……分かった、良いだろう、根を上げるなよ」

「は、はい!」

「それならあたいも!」

「いや、あなたは私流で鍛えるから駄目よ」

「えぇ!?」

「茜に負けないように鍛えていくから、壊れないようにね」

「何か恐そうだけど! あたいは何だって来いだよ!」

「…では、私の方も巫女を鍛えましょうかね」

「いや、私はこのままでお願いします、ちょっと肉体ろうど」

「駄目ですよ、身体が壊れかねない程に鍛えます。

 他の巫女に負けてはなりませんよ」

「無理ですってぇ!」

「…わ、私も茜と修行する…!」

「私は反対したいわ…そんな無茶をして…もし2人に何かあったら…

 私はあんな気持ち、もう2度と味わいたくないんだから…」

「……大丈夫ですよ、圭介様が付いてます」

「…そうね、でも! 自主的な修行は無しよ! 本当に!」

「わ、分かってますよ」

「うん…もうあんな失敗は」

「…お願いね、まぁ、不安だから私も付き合うわ。

 と言うか、このままだと負けそうだし、それは私の意地が許さないわ」

「うん!」


これはまた、かなり大変な修行になりそうだが…ま、成長を見届けてやろう。

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