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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第8章、動き出した世界
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戯れ

「…ご主人、あのお方は」

「あぁ、キキ、どうした? 考えてみればさっきまで全然来なかったな」

「いえ、お話し中の様でしたので、少し間を空けようかと…」

「まぁ、賢明かな、あの段階で来てたら、あいつのおもちゃだったかも知れないし」

「どう言うことです!?」

「いや、あいつヤバいからな」


叡智の神、時雨…どう考えてもキキが参加すれば遊ばれていただろう。

キキだけじゃ無く、キャンでも同じ様な結果になっていたことは変らんが。

あそこまでに裏表がある様で無い奴は居ないだろう。

常に表面、裏を隠す気も無く、常に前に出すスタイルか。

地味に意地っ張りな所もあるが、そこは神だからかな。

時音は裏が無い性格だが、やはり何処か意地っ張りだし。


「ほ、ほぅ…は、話し掛けないで正解でした」

「お、お前はビビってただけだろ」

「馬鹿犬! 貴様もビビっておっただけじゃろうが!」

「な! わ、わっちは別にビビってない!」

「嘘じゃ! キキ以上に怯えておったくせに!」

「怯えてねーし!」

「何おぅ! キキに抱きついてぶるぶるしておったくせに!」

「はぁ!? してねーし! お、お前が抱きついてきたんだろ!?」

「ちがーう! お主じゃ! お主が先に抱きついてきたのじゃ!」

「違う! お前だぁ!」

「…まぁ、どっちでも良いが…結局お互いがお互いに抱きついたんだろ?

 後とか先とかがあっても、結局両方抱きついたんだろ?

 だったら、両方ビビってたって事で良いだろ」

「な! そ、それは違いますぞ! この馬鹿犬が先に抱きついてきたから!

 姉として、こやつを包み込んだと言いますか!」

「何馬鹿な事言ってんだよ馬鹿狐! わっちはお前の妹じゃ無い!

 と言うか、先にお前が抱きついてきたんだぁ! 

 だから、仕方ないなー、このへたれ、って感じでわっちが包んだんだ!」

「何を馬鹿な事を言っておる! キキがお主を包み込んだのじゃ!」

「あぁ!? わっちだ!」

「け、喧嘩をするのは良いけど…結局、仲が良いってことになるよね」

「な、何故ですか!? 茜様! 何故そうなるんですか!?」

「いや、だって…結局お互いがお互いの事を気遣ってるって事だし…」

「…ち、違います! わっちはこの狐のことなどどうでも良いのです!」

「き、キキもこの馬鹿犬のことはどうでも良いのです!」

「誰が馬鹿犬だ! 狼! わっちは狼!」

「狼~? 犬じゃろ、犬-!」

「くぅ! 言わせておけばぁ! 表に出ろ! たたき直してやる!」

「良かろう馬鹿犬! キキの圧倒的な実力を前にして怯えるがよい!」


そんな会話をして、2人はすぐさま境内に飛び出した。

で、俺はそんな2人を止めることも無く、縁側に出て

2人の戦いを鑑賞することにした。


「…止めなくて良いんですか?」

「良いだろ、好きにやらせておけば」

「まぁ、戦いの神として、戦いに興味はあるのだけど

 あの2人の戦いはあまり派手にはなりそうに無いわね」

「そりゃな、水希と水菜の戦いを見てたり

 水菜とイーリアの戦いを見てたりしたら、そりゃレベルは低いだろ」

「茜と葵の戦いを見てたとしても似たような感じになりそうよね」

「茜は防御型で、葵も防御型、あまり派手な戦いにはならないだろう」

「じゃあ、やっぱり水希と茜の戦いが1番見所があるのかしら」

「攻撃特化と防御特化、と言っても、水希は茜の防御を突破できない」

「あはは…私は防御だけに集中してますから」


水希も攻撃だけに集中してるんだろうが、それはまぁ良いだろう。


「さぁ! 馬鹿犬! 覚悟せい!」

「だから狼だ! 何度言わせれば分かるんだよ! この馬鹿!

 狐だとかそんなの関係無しにただの馬鹿!」

「な! ただの悪口では無いか!」

「悪口以外の何が必要だっての、馬鹿馬鹿バーカ!」

「ぐぬぬ! さ、流石に怒ったのじゃ! 死ねぃ!」

「お前みたいな直線攻撃当る、痛ぁ!」


当った、一切反応すること無く当った。

まぁ、当ったと言っても、キキの体当たりだけど。

狼と狐は両方肉食の獣だ、マジで殺すつもりなら

確実に相手の首に噛み付くんだろうが、

これは戦いという名の戯れだ。

両方本気で殺し合うわけでも戦う訳でも無い。

この2人の全力を知ることは出来ないと言うのが実だ。


「このぉ!」


体当たりをされ、お互いが倒れ込むが

やはりマウントを取ったのは最初に体当たりをしたキキだった。

だが、キャンもキキのほっぺたに手を伸ばし引っ張ってる。


「いふぁいのふぁ! ほ、ほのおおふぁみ!」

「いふぁぁ!」


キキもキャンのほっぺを引っ張る、子供の組み合いだな。


「ねぇ、これは戦いなのかしら、じゃれ合いじゃないの?」

「あいつらは口喧嘩だってじゃれ合いだ、口では仲悪い風に振る舞っても

 その実は滅茶苦茶仲が良いぞ、お互いがお互いの事を気にしてたり

 お互いの事を完全に理解してたり、喧嘩だってただの遊びだ」

「あの2人はお互いに素直になれないだけですからね」

「ふーん、ま、微笑ましいから別にこう言うのを見ても良いんだけどね」

「で、多分あの2人…そろそろ俺か茜に喧嘩を止めて欲しいとか思ってる」

「え?」


お互いがお互いのほっぺを強く引っ張りながら、チラチラこっちを見てる。

それを分かっても、俺はただ2人の戦いを鑑賞しているだけだ。

どうなるか楽しみだな、俺達が動かないと諦めて止めるか。

両方が意地になって止めるまで喧嘩するか。


「ま、たまには止めないで放置も良いだろう、自分達で止めるべきだ」

「それは分かるけど、結構容赦ないわね」

「自分達の問題にいつまでも他人が干渉してくれると思わないことってのを

 一応は教えてやらないとな」

「ただからかってるだけじゃ無いですか、圭介様は」

「そうとも言う」

「そこは否定すべきだと思うけど、まあいいわ、どうなるか見守ってやるわよ」


そのまま2人の喧嘩は3時間続き、ようやくお互いが諦めたようだった。


「うぅ…」

「うー…」


2人は赤く腫れた撫でながら、半泣き状態で俺達の元に戻ってきた。


「そこまで意地を張り続けなくても良いのによ」

「こ、この犬には負けたくなかったのです」

「犬じゃ無い、狼だ馬鹿狐…」

「全く、結局仲が良いんだから無駄に喧嘩するなよ」

「仲はよくありません!」

「そうです!」

「はいはい、そうだな、お前らは仲が悪いよ」

「信じてませんね!」

「俺はお前らの事をよーく知ってるからな」

「…あ、ありがとうございます」


そこは素直にお礼を言うんだな、何か照れてるように見えるけど

もうすでに頬が赤いから、本当に照れているかは分からなかったが。

でもまぁ、何だかんだで喧嘩が止まって良かったよ、本当に。

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