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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第6章、夏へ向けて
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懐かしさを感じる1日

やっぱり、神様の性質上、裁縫技術もかなりの物だ。

とりあえず、茜の巫女装束を改良した感じの服を作った。

生地も薄くして、袖も短めに、下は当然短めだ、これなら、結構涼しいだろう。


「ふぅ、こんな物か」


しかし、あまり時間は経ってないな、まさか1日で作れるとは思わなかった。


「圭介様、掃除終わりました」

「おぉ、良いタイミングだな」


俺は掃除を終わらせた茜に今回縫った服を渡すことにした。


「茜、ちょっと来い」

「どうしたんですか?」

「良い物をやろう、ほら」


俺は茜に今回縫った服を差し出した。


「え? こ、これは?」

「夏服だ、流石に今の巫女装束だと暑いだろうと思ってな」

「あ、ありがとうございます、暑いと思ってたんですよ、本当にありがとうございます!」


そう言って、茜は俺が作った夏服を受け取って、満面の笑みで答えてくれた。


「喜んでくれたようで良かった」


その後、茜は自分の部屋に戻り、しばらくしてから俺が作ってやった巫女装束を着て出て来た。


「どうですか? 似合ってます?」


まぁ、普段から茜が着ている巫女装束の袖が短くなっただけなんだよな、見た目的には。

だから、当然ながら似合っている。


「あぁ、似合ってるぞ」

「ありがとうございます!」


茜は嬉しそうに笑った後、深々とお辞儀をして、嬉しそうにしている。


「さてと、それじゃあ、修行をするとしようか」

「はい! この服なら暑い中でもしっかりと修行できます!」

「そうだな、そんじゃ、まずは原点回帰って事で薪割りをやってみてくれ」

「懐かしいですね、久し振りに頑張ります!」


やはり嬉しそうに倉庫に行き、茜が斧を軽々と持ってきた。

昔は少し重たそうにしていたのに、今じゃ軽々か。

成長を感じるな、感無量って感じだ。


「それじゃ、頑張りますね!」


そう言って、茜は神社の外に移動して、薪割りを始めた。


「行きますよ! えい!」

「お!」


前までは苦戦していた薪割りだが、軽々と割った。

本当に成長を感じる、何というか嬉しいような寂しいような、そんな気分だ。


「やっぱり、私も成長していますね、1回で割れるなんて」

「あぁ、成長したな、茜」

「あ、ありがとうございます、圭介様! それじゃあ、このまま言われた数を割ります!」


更に嬉しそうにして、結構な速さで薪を割始めた。

凄い速度だ、昔までの非力な茜からは想像も出来ないほどに。


「えい! えい! 凄い簡単に割れます!」

「力が付いたな、茜」


俺が褒めたことで、更に嬉しくなったのか、茜が薪を割る速度が加速した。


「お、おい、茜、流石に早く割りすぎだ!」

「大丈夫です!」


茜がそう得意げに大きな声で話した直後だった。


「「あ!」」


力強く振り下ろしたタイミングに、茜の手から斧がすっぽ抜けた。

そして、凄い速度で神社の近くに生えている木に向って飛んでいった。


「へ? ひゃぁ!」


で、そのタイミングに偶然花木がやって来て、それをギリギリで回避した。

あぁ、何だろう、この感じ、昔あったな、懐かしい、ただ違う所は。


「・・・・うへぇ~」


茜の手から離れた斧が目の前の木に直撃すると同時に砕けたことだ。

まさか、斧の方が砕けるとは思わなかった。


「何だろう~、久々にこんな目に遭った気がするよ~」

「そうだな、相変わらず花木は運が悪い」

「別に運が悪いわけじゃ無いよ~、そもそも! 私に恨みでもあるの~!? こらー! あ!」


あまり迫力が無い怒りでこちらに走ってきたが、段差につまずいてずっこけた。


「か、花木さん、だ、大丈夫ですか?」

「うぅ、全然大丈夫じゃ無いよ~、鼻が痛いよ~」


そう言いながら花木は少しだけ笑い涙を流しながら起き上がった。


「酷い目にあったのに、笑ってるんですか?」

「あはは~、いやぁ、懐かしいと思ったら笑顔がね~」


どうやら、花木も昔の事を覚えていたようだ。


「懐かしい?」

「覚えてないのか? 昔、俺とお前が会って殆ど経ってない頃」

「・・・・あ! ありましたね! そんな事!」

「うんうん~、私が兎の状態から人の姿に経って、大して時間が経ってなかった頃だよ~

 私はよ~く覚えてるんだ~、あんなにゾッとしたのは、あの時が初めてだったからね~」

「がぐぅ!」

「ぎゃー! お、狼だぁ!」


素晴らしいタイミングでキャンが狼状態で花木の方に吹き飛んできた。

それに反応した花木は大きな叫び声を上げ、走って逃げていった。

あぁ、これも懐かしいな、最近は慣れていたのかと思ったが、やっぱり怖いままなのか。


「が、がるるる!」

「きゅーん!」


何故だか知らないが、キャンとキキが獣の姿で喧嘩をしている。

何故この姿で戦っているのか分からないが。


「なんでこの姿で喧嘩しているんでしょうか」


茜は砕けた斧の破片を拾いながら、俺に疑問をぶつけて来た。

やっぱり、俺と同じ疑問を抱いていたようだ。


「さぁな、何かの気まぐれか?」

「どうやらこの姿だろうとキキの方が強いようじゃな! 馬鹿犬!」

「何で人間の姿に戻ってるんだ! まだ勝負は着いてないじゃないか!」

「ふはは! キキが圧倒的に有利じゃったろう? あのまま戦っても無駄な事じゃったのじゃ!」

「うっさい! わっちがお前みたいな馬鹿狐に負ける訳がない!」

「無駄じゃと言ったじゃろう!? そもそもあのまま続けておたら確実に死んでいたじゃろうが!」

「あのまま続けていたらわっちが勝っていた!」

「くぅ、しつこいのじゃ! なら今度はこの姿で勝負じゃ!」

「望むところだ! わっちがお前なんかに劣るわけが無いと教えてやる!」


あぁ、またいつも通りの痴話喧嘩か、相変わらずだな、こいつらは。


「うぉぉ! 肉が1番なんだぁ!」

「ほざくのじゃ! 1番は油揚げじゃぁ!」


・・・・喧嘩の原因、やっぱりその程度の事なのかよ。


「相変わらず、仲が良い奴らだ」

「そうですね」

「ご主人!」

「茜様!」


で、俺達に気が付いて、喧嘩を止めた。


「別に止めなくても良いぞ? じゃれあえば」

「じゃ、じゃれ合ってなどおりませぬ! これは狐と犬の威厳を賭けた戦いなのです!」

「そうなのです! 全ての決着を着けるための戦いです! 後、犬じゃ無い! 狼だ! 何度目だよ!」

「狼なんぞ犬と同じじゃろ?」

「狼は犬なんぞと違い気高き精神を持っているんだ!」

「同じじゃろ?」

「こ、こんのぉ!」

「まぁまぁ、喧嘩しないでよ」

「は、はい! す、すみません!」


茜の制止もあり、結局2人の喧嘩は終わった。

何か知らないが、今日はかなり懐かしい感覚になったな。

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