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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第10章、成果を試す模擬戦
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化け狸の本分

…既にこの状況はあの2人の掌の上。

最大の見所は信頼関係、崩さずに維持できるかが問題になる。


「ねぇ、茜…何だか表情が」

「……ごめん、水希ちゃん」

「え? 何でいきなり謝るの?」

「…ごめんなさい、自信を持って言えなくて」

「へ?」


水希はこの状況には気付いていないからだろうか

茜の深刻な表情には気付けては居ないようだ。

水希は基本的に心理戦は苦手だからな。

戦闘だって、恐らくは反射神経で行なってる。

相手が何を狙っているかを読むのは得意ではなく

基本的に攻めの姿勢で、防ぎの時も流れで防いでいるだけだ。

接近戦での心理戦も苦手な水希に戦況全てに影響を与える心理戦は不可能だろう。

相手の作戦を見抜くのも苦手、完全なアタッカー型。


「どう動くか見物ね」


俺達は小さな鳥に変化し、状況全てを観察することにした。

各神々は自分の巫女が居る方へ移動して居る。

時雨は当然ながら恋歌の方を見ているから、こっちには来ていない。

藜の方も見たい気がするが、そっちは葵が見守っている。


「お前はこの状況、どうすればひっくり返せると思う?」

「水希が茜の言葉を常に信じれば、この2人は問題無いわ」

「そうだろうな」


そう、茜が最も相手の観察に優れているからな。


「あ!」

「うぅ!」


2人の間に剣が降ってくる、茜を集中的に狙おうとしているのだろう。

当然あの剣は偽物、殺傷能力等は無いだろうが、傷程度は付くだろう。

それはあの剣が本物だと勘違いした身体が、自分で身体を壊すから。

あの攻撃は偽物ではあるが、本物よりも厄介だと言える。


「茜!」

「うぅ!」


茜と水希を裂いた後、茜に向って集中的に剣が降り注いでいる。

すぐに水希が後を追おうとするが、そこにも剣が降り、水希の道を阻んだ。


「別れさせるつもりだな! 茜を最初に倒すつもり!?」

「水希ちゃん、ここは危険だよ」

「あ、茜! 良かった!」


茜が別れて少しして、再び合流した。


「ここの何処かに花木さん達が居るみたいなの。

 きっと狙いは水希ちゃんを孤立させることだと思う」

「え? 何で?」

「水希ちゃんと真っ正面から戦ったら勝ち目が無いから

 孤立させて、そこを2人で狙うつもりだと思う」

「流石あたい!」

「だから、あ、危ない!」


2人の会話を裂くように剣が再び飛んで来きた。

2人は急いで後方に飛び退き、その場から走り出した。


「あ! あたい達2人をまとめて狙ってきた!」

「逃げよう、急いで」

「う、うん!」


2人は必死に逃げているが、その後を追うように剣が降り注ぐ。


「うぅ! やっぱりあたいを狙ってるんだ! 1対1で勝てないからって卑怯だぞ!」

「仕方ないよ、でも大丈夫。今はあたしが居るから」

「そうだね! へへ! もうあたいと茜を別行動させることは出来ないぞ!」

「チ、仕方ない」

「お!?」


小さな舌打ちの後、水希達を追って居た剣は止まった。


「おぉ! やっぱり別行動させることが出来ないから逃げたんだ!」

「そうみたいだね…」

「うん、茜のおか…」

「違うよ、必要無いから別の方に行ったんだ」

「あぐ!」


水希は不意を突かれたせいか、攻撃を防ぐことも回避することも出来ず

頭部に強力な一撃を受けた。


「あ、茜…なんで…」


血は出ていないが、それでもかなり痛かったようだ。

今にも気絶してしまいそうな程にフラフラとしている。


「何…うぅ…」


そのまま、水希はその場に倒れ込み、意識を失った。

それと同時に、茜の姿に変化していた久里が元に戻った。


「…さて、何だか心が痛むなぁ」

「大事な訓練だし仕方ないよ、誰かが悪役にならなきゃね。

 私達が1番適切だと思うよ」


久里が元の姿に戻ったと同時に、木の上から花木が姿を見せる。


「相手を騙すのが化け狸の本分だとは言え

 最近は全くしてなかったし、少しね」

「まぁね、妖怪としての行動は殆ど無かったしね、私達は。

 それにしても、声真似が上手いね」

「相手を騙すのがあたし達の本分だからね、声真似は出来るさ。

 おほん、こんな感じにね~」

「おぉ、私の声だ」

「こんな風にも」

「…圭介の真似? 似てないね」

「さ、流石に性別が違う相手は無理だったよ」

「やったことないのにいきなり試さないでよ」

「ごもっともだね、おほん、あー、あー、これは結構上手い気がするわ」

「時音の真似だね」

「…似てる? あれ」

「似てる」

「あ、あんなに私、声高かったっけ…」

「意外と高いぞ、自覚が無いだけだ」

「うーん…何か恥ずかしいわ、自分の声を別で聞くのは…」

「その気持ちは何となく分かる」


カラオケとか言ったとき、妙に低い声が聞えて恥ずかしいからな。

何でか…もしかして俺って結構あがり症?


「おほん、まぁ、とりあえず次に行こうか」

「うん…で、藜と恋歌の声は真似できるの?」

「まだ出来ないけど、次で完璧に真似するよ、早急に必要って訳じゃ無いしね」

「それもそうだね、それじゃ、行こうか」

「その前に茜の声真似、出来る?」

「んー…こんな感じ?」


花木の声真似もかなり上手い、これは良く聞かないと分からないかもな。

茜とあまり長く話をしていない、あの2人には分からないかも知れない。


「上手いね、やるじゃん花木」

「ずっと聞いてるからね、この声」

「そう言えば、いつもサボってるんだっけ、四宮神社で」

「酷いなぁ、間違いじゃ無いけど」

「酷くもなんともないじゃ無いじゃん…まぁいいや、これだけ上手ければ問題無いか。

 それじゃあ、行こうか」

「うん」


花木達は会話の後、すぐに恋歌達の方向へ移動をした。

既にあの2人が何処に居るかは把握しているようだった。

完璧に花木の聴力で聞き分けている。


「それじゃ、やろうか」

「うん」


花木と久里は茜と水希にその姿を変化させ、久里だけ2人に合流した。

久里の変化だが、少し服が傷付いてる状態だった。

だが、2人は一切疑う事無く、久里を受入れる。


「別行動させられたときはどうなるかと思いましたが

 何とかなって良かったです」

「そうだね…痛た…」

「どうしました? あ、もしかして襲われて」

「あ、いや…それよりも、急いで移動しよう」

「茜さんを探さないんですか?」

「あ、茜は…」


わざわざ花木を茜の姿に変化させているわけだし

狙いは完璧に分かる。


「水希ちゃん、逃げるなんて酷いなぁ」


茜に変化した花木が偽物の剣を持ち、3人の前に出て来た。


「茜…さん…?」

「あ、茜は…あの茜は偽物だよ!」

「え?」

「実は…あたしと茜が1度別れて、その時に茜が豹変したの。

 きっと、本物の茜は別れたときに…」

「じゃあ!」

「逃がさないよ!」

「ぜ、全員で挑めば…」

「でも、うわ!」


そして、剣で追い打ちを仕掛け、状況が劣勢だと演出する。


「うぅ! ふ、2人とも! ここはあたしが何とかするから

 2人は何処かに居る久里を見付けて倒して! この偽物はあたしが足止めする!」

「でも…! 怪我を!」

「大丈夫、あたしは最強だから!」

「うぅ!」


久里に言われるがまま、藜と恋歌は周囲の捜索を始めた。

……気付いたのか気付かなかったのか分からないがな。


「…ふぅ、さてこれで準備は出来たね」

「うん…で、久里…何であんな分かりやすい事をしたの?」

「なんの事かな?」

「白々しいなぁ、あそこまでハッキリと分かりやすい手がかりを与えておいて」

「一人称の事かな?」

「その通り」


水希に茜として話をしたときもそうだった。

久里は自分の事をずっとあたしと言っている。

久里の一人称もあたしだが、そこを変えるのは造作ないはずだ。

茜の一人称は私、水希の一人称はあたいだからな。

久里はそれ位把握している…だがまぁ、大体理由は予想できるが。


「はぁ、変な事を言うね、分かってるくせに」

「何でもう少し自然にしなかったの? って話だよ」

「それも分かってるでしょ?」

「…そうだね、考えてみればそうかも、久里は今日来たばかりだしね」

「お?」

「まぁ、何処まで修行できたのか…それが分かれば良いか」


久里は何処まで仲間の事を考えているかを調べようとしたのだろう。

花木はそこまで露骨だと、簡単に分かるだろうと危惧したという感じかな。


「さて、とりあえずこれからが本番だね」

「そうだね…どうなるか、観察させて貰おう」


花木達はすぐに身を隠した。

どうやら、茜たちの動きを観察するつもりみたいだな。

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