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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第9章、成長への躍動
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夜明けの時間

「うーん…」


花木は軽く一升瓶を飲んだ後、完全に酔ってしまった。

やっぱり元は兎だからな、酒には弱いのかも知れない。


「はぁ、お前酒に弱いな」

「ひっく…お、お酒って良い気分になるね~」

「その為の飲み物だし」

「でも~、た、多分私にはあまりあわな、ひっく」

「ま、兎だしな、仕方ないだろう」

「うぅ、兎ぃ~」

「とりあえずもう寝ろ」

「そうだね~…ねぇ、圭介~」

「あー?」

「何かしなくても良いの~?」

「何をするってんだよ」

「いやぁ~、相変わらず積極性が無いね~」

「下手な事をする男はそういないんだよ、それ寝ろ」

「は~い」


花木はフラフラとしながら…3回くらい転けながらも奥の部屋へ移動した。

何か、あいつがずっこける姿なんて久々に見た。

昔はしょっちゅう転けたりドジ踏んでたのに、成長したな。

でも、今もたまにドジを踏んでたりするけどな。


「ったく…とりあえず俺も寝よう」


ひとまずは自分の部屋に移動して、そこで寝る事にした……が。


「すぅ、すぅ…」

「いやぁ~、圭介は人気だね~」

「……人の部屋で寝やがって」


そこではキキが眠っていて、更には花木まで部屋へ移動していた。


「まぁ~、狐状態だし大丈夫じゃないかな~?」

「そう言うお前は兎か」

「圭介の部屋で寝るなら兎かな~って」

「何でだよ」

「温かいよ~? 私は~」

「確かに兎の体温は高いとよく聞くが、人の部屋で寝るな」

「え~、良いじゃんか~」

「…仕方ない、キキを茜の部屋に運ぶか」

「まぁ~、茜ちゃんはしばらく帰ってこないしね~」

「だな」


とりあえず、キキを起さないように抱き上げて、茜の部屋に移動した。


「……まぁ」


大体予想はしてたが、茜の部屋は既に先客が居たようだ。

茜の部屋にいたのはキャン……大丈夫か? この至近距離で寝かせて。

まぁ、多分大丈夫だろうけど、明日の朝、結構な騒ぎになりそうだな。


「大丈夫なのかな~?」

「大丈夫だろう…多分」


少し不安はあるが、ひとまずは茜の部屋で寝かせた。


「となると、キキとキャンの部屋はどうなってるんだろうな」

「水菜が寝てるよ~?」

「なる程な」


一応、2人部屋だし結構広いだろう。


「そう言えば時音はどうしたの~?」

「あいつは客室で寝かせたよ」

「客室なんてあるんだね~」

「結構客人が来るからな」

「それもそうだね~」

「だから、お前はさっさと自分の部屋で寝ろ」

「圭介の部屋で寝るよ~?」

「お前の為に部屋を用意してやったんだし、素直に利用しろ。

 大体俺の部屋で兎になって寝てるから、使用後があまりないんだよ」

「羽衣達が使ってるから大丈夫だよ~」

「お前用の部屋なんだけど?」

「とにかく私は圭介の部屋で寝るの~」

「今日は随分としつこいな、てか、俺の肩に乗るな、重い」

「酷いな~、女の子に重いとか言ったら傷付くよ~?」

「兎状態で何言ってるんだよ」

「兎さんも軽いって言われる方が良いんだよ~?

 軽い方が生き残りやすいしね~」


それは分かる、自然界で体重があるって言うと

動く速度も大きく落ちるし、隠れていても見付かりやすくなる。

体重が増えるというのは、自然界ではデメリットの方が大きい。

だが、あまり食料がない状態でも長生きしやすいというメリットはあるが

肉付きが良いから肉食獣に狙われやすいという危険もあるがな。


「理由は分かるが、お前の場合は虎程度ならあしらえるだろ」

「余裕だね~」

「不意打ちとかも」

「簡単だよ~」

「…重くても別に大丈夫だろ」

「ま~ね~、ヒック…」

「……やっぱり酔ってんのか」

「短期間で回復するわけないじゃんか~、うぅ、早く寝たいな~」

「なら寝ろよ」

「分かったよ~」


とかいって、やっぱり俺のベットに飛び込んだ。


「いい加減にしろって」

「今日くらいは許してよ~」

「しょっちゅう入ってきてるだろうが」

「まぁまぁ~」

「……はぁ、もう良いや、取り合えず寝るのは後かな」

「およよ~?」

「もう4時が来るし、山明神社に移動するかな」

「ありゃりゃ~、残念だね~」

「寝るというか、休むのほうが正しかったからな、それじゃ、よく寝ろよ」

「は~い」


俺はさっさと山明神社の瓦の上に猫に変化して移動した。


「うーん…よく寝た…えっと、4時か、じゃあ、急いで料理しないと

 えっと、食料食料…あ、あった」


山明神社に移動すると丁度茜が目を覚ましていた。

あいつはかなり朝が早いからな、いっつも決った時間に起きる。

その間に、1日分の用意をするんだから流石気遣いの天才だよ。


「よいしょ、野菜を切って、お肉を切って…その間に火を付けて。

 えっと、卵…うん、大丈夫だね、ふんふーん」


美味しそうな匂いが漂っている、最初は料理が絶望的だった頃を思い出すと

感無量という感じだ。

子供の成長というのは早いな、誇らしいよ。


「えっと、この間に薪を割らないと」


寝ている他の仲間達を起さない様に足音を小さくして境内へ出た。

そんな茜の手には斧では無く、刀が握られていた。


「ほい、それ!」


手に薪を3つほど持ち、上へ放り投げ、一瞬のうちに適度な大きさに切り分ける。

葵がやっていたという手法、いつの間にか茜も出来るようになっていた。

必死に訓練をしていたんだし、当然と言えば当然だがな。


「うん、今日の分はこれで後、3つ、それは恋歌さんにやって貰おう。

 恋歌さん、あまり力が無いし、最初は薪割りが良いよね。

 水希ちゃんだと一瞬で捌きそうだし、お姉ちゃんでも同じ。

 力を付け必要があるのは恋歌さんだもんね。

 恋歌さんの体力を考えると3つが丁度良いかな。

 その後は…水希ちゃんと一緒に食料調達をお願いしよう。

 恋歌さんの武器は弓矢だし、狩りには練習も実用性も丁度良いはず。

 水希ちゃんの暴走を抑えながら狩りってなると難しいだろうしね。

 水希ちゃんは一緒に狩りをすることで我慢する事を覚えて

 恋歌さんは弓矢の練習と、周りの指示の練習が出来るはず!」


茜は随分と独り言が多い気がするが、楽しそうだな。

きっと、色々と考えると、つい口が動いてしまうのだろう。

もしくはいつも話をしているから、勝手に動くのかもな。

だが、あの独り言だけでも茜がどれだけ周りを考えてるかは分かる。


「お姉ちゃんには山菜採りをしながら恋歌さん達の補助をお願いしよう。

 お姉ちゃんは私以外をあまり見られてないって言われていたから

 その練習になるはず、山菜の方も恋歌さんに聞けばきっと色々と分かる筈だしね」


だが、その独り言を聞いていても、どうも自分の事は出て来ていない。

やっぱり周りの事ばかりに気を向けている印象だ。

自分の事も大事にして欲しいんだけどな…はぁ。

でも、それに気付いて貰うのが今回の訓練目標だ。

水希か恋歌か藜か、その誰かからそこを指摘されれば良いんだ。

その上で改善をして貰えば、それで良いんだ。


「ふん、ふふん、ふんふーふーふーふふ、ふふっふん」


でも本当に楽しそうに料理とか家事をしてるな。

全く大変そうに見えない…あぁ、だからこんなに成長するのか。

やっぱり楽しんでなきゃ、成長は難しいからな。

仕方なくでやっても、そりゃ、成長もしないだろう。

だが、茜は楽しんでそれをやってる、この成長性も頷けるよ。

小さい頃は殆ど何も出来なかったのに、今じゃ炊事洗濯家事全てが出来るようになって…

それも、16歳で、こりゃ将来凄いことになりそうだ。


「へくち…あ、危ない危ない、お鍋に入るところだった…

 あ、そろそろ良いかな、そろそろ皆起きる頃かな。

 急いでお皿を出さないと! でも、3人分だけなら楽だよね~」

「さらっと自分をカウントしてないな…あいつ」

「よし…あ、私の分出してないや、まぁいっか!」


良くないだろ! と、心の中で強く思った。

危ない危ない、つい叫ぶところだった…ったく、茜め

どれだけ自分に興味が無いんだよ…頼むからこの修行で直してくれよ…

ったく、心配でたまらねぇな。

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