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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第6章、夏へ向けて
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近づく夏

花見大会も終わり、長かった春も終わった。

今は少しずつだが夏が迫ってきている感じだな。


「そろそろ、夏ですね」

「そうだな」


茜のつぶやきに答えながら、俺は熱いお茶を飲んだ。

仮に熱かろうと、やっぱりお茶は熱い方が良いよな。

こっちに来て、そんな事をずっと思っている。


「今年の夏はどうやって耐え抜きましょうか」

「今まで通りの打ち水で良いだろう?」


今までの夏は全て打ち水と風鈴、うちわで切り抜けてきた。

こっちの夏場はその程度で耐え凌げるほどに涼しいからな。

理由としては、コンクリートとかそう言う物が無いからだろう。


「圭介様なら夏場を楽に過ごせる方法とか知ってそうですよね」

「まぁ、知っているが、夏の暑い中を生きるのも修行だぞ?」

「確かにそうですよね! 甘えはよくありません!」


やっぱり修行と言えばやる気になるのか、変っているな。

普通は修行なんて言われると、やる気が下がるだろうに。

やはり、茜はかなり向上心が高いらしい。


「と、言う訳で、お掃除してきます!」

「あぁ、頑張れよ」


そして、そのやる気のままで神社の境内の掃除を始めた。

しかし、少し辛そうに見える、まだ夏が本格化してないのにあれか。

やっぱり巫女装束が厚いのかも知れないな・・・・仕方ない、一応夏用の巫女装束でも作るか。


「よしっと」


俺は神社の貯金をしている場所を空け、生地を買うための金を出した。

俺の力なら買い物は必要なく、召喚できるんだけど、それは何かズルいからな。

そう言う材料とかはしっかり買わないとな、金も貯まってるし。

貯金は何百貫文もあるからな、お賽銭だけで良くここまで貯まるな。


「あ、圭介様、どちらに?」

「ちょっと買い物だ、すぐ帰ってくる」

「はい、分かりました」


俺は分霊を配置した後、鳥居を出て神社から出ようとした。


「あれ? 圭介様、瞬間移動はしないのですか?」


あぁ、やっぱりそこは気になるか、普段は瞬間移動で動いてるからな。


「今日は歩いて行こうと思ってな、風も感じたいし、たまには良いだろ?」

「確かにそうですよね、すぐに目的地に行けるのは良いんですけど

 そうやって歩くのも良いですよね」

「そう言う事だ、一応留守は俺の分霊が守ってるから大丈夫だろうから、すぐに帰らないで良いだろう」


長期間神様が神社から居なくなるのは困るからな。

でも、分霊を用意できると分かった以上、急ぐ必要も無いだろう。

まぁ、伊央は色々と暴走気味だからあまり長期間空けるわけには行かないが。


「では、伊央はご主人様が戻ってくるまで、この神社の最高責任者だから、社長なのですじゃ!

 と言うわけで、茜! 伊央の言うとおりに動くのじゃぞ!」

「あ、はい、えっと、すーぱー伊央様」

「伊央様と呼ぶのじゃ、スーパーは要らぬ」

「え、えっと、じゃあ、伊央様、お任せください」

「うむ! それで良いのじゃ!」


そんな異常な程にハイテンションな伊央を見て、茜がチラリとこちらを向いた。

どうやら、出来るだけ早く帰ってきて欲しいようだ。

ま、まぁ、あんな暴走している奴に振り回されるのは嫌だろうしな。

仕方ない、出来るだけ早く帰ってくるとしよう。


「見付けたぁ!」

「ぬぉぉ! や、止めるのじゃぁ!」

「あ?」

「待て待てー! 捕まえてやるもんねー!」

「止めるのじゃぁ! 伊央はお主らと遊んどる暇は無いのじゃ!」

「逃がさないもんねー!」


伊央が草で出来た虫取り編みを持っているサラに追いかけ回されている。


「サラちゃん! 駄目だよ!」

「待て待てー!」

「止めるのじゃ! 伊央はすーぱーな神様なのじゃぞ!?」

「絶対捕まえてもふもふするの!」

「止めろぉ! もふもふは嫌じゃぁ!」


そう言えば、前に伊央がサラに捕まって全身を撫でられてたな。

特に尻尾と耳、もふもふって奴はそれかな。

何だか知らんが、本当にあいつは俺の分霊なのか? それが疑問でならない。

てか、そもそも嫌なら力を使えばサラ程度は簡単に制圧できそうなのにな、一応分霊だから

でも、あいつはそれを一切しようとせず、ひたすら半泣きで逃げているだけか。


「なんであいつ、抵抗しないんだ?」

「圭介様の分霊だから、反撃しちゃうとサラちゃんが大変な事になっちゃうからですかね?」


じゃあ、もしかしてあいつは力が強大なことは分かっているのか。

それと同時に、加減をすることは出来ないと、うん、まだまだ未熟なんだな。

生まれたてだから色々と難しいのかも知れない。


「まぁ、良いか、とりあえずいってくる、留守は頼むぞ」

「あ、はい、お任せください」


俺は茜たちに留守を任せ、ゆっくりと階段を降りていった。

その時、チラリと後ろを見てみたら、茜が少し寂しそうな表情をしているのが分かった。

何だ? 俺が離れるからか? いや、まさかそんな訳ないか。

あいつはもう年齢的には高校生だしな。

じゃあ、もしかしたら、何か買ってほしいものとかあったとか?

うーん、それはあり得るな・・・・仕方ない、何が欲しいか分からないから

花木の和菓子でも買って帰るか。


「ちゅん、ちゅん」


ふむ、しかし、色々と出てくる時期になって来たな。

毛虫はそろそろ少なくなってきたがな。

俺はそんなことを考えながら、ゆっくりと村に向っていった。

その道中、たまに参拝客に遭遇し、挨拶を交わしたりした。

そんなこんなで村に着き、買い物もある程度終わらせて、神社に戻ると。


「止めるのじゃぁ!」

「どうなってるんだ?」


神社に戻ると、伊央の奴がサラに捕まってもふもふされていて、必死に抵抗。


「離すのじゃ!」

「わぁ!」


必死の抵抗で何とか脱出に成功したが、今度は着地と同時に。


「はむ」

「ぎゃぁあー!」


狼状態のキャンに服を噛まれ、持ち上げられた。

当然、必死に抵抗しているのだが、ただひたすらに足と手をバタバタさせているだけで、効果は無い。


「離すのじゃぁ! い、伊央はスーパーなのじゃぞ!? 偉いんじゃぞ! 凄いんじゃぞ!?」

「わふぅ」

「き、気安く伊央の頬を舐める出ない! き、汚いでは無い、むわぁ!」

「あれだな、キャンは狼の状態になると普通に狼になるからな、場合によるけど」

「ふはははは! 無様じゃな! 馬鹿狼! 今更、け、獣の姿など! ふははは!」

「ぐらぁぁ!」

「ぬわぁぁぁ!」


キキの挑発により、怒り状態になったキャンが、口にくわえていた伊央をキキの方に投げた。


「おぉっと、もう1人のご主人、大丈夫かの?」

「だ、大丈夫じゃ・・・・あと、敬語を使えぃ、伊央はお前のご主人の分身で」

「ぐらぁぁぁ!」

「ぬぉぉ!」


怒り状態になったキャンは、すごい勢いでキキに飛びかかった。

それに驚いたのか、キキは手に持っていた伊央を宙に投げた。


「な、なんじゃとぉぉぉ! がふぁぁぁ!」


そして、そのまま真っ逆さまに頭から地面に激突した、ありゃ痛いぞ。


「あ、伊央様、大丈夫ですか?」

「う、うむ、頭が割れたようじゃが問題ないのじゃ」

「わ、割れたんですか!?」

「冗談に決まっておろうが、しゅ、修行が足らぬぞ」

「はぁ、良かったです、頭が割れたわけじゃ無くて」


俺が戻ってきて、殆ど経ってないのに、これだけのハプニングが起こるとは。

あれだな、あいつは結構不幸体質なんだな、いや、絡まれやすいだけか?


「しかしよ、騒がしいもんだな」

「あ! 圭介様!」

「お、おぉ、ご主人様、ようやくお帰りに、ご安心くだされ、この通り、神社が無事です・・・・のじゃ」


俺に必死に声を掛けた後、倒れて、座布団に変化した。

どうやら、力が限界にいくと、座布団に戻るらしい。


「どうやら、限界らしいですね」

「そうだな、ま、必要なときは呼べば良いだけだろう」


今日は結構忙しかったな、伊央の奴。

しかし、背が小さいからサラとかには追いかけ回されてるようだし。

あいつは虫とか結構好きらしいし、イナゴとバッタは苦手らしいがな。

確か、顔が嫌いなんだっけ、草を食うからとかじゃなくって。

いや、そんな事はどうでも良いかな。


「よしっと、それじゃ、俺もやることやるか」

「何かするんですか?」

「あぁ、ちょっとな、ま、気にしないでくれ、たいした事じゃ無いから」

「あ、はい、分かりました」


俺は茜にそう言って、自分の部屋に入った。

さて、さっさと茜の夏服を作ってやるとするか。

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