四宮祭り!第1夜!
祭りが始まり、四宮神社はかなり賑やかだ、妖怪、人間を巻き込んだ大きなイベント。
そして、俺はその間だけ周りの人々に姿が見えるらしい。
俺は、折角だし、この祭りを楽しむことにした。
「さて、まずは何処に行こうか」
「私、あのもふもふした奴が食べたいなぁ~」
「綿菓子か?」
「多分そうだよ~」
俺は花木、久里の2人で屋台を巡ることにした。
本当なら茜も連れてきたいが、茜は今、神社の巫女としての仕事で忙しい。
「はぁ、はぁ、あ、あれ?け、圭介様が屋台を回ってるんですけど!?」
「あぁ、本当ね、ふーん、祭りの間は人間に視認されるのね」
「う、羨ましいです!」
「そうね、ま、あなたはここで巫女の仕事を頑張るしかないわね」
「そんなぁ!」
「我慢しなさい」
なんだか、背後から妙な視線を感じると思って後ろを見てみると、茜がこっちを見ていた。
まぁ、そんなに人がいるわけじゃないし、見つかるか。
「うーん、それにしても、思ったより人がいないね」
「結界内にいる人は少ないからね~、仕方ないよ~」
「そうだな、ま、信仰集めて、結界を広くしていけば良いだろ?」
「そうだね~、私も頑張って手伝うよ~」
「あたしもだよ」
「ありがとな、まぁ、今はこの祭りを楽しもうや」
しかし、流石に茜を尻目に楽しむってのはあれだし、少しだけ巡ったら戻るか。
「よし、そろそろ戻ろうか」
「なんで~?まだ沢山あるよ~?」
「いや、流石に茜だけ楽しめないってのはあれだし、後は明日って事で」
「そういえば明日は餅つき大会だったね、花木はそっちのが楽しみでしょ?」
「そうだよ~」
「じゃあ、今日はもう良いんじゃないかい?」
「うーん、そうだね~」
話も纏まり、俺達は神社に戻った。
そこにはまだぐっすり寝ている妖怪兎たちがいた。
「起きてないな」
「そう簡単には起きないよ~」
「なぁ、そういえば化け狸たちは何処だ?」
「あぁ、人に化けて祭りに混ざってると思うよ」
「そうなのか、よく分からなかったがな」
「化けることに関しては負けないからね」
俺達はそんな会話をしながら、残りの時間を待ったりと神社内で過ごした。
しばらくして、四宮祭りの第1夜が終わり、人々が帰っていき、少しの間静寂が戻ってきた。
「静かだな」
「あぁ、花木の奴も寝ちまったしね」
「兎は夜行性って聞いたんだがな」
「この子はマイペースだからね、いつでも寝れるよ」
「は、そうらしい」
「あぁ、でも安心する場所じゃないとぐっすり寝られないらしいよ」
「ほう、意外だな」
花木は結構肝が据わっている、ああ見えて博識だしな。
だから、何処でもぐっすり寝られるのかと思ったが、意外と寝れないんだな。
「それは、この子の傘下の兎も同じさ」
「そういえば妖怪兎は寂しいと死んじゃうんだっけ?」
「あぁ、寂しいと睡眠不足で死ぬんだ」
「は?」
「さっきも言っただろ?この子達は安心出来る所じゃないとぐっすり眠れないって
つまり、安心出来るところじゃないとちょっとした物音で目が覚めるのさ」
その割にはあの妖怪兎たちは賑やかな祭りの間でもぐっすりだったな。
もしかして、ここが安心するのか・・・はぁ、妖怪を安心させる神社って何だよ。
「ま、この子達はここが安心するだろう」
「はぁ、妖怪が安心出来る神社とか、あり得ないだろ」
「それがあり得るのさ、それに、ここは神聖であっても何かを否定はしない
そんな場所だってあの子もいってたしね」
「あぁ、そんな事言ってたな」
少し前の事だったが、少し懐かしい気もするな。
少しして、隣からドタバタという足音が聞えてきた。
「圭介様!酷いですよぅ!」
隣から茜がすごい勢いで走ってきた。
多分、片付けとかで時間が掛かったんだろう。
「ん?もしかして怒ってる?」
「当たり前じゃないですか!なんで私を置いてお祭りを楽しんでたんですか!?」
「暇だったから?」
「私は全然暇じゃなかったのにぃ!」
茜は大声で騒いでいる、しかし、その声で後ろの妖怪兎たちが目覚める気配はない。
かなり熟睡しているようだ。
「聞いてるんですか!?」
「あぁ、聞いてるって」
「良いですか!明日は絶対、絶対に付いていきますからね!」
「あぁ、別に構わんぞ?」
「絶対ですからね!奢ってもらいますからね!」
奢るって、俺の金はこの神社の金で、茜の金でもあるのによ。
まぁ、それで満足するなら良いんだが。
「じゃあ、明日のお祓いはどうするの?」
「お姉ちゃんがしてください!」
「へ?無理だって!私は幽霊よ?人に見えるわけが無いじゃないよ!?」
「うぅ、そうですね」
「あぁ、じゃあ、あたしが代役をするよ」
「は?」
「あ、良いんですか?ありがとうございます!」
「おい!お前は妖怪だろ!?」
妖怪が神聖な力を扱えるのか?
もしかしたら変な事にならないか?
色んな不安が出てくる。
「大丈夫さ、あたしはこの棒をお祓い棒に変化させて振るだけだからね」
「それで良いのかよ!?」
「前、あんたも言ってただろ?願いは自分に言い聞かせる行為だって
それに厄除けは神様にすれ違えたら出来るんだ」
「ほう、そうなのか?」
「あぁ、そうだよ」
俺は、半信半疑だったが、考えてみれば確かに神様とすれ違った方が厄除けの効果は高そうだよな。
俺は久里の提案に乗ることにした。
さて、明日は餅つき大会か、さて、今日はもう休もうか。




