山明祭り
「さぁ! ついに祭りの日よ!」
ついに月見祭り本番の日がやって来た、結構長い間時間も掛かったが
何とか開催までこぎ着けることが出来て良かった。
特に大変だったのが山明神社に来るまでの参道の整備だな。
長い間放置されてたから、至る所が崩れてた、それを直すのに苦労した。
まぁ、そこは久里達に総出で手伝って貰って何とか乗り切れたんだが。
「はぁ、これで人が来なかったら」
「怖い事言わないでよ、誰も来なかったら借金まみれよ、この神社」
「無利子無担保で大丈夫やし、まだマシやと思うで」
この祭りに関する金は、全て四宮神社の方で出している。
あまり信仰が回復してないからな、この山明神社は
ま、時音には結構世話になってるし、金くらいは貸すけどさ。
「まぁ、まだマシよね、圭介、感謝するわ」
「気にすんなよ、お前には結構世話になってるからな、お互い様だ」
「いや、私達の方が世話掛けっぱなしだと思うけど、ま、まぁ、あれよ
これから私達の方も四宮神社の支援もするんだし、問題無いわね!」
結構祭りにも協力してくれてるから、世話になってると思うが
向こうはそれにあまり実感が無いらしい、と言うか俺達って山明神社の世話をした事があるっけ?
う、うーん、良く覚えてないんだよな、やっぱり助けたって言う記憶はあまり残らないのかもな。
「そろそろお祭りの参加者の方々が来ますよ」
「そう、楓、ありがとうね」
「いえ、皆様のお役に立てるのならそれで良いです!」
今回の祭りは文月山に住んでいる妖怪達も総出で手伝ってくれている。
1番参加を渋っていたのは山童達だが、そこは耶麻が何とか話をしてくれた。
心桜達は意外な事に快く承諾してくれたんだよな、人を嫌ってたはずなのに。
でも、あいつらが言うには祭りの時の人間の心は祭りの事しか考えてないから
心を読んでしまっても、私達は幸せな気分になるから、らしい。
やっぱ、こう言う催しの時は全員全力で楽しんでいると言う事だろう。
「しかし、人が来てくれて助かったわ、ほんっとうに感謝しないとね!」
屋台の大半はここの妖怪達がやってくれている。
当然、花木の兎の団子屋さんだってここに来てる。
あいつは祭りの時はスゲー張り切って団子を作るからな
普段でも評判が凄く高い団子屋だが、祭りの時はいつも以上に美味しいと言われている。
理由としては花木がやってるからだろう、普段のあいつは店ではグータラしてるみたいだし。
たまに気まぐれに団子を作るくらいだ、当然その団子の評価は凄く高い。
やれば凄まじい花木が祭りの時は常時本気、そりゃ、屋台の方が美味いのは当然だろう。
「ふふふ~、今日もいつも以上に本気でやっちゃうよ~」
「頭領様の本気! いつも楽しみです!」
「ふっふっふ~、頼りにしてよ~、今日の私は普段の私の何十倍も頑張るからね~!」
普段がたるみきってるから、その何十倍と言っても大して頑張る状態ではないだろうが
まぁ、それ位の勢いで頑張るという意気込みなんだろうし、何も言うまい。
「ケロケロ、ケロ達の絶品お野菜料理なら、お祭りを盛り上げることも容易ケロ!」
「ほう、蛙達はサラダを作るのか」
「さらだ?」
「野菜を多く使った料理だ」
「ケロ! それケロ! ケロ達はサラダを作るケロ! 蛙の里で育てた絶品の野菜を振る舞うケロ!」
「でも、お祭りでお野菜料理って斬新ですよね」
「新しい事に挑戦するのが面白いケロ! まぁ、売れなくても里の皆に振る舞うだけケロ」
最悪売れなくても大して問題は無いのか、まぁ、確かに場所代とか取らないからな。
「頑張れよ、上手いこと蛙の里の野菜を宣伝しろよな」
「ケロケロ、やってやるケロ!」
「それじゃ、俺達も任された屋台をやるか」
「そうですね」
俺達も一応屋台をすることになっている、理由は1箇所だけ埋まらなかった屋台があったからだ。
折角屋台を作っても、誰も料理してないのは寂しいって事で、とりあえず俺達がやることになった。
と言うか、少し屋台を作りすぎたんだろう、テンション上がるのは分かるがな。
「それで、圭介様、何をするんですか?」
「今回はフライドポテトを作るぞ」
「何ですか? それは」
「ジャガイモを使った料理だな」
「あ、だからこんなに沢山仕入れていたんですか」
「そう言う事だ、それじゃ、やるぞ」
俺は屋台の定番であるフライドポテトを作る事にした。
準備は万全だから、大量のフライドポテトを作る。
味付けは塩、まぁ、ポテトの定番だな。
この時、どれだけ塩をかけるかで味が変わる。
ま、その他にもポテトの揚げ具合とか、材料とかでも影響するが
材料は大丈夫だ、蛙の里のジャガイモだから、極上なのは間違いない。
問題は揚げ具合だな、こればかりは勘でやるしか無い。
初めて作るわけだし、何でもかんでも勘頼りだな。
「よし、じゃ、やるか」
「はい!」
それから少しして祭りの為に来たお客さんが沢山やって来た。
俺は姿を変え、茜くらいの女の子の姿に変えている。
なんせ男性のままだと同じ顔のままなんだよな、だからすぐバレるだろう。
でも、女の姿なら問題は無い、だってこの姿を知ってるのは知り合いの間だけだし。
まぁ、姿は茜似で、ちょっと茜よりも目立つが、まぁ、バレないだろう。
「それじゃ、頑張るか」
「と言うか圭介様、なんで女の人の姿に?」
「男の姿だと顔変わらないからバレるだろ? この姿なら知ってる奴は少ないし
端から見れば知り合い同士で屋台やってるって感じだろ」
「どうしてバレたら駄目なんですか?」
「お客が集まりすぎるからだ、一応神様だし、分かるだけで凄い人が来る
それだと山明神社の信仰復活の邪魔になるだろ? だからバレないようにこの姿になったんだ
猫の姿でも良いんだが、その姿で料理は出来ない、指示を出しても失敗するかも知れないからな
金を取って物を売る以上、最高の物を作らないと行けない、だからこの姿になったんだ
てか、これ、俺も恥ずかしいんだぞ? 女の姿なんだから」
「そうですか……う、うぅ」
茜がまた自分の胸をポンポンと触り、凄く落ち込んでしまった。
や、やっぱり、き、気にしてるんだろうな、この姿、胸がでかくなるし。
憧れの象徴だから仕方ないんだろうが、何か凄く悪い事をしている気分になる。
だが、時音の邪魔になる訳にはいかないから、仕方ない。
「と、とにかく! 落ち込んでいても仕方ありませんね! 頑張ってお料理します!」
「おぉ、そうだ、一緒に頑張ろうな」
「はい! あと、ずっと聞きたかったんですけど、キャンとキキは何処に?」
「狛犬の代わりしてるよ、山明神社は狛犬無いし」
2人は狛犬の姿に変化し、台座に座っている、と言ってもあの2人が狛犬になったら
凄く可愛らしい狛犬になるんだよな、なんせ2人とも子犬っぽいし。
後、キキは少しだけ狐の部分が出ている、化けてる訳だから仕方がないが。
まぁ、祭りに来た人達はそんな事は気にしてないから良いんだがな。
それにしてもあれだな、花木の団子屋は凄い繁盛してる、その隣の賢子のサラダも
美味しいと評判になったからなのか、結構人が入っている、で、こっちは
「ポテト、3つください!」
「はい、ただいま」
「はい、ポテト3つ、150文です」
「ありがとう! 安いのは良いわね!」
結構客足は良い、まぁ、1つ100円で売ってるから結構安いだろう。
それに1つ170グラムだ、この量で100円はかなり破格だろう。
味も結構良いと評判だし、上手く行ってるようで良かった。
それにしても山明神社に来る人はかなり多いな。
やっぱ全員祭りとかは好きなんだろう、人間だからな。
でも、本来は月見、何か現状花より団子状態だが、そこは大丈夫だ。
花木の所で月見用の団子も用意してるし、山明神社の裏に月見用の席もある。
だから、ちゃんと月見の祭りと言う本筋は達成できてるって訳だ。
しかし、良い月だ、よく見えるし明るい、星もかなり見える。
周りはこんなに明るいのに不思議なもんだな。
「ポテト4つください」
「あ、はい! ポテト4つですね、200文です!」
「ありがとう!」
「け、圭介様、圭介様、残りが少ないです、は、速く次を」
「わ、分かってるって、今作ってるから、ほい、出来たぞ、5袋だ」
「ありがとうございま」
「ポテト2つください」
「あ、はい、えっと、100文です!」
まぁ、俺達は月見を楽しむ余裕は無いかな、はは、忙しくなりそうだ。




