基本は難しく
「それじゃあ、次は足し算だ、まぁ、計算の基本中の基本だから、しっかり覚えていろよ」
「分かった!」
サラ達は俺の言葉を聞き、かなりわくわくしながらそう返答してくれた。
これは、教え甲斐があるというものだ。
「足し算というものは、数字を単純に組み合わせることだ」
「どういうこと?」
「まぁ、まずは数字だ、何処まで覚えてる?」
「えっと、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,えっと、1」
「10以降は10の隣に1が付いて、11だ、で、19からは20で、その隣に1が付いて21だ」
「ふむふむ、では、29の後は30ですな!」
「そう言う事だ、基本は変わらないで、この1から10を繰り替えす
まぁ、あれだな、分ける感じで良いな」
「えっと、1と10を分けて、えっと、えっと?」
何か基本を教えるのって、非常に難しいと感じるな。
とりあえず、そうだな、紙に色々と書いてみるか。
「よし、ここに数字があるな、これが1,これが10、これが100だ」
「うんうん、0が増えてるね」
「そうそう、で、これを1桁と言って、これが2桁、これが3桁だ」
「ほうほう」
「で、これがその桁が10に達したら、次の桁に移り、その桁が増える
だから、19の次に20と、10になったと同時に2桁の方が増える」
「そんな風に増えるんだね」
「で、その、2桁目と言うものが90になって、で、99の次は100なるの?」
「そう言う事だ、まぁ、簡単な数字の流れだな、覚えておけ」
何とか理解して貰う事が出来たか、説明というのは難しいもんだな。
かなり苦戦したな、基本中の基本を教えるのはやっぱり難しいな。
「さて、それじゃあ、本題の足し算だな、足し算はこの数字を足す、と言うか合わせることだ
まずは基本の1+1だ、左手にりんごが1つ、右手にりんごが1つある、それを合わせたら?」
「・・・・えっと、左に1つ、右に1つで、それを合わせたら、2つだね」
「そうだ、まぁ、こんなのが足し算の基本だな、で、次は1+2だ、どうする?」
サラ達は俺の説明を聞き、同じ様に指を折りながら計算をしている。
そして、少し時間が経ち。
「分かった! 2!」
「えっと、3?」
「3ですか?」
「3だろうな」
「3だろうね~、それ位は分かるよ~」
サラ以外は出て来たな、花木はすぐに分かったようだが。
「答えは3だ、サラ以外は当たりだな」
「2じゃないの!?」
「そうだ、1つのりんごと2つのりんごを合わせれば、3つになるだろう?」
「あ、そうか! じゃあ、12だ!」
「どうしてそうなる?」
「1と2を合わせたら12になるし」
「2桁が1で、1桁が2を合わせたらって質問なら正解だな、だが、俺の問題は1つと2つを合わせたらだ」
「あ、じゃあ、3!」
はぁ、何とか分かってくれたか、難しいものだな。
「それじゃあ、次は2+5だ、これならどうなる?」
「7~」
「7!」
「7だな」
「7です!」
「7!」
おぉ! 全員がすぐに答えることが出来たな。
よしよし、1桁の足し算は理解できたか。
「じゃあ、今度は5+6だ、分かるか?」
「11~」
「えっと、えっと、ゆ、指が足りません!」
「11・・・・?」
「11だな」
「1!」
何でサラの計算では1になってるんだ? どういう考え方をしたんだ?
「なんで1に?」
「10になったら1になるって!」
「10になったら、その隣に1が追加されるんだ」
「え? じゃあ、えっと、えっと」
「分かった! 11です!」
「は! 11か!」
まぁ、何かあれだけど、何とか分かったようだな。
何とか理解してくれたようで良かった。
「まぁ、そんな感じだ、じゃあ、次だ、10+20は?」
「30~」
「えっと、えっと、30です!」
「30かな」
「30」
「30!」
よしよし、どうやら2桁の計算も何とか分かったようだな。
じゃあ、今度は少しだけトリッキーな計算問題を出してみるかな。
「じゃあ、今度は少し難しいぞ? 22+55だ、分かるか?」
「「「「77」」」」
速攻で全員が計算を終わらせ、答えてくれた、どうやら、理解できてるらしい。
かなり理解能力が高いようで助かったぜ。
「よしよし、正解だ、やるじゃないか、よく分かったな」
「もう、足し算は分かったよ!」
「繰り上がりとか教えてないんだが、よく分かったもんだ
じゃあ、次は引き算だな」
俺は足し算を教えた時と同じ様に、引き算の計算を教えた。
やっぱり、基本中の基本を教えるのは難しい。
だが、これがなってないと他の事を教えることは出来ない。
どん場合でも基本が大切だし、そもそも、基本を覚えている事を前提に教えるからな。
「さて、そろそろ遅くなってきたな」
「そうだね、お腹空いた、あと、頭が痛くなってきたし」
「流石に6時間もほぼ休み無しにやったらそうなるよな、じゃあ、飯を作るさ、待っててくれ」
「分かった!」
「そうか、じゃあ、あたしも料理を作るのを手伝おう」
「あぁ、久里、終わったのか?」
「ついさっき終わったんだよ」
「そうか、じゃあ、頼む」
「任せて」
「終わった、分かった?」
「分かりました、茜様、難しいですね、計算というのは」
「私が教えるのが苦手なだけなんだけど・・・・あ! 圭介様、お料理をするんですか?
なら、私にもお料理をしているところを見せてください!」
「分かった、ほら、早く来い」
「はい!」
俺達は3人で料理を作り始めた、茜はものすごくわくわくした表情で
俺と久里の料理を見ながら、紙に色々と書いていた。
相変わらず、勉強熱心だな、茜は。




