大晦日!
紅葉狩りが終わり、しばらくして俺達神社の中で
1番忙しい時期となるであろう大晦日と正月の時期となった。
とりあえずやることやって、新年迎える準備だ。
「ふぅ、よしっと、圭介様! このお餅はここですか!?」
「あぁ、そこだ」
「分かりました! 次は境内のお掃除をしますね!」
「分かった、頼むぞ」
「ん、焚き火の場所はここで良いか?」
「あぁ、そうだな」
「お餅、お餅!」
花木は大晦日で参拝客が来ている時間帯に
お餅を突くという計画を練り、着々と準備を進めている。
こいつはこの時期のやる気はかなり凄まじい。
流石兎、餅をつくのは好きらしいな。
「頭領様! 餅米準備完了しました!」
「うんうん~、いやぁ、楽しみだね~」
今回の餅つき計画はかなり増えてきた妖怪兎を
総動員しての大規模な物になっている。
だから杵と臼を沢山用意しないといけなかったから大変だった。
「よしっと」
「こんにちは」
「あぁ? 時音? 何だよ」
「ごめんごめん、いや、ちょっと手伝って欲しくて…と、思ったけど
まぁ、こっちもこっちでかなり忙しそうね」
「そりゃそうだ、お礼参りに初詣、1年の中で1番忙しい時期だしな」
「まぁ、そうなんだろうけど」
「と言うか、そっちの方が人では多いだろ?」
「いやね…確かにそうなんだけど…こっちは問題児が多くて」
そこまで問題児が多いか? そんな風には思えないが。
「水希は掃除しないで水菜とサボって、賢子は傷心
くるみは大騒ぎでまともに手伝ってくれず、ミルクはドジばかり
楓と擂は天狗の里でも忙しいからと手伝ってはくれず
チャイムは頭領様の願いならやるんですけど時音様はちょっと
とか言われて断られたわ、いや、嫌がらせしたの気にしてたみたいね」
「嫌がらせだと自覚したんだな」
「まぁね…」
「じゃあ、悟り、山童、河童達は?」
「河童達は精神的にかなり幼いし、山童達は幼い上に人嫌い
悟り妖怪達は手伝ってくれてるわ、かなり楽ね」
「じゃあ、良いじゃ無いか」
「ご主人! キキは何をすれば良いですか!?」
「そうだな、今は茜と一緒に境内の掃除を頼もう」
「分かりました!」
「圭介! えっと、あ! 門松? 新しく出来たよ!」
「よし、じゃ、飾っといてくれ」
「分かった!」
「っと、鳥居に注連縄を掛けること出来た、おや? 山明の神様か」
「圭介様! 次は何を! あ! 時音さん、いらしてたんですね!」
「えぇ…はぁ、あんたの所は本当に働き者ばかりね」
「だろ?」
「羨ましいわ」
時音は少しだけ悩んだ後、仕方なく山明神社に戻った。
やはりこっちも忙しそうなのに手伝って欲しいというのは
悪いと考えたみたいだ、こっちは餅つきの催しもあるしな。
後は正月の屋台…まぁ、それは後ろで久里達がやってくれてるから
大分楽だけどな、本当にこっちはプロが多くて助かるよ。
何だかんだで妖怪兎と化け狸はかなり大規模だしな。
「んー、まぁ、こんな所かな、圭介、言われたとおり破魔矢を作った」
「おぉ、流石仕事が早いな、刀子」
「まぁ、手先は器用だし…ね」
「圭介様、わっちは何をすれば良いですか?」
「じゃあ、神社の中で四季と一緒にお守りを作ってくれ
あ、キキにも頼んでくれ」
「分かりました!」
キャンがキキの方に走っていき俺が行ったことを伝達してくれた。
2人は最初少しだけいがみ合ったが、それでもすぐに移動し
神社の奥まで走って行った。
多分、あれは荒そうだろうな、いつも通り。
「よし、注連飾り出来た、1から作るのは怠いな
とりあえず神社の入り口に飾るか…しかしな
神様が直々に注連飾りを作るのはどうなんだろうか
そこら辺よく分からねぇが、ま、大丈夫だろ」
結構長いことここで神様やっているけど
神社の正式な飾り付けはよく知らないんだよな。
そもそも、四宮神社にそう言った文献が残ってないし
葵もそこら辺、あまり詳しくなかったからな。
まぁ、とりあえず家にする飾りをしているけどな。
「ふんふーん、輪飾り出来た、いやぁ、大晦日まであと少し
何とか間に合って良かったね」
中々に大変だったが、このペースなら大丈夫だろう。
まぁ、俺の予想は的中、何とか大晦日までに準備することが出来た。
完全に新年を迎える状態だな、これは。
「よし、お礼参りに来る参拝客が多くなる時間帯だな」
「はい! 頑張ります!」
「お餅、お餅、お餅つき~」
少し時間が経ち、深夜の暗い時間、参拝客がどっと四宮神社にやって来た。
「四宮の神様、おかげさまで、今年も無事過ごせました…」
「無事に1年過ごせて良かったですね、来年も健康に過ごせますように」
茜は参拝に来た老人に対し、御幣を振る。
毎年の様にやっている事だし、そろそろ茜も慣れている。
最初は結構ヒーヒーいってたのに、今じゃ平然とこなせる。
流石は茜、成長速度はかなりの物だな。
「はい、お餅ですよ~」
「おぉ、ありがとう」
「しっかり噛んでくださいね~? 喉に詰ったら大変ですよ~?」
「ありがとう、兎のお姉さんや」
花木は境内で餅を突き、出来た餅をお礼参りの参拝客に渡している。
かなりの人数が来ているが、兎たちも総動員しているから
結構簡単にこの数を捌くことが出来ている。
「はい、破魔矢1000文です」
「おぉ、安いねぇ」
破魔矢や熊手は飛ぶように売れている、理由は毎年同じで
かなり御利益があるかららしい、そりゃあ、直接やってるからな。
「おぉ! 四宮の神様じゃ、ありがたや~」
で、やっぱりお礼参りや初詣に来る人は俺を見かけると
かなり拝んでくる、まぁ、神様だしな。
「今年、何事も無くて良かったですね」
「四宮の神様のお陰じゃぁ…本当に感謝してもしきれませんわ」
「狛犬さんだ!」
「あた」
「喋った!」
「こらこら、この神社の狛犬様は本物なんですから、叩いてはいけませんよ?」
「本物なんだ! 凄い!」
毎年恒例だが、狛犬に化けてるキキとキャンは何度か叩かれている。
いつも通りで少し安心した。
それにしても、もう何度も経験したから初詣もなれた物だ。
最初は超忙しいとか思っていたが、最近はいつも通り。
うん、やっぱ、こう言う慣れって大事なんだな。
「ふぃ-、前までは向こう側だったのよね、いやぁ、参拝客の方は楽で良いわ」
「何もしないのは楽だよね~」
「そうね」
今日は睦月も来ているようだ、ま、お礼参りなんだ、そりゃ来るよな。
「あ、圭介、明日も来るから待っててね! いた!」
「睦月! 神様に向って何て馴れ馴れしい!」
「ご、ごめんなさい」
「待ってるからな、睦月!」
「ほ、ほら、お辞儀しなさい! ありがたい事よ!」
「そうかしらね~」
何だかんだ長いこと俺と一緒にいたからな
あいつの事を知らなけりゃ、そうもなるだろう。
まぁ、言わないけどな、言ったら睦月の新しい両親が驚くだろう。
「はい、睦月ちゃん、お餅~」
「ありがとうね、花木、あんたは相変わらず餅好きね」
「当然だよ~」
「睦月、花木さんと知り合いなの?」
「常連さんです~」
「そ、そうなんですか!?」
花木が珍しく良いカバーをしたな。
普段駄目でも、今日みたいにテンション上がってるときは優秀だな。
さて、来年はどんな年になるかね、楽しみだ。
今年最後の転生神様シリーズの投稿です!
何とかまた1年時間が経ちましたね
このまま来年も頑張りたいと思います!
皆さん! 今年も1年!
ありがとうございました!




