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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第10章、成果を試す模擬戦
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包囲網の突破口

お姉ちゃん達は何処に行ったのか、それは分からないんだけど

でも、探さないとどうしようも無いし。

それに、いくら水希ちゃんを騙したとしても

きっと、私とお姉ちゃん達が合流していれば、きっと信頼をしてくれる。

この状況だと、信頼をどうしてでも得ないといけない。

信頼を得る方法はやっぱり複数人でいると言うこと。

急いで探さないと!


「あ!」


必死に走り回っていると、ようやくお姉ちゃん達の姿を捉えた。

良かった! これで水希ちゃんと合流することも。


「っ! 茜!」

「良かった、合流出来」

「今度は!」

「へ!?」


うぅ! いきなり攻撃を…!

まさか! 私の予想は外れてた!?

でも…流石に相手は2人、不意打ちを仕掛けたとしても逃げられないはず!

どうすれば私の信頼を奪えるの? 2人同時じゃ無いとキツい筈!

2人同時で合流して裏切るのか

もしくは私に変化したどっちかが水希ちゃんに変化した方を攻撃をして…とか。

でも、2人同時だと、どう考えても私の声か水希ちゃんの声を真似られないから

恋歌さんに看破されるはずなのに…じゃあ、私に変化した方を

操られている風にして無言にするとか? でも、久里さん達にそんな手段は無い。

それ位は分かってるんじゃ? あ、いや、分かってるのは私と水希ちゃんだけ?

恋歌さんとお姉ちゃんは最近来たばかりだから知らなくても不思議は無いけど!


「待って! 私は偽物じゃ無いし操られてるわけじゃ!」

「そんな言葉、信用するとでも!?」

「うぅ!」


正確だ…恋歌さんの攻撃は正確無比…どうすれば信頼される!?

どうすれば……


「この!」

「くぅ!」


駄目だ! このままだと捕まる! 近付かれたらどうしようも無い。

い、急いで逃げないと…うぅ! 完全に2人の掌の上!


「何処に行ったんでしょうか…」

「そんなに攻撃して…本当に本物の茜だったら…」

「あなたも見たでしょう? 水希ちゃんを襲ってたの」

「襲ってたほうが偽物で…」

「でも、偽物で水希さんが負けるとも思えませんよ」

「まだ水希が負けたわけじゃ…」

「あれから姿を見せてません…負けたと考えるのが自然です」


……やっぱり2人同時だったんだ、そして私に変化したどっちかが

水希ちゃんに変化したどっちかを目の前で襲わせたってこと。


「きっと、茜さんは操られてるはずです、さっきの茜さんは本物で

 今さっき姿を見せたのは、変化したどちらかだと考えるべきです」


そうか、恋歌さんは2人が変化したとは思って無い。


「でも、水希はあの茜を偽物だと」

「豹変した茜さんを偽物だと思いたかったのかと」

「そもそも、化け狸に人を操る方法があるようには思えないけど…」

「私はあの2人の事は知りませんし、何かしらの方法があるのかと」

「あ、確かにそうかも知れない」


やっぱり、2人についての情報を殆ど知っていない。

だから、こんな風に疑うんだ…そして、2人で変化したとも思って無い。

あぁ、なんて言う…水希ちゃんの性格をある程度知っているからこそ

こんな風に自分から泥沼に嵌まっていく。

……でも、あの2人の言ってた通り、この戦いは良い練習になる。

こんな風に内輪揉めを狙ってくる妖怪が居てもおかしくは無い。

圭介様達の力を借りれば、何とかなすかも知れないけど

私は巫女…圭介様の手を煩わせる訳にはいかない。

だから、何とかこの状況を打破する方法を見つけ出さないと。


「……」


わざと攻撃を受けてみる? でも、それが信頼されるための方法だと

考えられると、これだと自分の首を絞めることになる。

じゃあ、もうひとつだ、かなり危ないけどこの方法しか無い。

私を信頼できていないのは、水希ちゃんがやられたと考えているから。

だったら……!


「見つけた! 逃がしません!」

「うぅ!」


攻撃を捌きながら、何とか水希ちゃんと合流する。

そうすれば…でも、そうなると危険性も存在する。

当然、そんな状況だと水希ちゃんは私を疑う。

攻撃を仕掛けてくる…水希ちゃんがその状況でするのは攻撃。

私はそれを捌かないといけない、後方からの矢と水希ちゃんの猛攻を。

それをあの2人の目の前で捌いていれば、私が本物だと信頼して貰えるはず。

そんな芸当が出来るのは、本物くらいだって。

かなり危ない賭け、もし失敗すれば信頼を失う。

最悪、本物の水希ちゃんを偽物だと認識する可能性だってある。

そうなると、あの2人の思うつぼだけど…この修行の本来の狙いは

修行の成果を確認すること。

これは本番じゃ無い、だからこそ、今は成長を信じるしか無い。

1週間の共同生活でお互いをしっかり信頼できてるって!


「あ…見付けた! 今度は不意打ちは食らわない! 正面からならあたいが勝つ!」

「やっと…さぁ来て! 本気で!」

「うりゃぁあ!」

「そこ!」


…私は刀の鞘に手を伸ばし、まず後方から飛んで来た矢を鞘で弾く。


「え!?」


そのまま体勢を低くして、刀を引き抜き水希ちゃんへ攻撃をする。


「うわ!」


水希ちゃんは私の攻撃を回避、同時に私へ接近してくる。


「うりゃぁ!」

「っく!」


その拳は私の頬を掠め、すぐに水希ちゃんと位置を変化させる。

後方からの矢は水希ちゃんが壁になって当らない筈。


「……これは」

「……」


水希ちゃんの攻撃も、恋歌さんの攻撃も止まった。


「……本物だね!」

「…はぁ、わ、分かってくれた?」

「水希さんがまだ無事で…でも、あの状況だと…

 もしかして、あの時の水希さんも偽物…?」

「そう…見たい」


し、心臓が凄くバクバクしてる…一瞬だったけど、本当に緊張した。


「ごめんなさい、気付けずに」

「いえ、大丈夫です、怪我もしてませんし」

「頬から血が出てる」

「うぅ、茜ごめん」

「大丈夫だよ、これ位大した事は無いって、いつもの事だよ」


いつも水希ちゃんと戦う時は少し怪我をしてるしね。


「でも、これでようやく合流出来たね」

「えぇ、そして狙いも分かりました…同士討ちを狙ってたんですね

 性格が悪い…やはり妖怪は」

「これは私達の修行の成果を見る為には凄く重要な事だと思うよ。

 お互いを信頼していないと、きっと戦いは止まってなかったし」

「茜の力が強いと思う…私達は掌で踊らされてただけ」

「いや、皆のお陰だよ!」


これで…もう騙されない!


「はぁ、こりゃ驚いた、最後の一押しもするべきだったかもね」

「でも、流石にそれは性格が悪いと思うなぁ」

「花木さん! 久里さん!」

「ようやく!」

「いやいや、負けだよ、降参だって、この状況じゃあたし達に勝算はないよ」


……だけど、きっと本気で勝つつもりならな何か手はあったはず。


「でも、2人が本気を出せば、あたい達を倒せそうだけど…」

「いやいや、茜と水希の2人を倒せるわけ無いよ」

「いや、茜に化けてあたいを気絶させたとき…本気なら倒せたのに…」

「それに、私が手を打つときも…本気なら恋歌さんとお姉ちゃんに化けて合流すれば。

 だって、あの時の私は焦ってましたし…きっと、化けていても」

「…じゃあ、本気じゃ無かったと言う事ですか?」

「いやいや、本気だよ~」

「それに今だって本気を出せば勝てそうじゃん?

 花木が木を利用して動き回って、何か投げたりして久里が変化させれば」

「出来ないとは言わないけど、それで勝てるかは怪しいでしょ?

 勝負って言うのは引き際が肝心なんだ、こっぴどく負けたくないしね」


…きっと嘘、本来の役回りが終わったから止めただけ。


「それじゃあ、次はキキとキャンとの戦いかな」

「い、いや、わっちらは…」

「もう、この後の戦いじゃ、何をしても戯れにしかならぬのじゃ…」

「それは残念、純粋な戦いも見てみたかったんだけどね」

「は、はは…」


キキちゃん達の表情が引きつっているよ。

あはは、分かるけどね…本当に花木さんも久里さんも強いよ…

普段からは想像できないけど…ほ、本気を出したら恐いなぁ…

わ、私もまだまだ修行しないと! このままだとまだ守られてばかり!

それはいやだ…私だって、強くなるんだ!

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