お疲れ会
ある程度の料理を見繕い、山明祭りに協力したメンバー全員で
山明神社で軽いお疲れ会の様な物が開かれることになった。
本来そう言う目的で料理を作ったわけじゃ無いが、時音がやりたいと言ったんだ
そう言う風になれば当然この神社の神である時音の意見を聞く物だ。
「いやぁ! 今回の山明祭り最高に盛り上がったわ!」
「そうだね~、私も頑張ったよ~」
「……と、頭領様、まだまだ元気があるみたいですね…わ、私達は限界です」
兎のメンバー達は花木以外全員が満身創痍という状態だった。
普段のこいつならあり得そうな状態だな、働かないし。
だが、今回は誰よりも働いていたのに余力が残っているみたいだ。
つまり本気を出せば兎の団子屋さんの誰よりも体力があると言う事
だが、普段は全くやる気無し、何というか才能の無駄って感じだな。
「……ケロは限界ケロ」
今回の祭りの忙しさはかなりの物だったようで、賢子の体力も限界らしい。
と言うか、屋台をやっていたメンバーは俺、花木、茜以外は全滅で、ぶっ倒れてる。
「だ、大分キツかったみたいね、まぁ、見ていてそんな気はしたけど
でもまぁ、圭介は予想通りとして茜が元気なのは意外よ」
「あはは、私も大変でしたけど、忙しいのには慣れてますからね
これでも四宮神社の巫女、お祭りはお任せください」
一応四宮神社も不定期にとは言え祭りを開いている、その度に茜は必死に頑張ってるからな
こう言う忙しさになれているのも何となく納得がいく…まぁ、働いてるときは弱音吐いてたけど。
あ、それは俺もか、でも、いざ全部終わってみると割と体力が残ってた。
「そうよね、茜はメインですし…うちの巫女は何もしてないけど」
「あたいは戦う事しか出来ない!」
「うちもや、神事とかよう知りまへん」
「なんでこんなのが山明神社の巫女なのかしら」
「そりゃあ、お前が軍神だからだろ」
「いや、そうだとしても、せめて神事くらい知っておいて欲しいわ
巫女は神様の顔役みたいな物よ? こいつらが馬鹿やってたら私まで馬鹿だと思われるわ
そっから変な風に解釈されて、私まで馬鹿になったら嫌よ!?」
「大丈夫だろ、お前自身もう具現化してるから変な風に解釈はされないって」
「そうかも知れないけど怖いわ!」
ま、まぁ、神様って信者の考え方次第で色んな状態になるからな。
現に俺だってその影響で色々と能力がおかしいことになって来てるし。
まぁ、もうすでに姿も現してるから、あまり影響はないだろうけど。
「それに軍神の巫女は戦う事だけを極めればええと思っとります!」
「そんな訳無いでしょうが! 神事くらいしなさい! ちょっとは茜を見習いなさいよ!」
…やっぱりこっちは巫女の扱いに苦労しそうだな、本当にさ。
本当俺の方の巫女が茜と葵で良かった、まぁ、最近葵来ないけどさ。
「まぁ、あれだろ、四宮神社の方は全能の神、山明神社は軍神だし良いんじゃないか?」
イーリアは一応山明祭りに参加していた、で、自然とここに居る。
一応裏方で力仕事は手伝って貰ってたみたいだし参加資格は十分あるだろう。
「イーリア、あんたもアホだからそういう風に考えられるのよ
戦いしか考えてない戦闘大好き女だから」
「お、俺はそこまで戦闘大好きじゃ無いって、大体水菜にふっかけられて」
「いつも笑って受け取るやないか、せやから十分戦闘大好き女やで」
「笑って! ……るのか? 稻? どうなんだ?」
「姐さんは水菜の姉御と戦ってる時、いつも素敵な笑顔でさぁ」
「そ、そうなのか、自覚がなかった」
あ、姉御…こいつ、水菜のことは姉御とか言ってるのか。
しかし、何というか、ドンドン稻の言動が極道っぽくなってるな。
状況的にも多分イーリアの舎弟みたいな感じだし、と言うか舎弟って読みでは弟か
じゃあ、舎妹? そんな言葉は無い気がするが、まぁ、良いか。
「所で大姉御は戦ってる時は楽しくは無いんですかい?」
「…大姉御?」
「あ、時音の大姉御です!」
「わ、私の事は大姉御と呼ぶの? 何か凄まじいわ」
「良いじゃ無いですか、呼び名って奴です、ほら、兄貴が猫に親分様と呼ばれてる感じでさぁ」
チャイムか、そう言えばあいつ来てないな。
「いや、まぁ…それは、うん、あ、て言うかその言葉で思い出したけど、化け猫は何処?」
「そう言えば化け猫達は来てませんでしたね、他は来てたのに」
あまり長いこと滞在はしてなかったが、一応悟り妖怪も山童達も来てたからな。
それなのに化け猫たちの姿は見えなかった。
「何かあったのかしら、ちょっと見てきましょうか」
「そうだな、すぐだし」
「じゃ、ちょっと行ってくるわ、留守よろしく」
そう言って時音はすぐにその場から姿を消した。
何か、こう言うのを見ていると本当に羨ましく思うなぁ。
くたばる前にこんな力があればどんなに遠かろうと会社まで一瞬だし。
「時音の大姉御が戦ってる時どう思ってるのか聞きたかったんですが」
「残念ながら時音が長い間戦ったことは無い、神だからな」
「じゃあ、兄貴も戦う事はあまり?」
「あぁ、戦えないし、戦うのはあまり好きじゃ無い、喧嘩慣れしてないし」
「うーん、兄貴と大姉御が本気で戦ってるところを見てみたいです」
「多分ですけど、そんな事になったら私達死にます、世界壊れますよ」
「いや、そこまでじゃないだろう」
「け、圭介様、自分が全能の神であると言うことを考えてください
時音様は軍神、そんな神様が戦えば…間違いなく全滅します、はい」
ま、まぁ、うん、そんな感じなのか? あまり自覚はないけど。
「っと、ま、その内全力で何かとやり合うことがあるんじゃないの?
結界の外はまだまだ穢れだらけで、未知の領域だし」
俺達が話をしていると丁度良いタイミングで時音が帰ってきた。
「大分速いな」
「ちょっとチャイムの所に行っただけだし、あ、来なかった理由だけど
祭りがあるって知らずに寝てたそうよ、猫らしいわね
祭りがあるって言ったらチャイムは凄い剣幕で里に走ってったわ
もう遅いって伝えようと思ったけど、伝えられなかったわ」
「……お前、伝えなかったら面白そうとか思っただろ」
「その通り」
結構あれだよな、何だかんだで鬼畜な所があるよな、時音って。
まぁ、案の定その後すぐに化け猫たちが汗だくだくで山明神社に来たが
祭りが終わったと言われ全員愕然としていた。




