神としての仕事
俺が神様になって次の日、俺は本格的に神様が何をすれば良いのかを探ることにした。
「う~ん、神様の仕事内容が書いてあるような書物は無いのか?」
「えっと、確か神社の奥に書庫があったと思います」
「お、本当か!?じゃあ、案内してくれ」
「分かりました、こちらです」
俺は茜の案内で四宮神社の書庫に行った。
その書庫はかなりほこりっぽく、掃除されてないのが分かる
書物も書庫って割には少なく、200冊程度しか無かった。
「随分ほこりっぽいな」
「それは、お姉様が書物の管理なんてしなくて良いでしょ
と言って管理しなかったからですね」
「それで良いのかよ、先代巫女・・・」
軽く文句を垂れながら俺は簡単に掃除を始めた、これが意外と楽しかった。
沢山ある埃がみるみる綺麗になっていくのを見るのは楽しいもんだな。
「ふぅ、こんなもんか」
掃除が完了した。書庫はさっきまでとは全く違い、かなり綺麗になった。
掃除ってこんなに楽しいもんなんだなと俺は思った。
「はぁ、はぁ、つ、疲れました・・・」
「こんなので疲れるのか?」
「疲れますよ!神様と人間じゃあ体力とかが違いすぎます!」
あぁ、そういえば俺って神様だったな、掃除が楽しくて忘れてた。
てか神様が掃除ってどうなんだ?普通こういうザ雑務は巫女の仕事だと思うが・・・
まぁ、良いか、楽しかったし。
「それで?神様の仕事云々の書物は何処だ?」
「えっとですね、確か、ここにあったと思います、えい!えい!」
茜は必死にジャンプして高いところにある書物を取ろうとしているが届かない。
惜しいとこまですら届かずに苦戦している。
「えい!えい!」
「えっと、これだな?」
「ぜぇ、ぜぇ、は、はい、そ、それで・・・す」
茜はすごく息が上がっている、それだけ必死だったって事だろう。
とりあえず俺はこの本を読むことにした。
「えっと、四宮神社の神が司る物?なんだそれ」
「四宮神社の神様が司る4つの力の事です」
「ふーん」
俺は本を読み始めた、その本の内容はこうだった。
四宮の神が司りし、4つの現象、それは力、神聖、天候、万里の4つ
四宮の神はこの4つと同じ力を操る事も可能である
力は身体強化、神聖は悪しき者を祓う力、天候はあらゆる天候を操る力
万里はこの世の全てを見通せる力である。
しかし、四宮の神の力は強く、そのままで放てば
この世界のバランスを崩すほどの力となるであろう
その為、四宮の神には器が必要である。
その器とは四宮の神に仕える人間である。
四宮の神はかの者と共に悪しき者を祓い、信仰を集める必要がある。
これが四宮の神が行いし仕事である。
「えっと、つまり俺は4つの力を扱って、茜と協力しながら信仰を集めろってことか?」
「そうなりますね、と言うか器ってなんでしょう?」
「お前の事だろ?」
「それは分かってるんですけど・・・どうやったら器になれるのかなぁって」
「知らん」
「お姉様にもお祈りくらいしか教わってませんし」
「書物に書いてあるんじゃ無いか?」
「そうですね!探してみます!」
茜はそう言い書庫の中を探し回った。しばらくして茜が一冊の書物を持って走ってきた。
「圭介様!ありました!四宮の巫女の心得って書いてあります!」
「そうなのか?じゃあ、ちょっと読んでみるか」
「はい!」
俺と茜はその書物を見てみることにした、その書物の内容はこうだ。
四宮の巫女の心得、四宮の巫女の主な仕事は境内の掃除
信仰を集めること、妖怪、悪霊退治、この世界で起こる異常事態の対処
四宮の神への奉仕、神事の管理、豊穣の祈り、地鎮などを行う。
四宮の巫女は四宮の神を唯一降ろすことが出来る存在であるため
四宮の神と協力をすることが可能である。
しかし、四宮の神を降ろすのは多大な力を消費するため、
1人で出来そうなことは1人で解決することを推奨する。
常に修練を積み、高みを目指すのが基本でもある。
以上が四宮の巫女の心得と仕事であり忘れるべからず。
「神降ろしですか、お姉様はそんな事してなかったんですけどね」
「そうなのか?」
「はい、お姉様は修行もしてませんでしたし
お祈り以外は自分で頑張れとも言ってました」
「随分と放任主義だな」
「でも、私は尊敬してるんですよ?」
「ふーん」
そういえば先代の四宮の巫女はどこに居るんだろうか、死んだとも言ってないし
どこか遠くに行ったとかなのか?少し聞いてみるか。
「なぁ、お前の師匠は何処に行ったんだ?」
「分かりません、ある日手紙だけ置いて突然姿を消したんですよ」
「手紙?」
「はい、私はもう四宮の巫女では居られない、茜、何も教えてあげれないでごめんね。
と言う内容の手紙だけを残して姿を消したんです」
「そうなのか・・・」
茜は寂しそうな表情でそう言った。辛いことを思い出させちまったかな。
「それから3週間位経って圭介様がでてきたんですよ」
「辛くなかったのか?」
「・・・辛くはありませんでした、だって私は大人ですから」
こいつはこいつなりに頑張ってたんだな、こんなに小さいのによ。
下手したら俺よりも立派かもしれないな。
俺はそう思いながら茜の頭を撫でた
茜は恥ずかしいと言いながら逃げるそぶりは見せなかった。
「なんだか、お姉様に撫でられた時を思い出します」
「そうか?」
「はい、1回だけでしたけど、暖かかったです」
「そうか、良かったな」
「はい、圭介様の手も暖かいですよ」
「ありがとな」
俺は今日初めて他人を大切にしようと思った。
さて、明日からは本格的に仕事しないとな
信仰集めって大変そうだが、茜と一緒に頑張るかな。




