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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第4章、花見の為の準備
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怪我の功名

俺は久里が好きそうなたぬきうどんを作り、食卓に並べた。

で、そのおかずとして、エビの天ぷらに、ついでに刺身も用意した。

刺身は鉄則だよな、俺は刺身が大好きだ、くたばる前は毎日刺身でも良いと思ってたほどに。

でも、金の関係上、それは出来なかったが、こっちなら、捌き放題だしな。


「わぁ! 今日は、おうどんなんですね!」

「あぁ、油揚げものせてる、まぁ、あれだな、たぬきうどんだ」

「たぬきうどん、そんなうどんがあるのね」

「あぁ、あるぞ、うどん屋なんてここら辺には無いけどな」


そろそろ、村も発展してきたし、うどん屋くらいあっても良いだろうに

うどん屋は無いんだよな、と言うか、店や全般が無い。

花木の団子屋くらいしか、村には料理屋が無いんだよな、何でだろうか。


「なんで私の団子屋さん以外にお店は無いのかな~?」

「村の人達は、皆料理が上手いからな、外食は必要ないんだろう」

「へぇ、そうなのか、知らなかったな」


でも、いつか食事処は出て欲しいな、その方が、村も賑わうだろうし。

まぁ、無理言っても仕方ない、最悪の場合は神社で店屋でもするかな。

にしても、屋台はあるのに、食事処が無いのは何でだ? 全く分からん。


「理由は分からないが、その内出来るだろう、さて、キキ達を呼んでくる」

「あ、私が行きます、圭介様は座っていてください」

「ん? いや、別にキキ達を呼ぶくらいだし、俺でも」

「あれだよ、多分、自分は料理が出来なかったから、働きたいんだろうさ」

「あぁ、そう言う事か、じゃあ、茜、呼んできてくれ」

「はい! では、行ってきます!」


茜は元気よく立ち上がり、キキ達を呼びに、2人の部屋まで小走りで移動した。

そして、2人の部屋に入り、ご飯だよ! と、元気よく言うと、部屋から2人が出て来た。

2人の服は、結構ボロボロで、かなり乱れてしまっている。


「ご飯なのじゃ-!」

「わっちが最初に行くんだ!」

「無駄じゃ! 馬鹿犬では、キキの足には追いつけぬわ!」

「ぐぬぬ! たりゃぁ!」

「ぬぉ! ぬぉおお!!」


キャンがキキの足に飛びつき、2人は盛大にずっこけた。

相変わらず、喧嘩ばかりしてるな。


「喧嘩ばかりするんじゃ無い、全く、お前らは本当によ」

「すみませぬ、ご主人」

「は、反省しています」

「そんなに急がなくっても、ご飯は逃げないよ?」

「そうですな! さぁ、速くお食事をしましょう!」

「そうだね、でも、その前に皆を呼ばないと、後は刀子さんだね」

「呼ばれないでも来るよ、大きな物音がしたし」

「あ、刀子さん、じゃあ、これで揃いましたね!」


俺達は全員席に着き、一斉に挨拶をして、食事を始めた。

皆、相変わらずガツガツ食うな。


「美味しい! すっごいあっさりしてる!」

「あぁ、お前らはあっさりしたのが好きだろう?」

「うん! やっぱり、濃い味よりも、この方が良いよ!」

「そりゃどうも」


サラはすごい勢いでばくばくと食べて行っている。


「止めろ! キキ! お前は油揚げは十分食べたじゃ無いか!」

「足りぬのじゃぁ! お主のもよこせい! キャン!」

「ふざけるなぁ! お前だけ、油揚げ4つあったじゃないか! 何でわっちのまで取ろうとしてるんだよ!

 わっちの油揚げは2つしか無いんだぞ!?」

「どうせお主は油揚げは好きじゃ無いのじゃろう!? 前も言ってたではないか!」

「あれは! お前をからかうためであって! 本当に嫌いって言う訳じゃ! あぁ! 取るなぁ!」

「取ったのじゃ! キキの勝利じゃぁ!」

「止めろぉぉ! わっちの油揚げを返せぇ!」


うーん、キキの奴には油揚げを多くしたのに、それでもまだ足りないのか。

どんだけ食いしん坊なんだか。


「あぁ、駄目だよ、2人とも、喧嘩しちゃぁ」

「ですけど! こいつがわっちの油揚げを!」

「大丈夫だよ、はい、私のをあげるから、喧嘩はしたら駄目だよ?」

「あ、茜様! ありがとうございます!」


自分の油揚げをキャンに渡して、この場を沈めたか、あいつも油揚げは好きなはずなのにな。

いやぁ、何というか、お姉さんって感じがするな。


「茜は優しいね~」

「そうだな、お姉さんって感じだ」

「そうだね~、世話焼きのお姉ちゃんって感じだよね~」

「よし、っと」

「あぁ! 久里~!? 何で私の油揚げを取ってるの~!?」

「そうだな、あたしも好きになったからな、油揚げ、初めて食べたけど、美味しいし」

「そんなぁ~! それは、私の油揚げだよ~!?」

「今日、仕事をさぼっていた罰だ」

「あんまりだ~!」


うん、花木にはこれ位の罰が無いと駄目だろう。

サボりをすれば、それなりの罰を与えるべきだし。


「やれやれ、賑やかなこった」

「そうだな、相変わらず、ここは賑やかで飽きないな、これも、お前がいるからか?」

「違うだろう、こいつらが賑やかなだけさ」


なんせ、俺はこの会話に一切介入してないし、少し相づちは打ったけどな。


「そうか? そうは思えないけど、この料理をお前が作ったから、こんなに賑やかなんじゃ無いか」

「ふ、そうかもな、さて、じゃあ、俺達も食うか、ほら、刀子もしっかり食えよ」

「分かってるさ」


俺達は自分の食事を再会した・・・・・・・それから、しばらく時間が経ち。

俺達は全員食事を完食し、ごちそうさまと挨拶も終えた。


「それじゃあ、食器は私が洗ってきますね!」

「あぁ、頼む」


茜は食器をお盆に入れて、食器を洗いに行った。


「さてと、それじゃあ、俺は風呂の準備でも」

「圭介~・・・・」

「ん?」


久里は、いきなり俺の腕を掴んできた、それも、顔を真っ赤にしながら。

何だ? 明らかに普段通りじゃ無いな。


「どうしたんだ? 顔が真っ赤だぞ? 調子が悪いのか?」

「あはは、よく分からないけど、目の前がクルクル回ってるんだよ・・・・うへぇ」


久里は確実に表情が緩んでいる・・・・本当に、どうなってるんだ?


「もしかして、酔ってる?」

「そんなわけ無いじゃん! だって、お酒なんて飲んでにゃ~い!」


これは、確実に酔ってるな、あのクールな感じの久里がここまで感情表現豊かになるわけが無い。

だって、あの言葉だって、ものすごい笑顔で言ってたし。


「どうなってる?」

「あぁ~、そう言えば~、化け狸って油で酔うんだよね~、だから油揚げの影響かもよ~」

「あ、油揚げの影響だと? と言うか酔うんだな、油揚げで」

「正確には油だけどね~」

「うにゅぁ~、えへへ~」


う、うーん、久里が普段と様子がおかしいせいで、どうも調子なぁ。

こう言うとき、俺はどうすれば良いんだ?


「どうすれば良いんだ?」

「とりあえず~、布団に運べば良いよ~」


あぁ、布団にね、寝床に運べば良いんだな。

俺は久里を抱き上げて、部屋まで連れて行った。

そして、布団を敷き、そこに久里を寝かせた。


「うし、これで、後は布団を掛ければっと、お?」


俺が布団を掛けたとき、久里は俺の腕を思いっきり掴んでいる。


「どうしたんだ?」

「うーん、実はね-、あたし、悩んでることがあるのだ~」

「な、悩んでること?」

「うん、あたしは、あの子達の立派な頭領なのかな~って」


あの子達って言うのは、あの化け狸達のことか。


「あたしには、花木みたいな不思議な魅力も無いし~、皆には厳しい

 皆、いっつもあたしの言う事を聞いてくれるけど、本当は内心怒ってるんじゃないかってね~」

「お前、そんなどうでも良いことを悩んでたのか?」

「どうでも良いとは何さ~、あたしにとっては、とっても大切なことなんだよ」

「あのな、あいつらはお前の事を慕っているさ、慕ってなければ、お前の体を心配してくれてない

 慕ってるからこそ、あいつらはお前をよく見て、お前の為を思って、四宮神社に止まった方が良いと

 そう言ってくれたんだ、だから、自信を持て」

「そうか~、そうだよね~、えへへ、楽になったよ、ありがとう」


久里は真っ赤な顔でそう言って、目を瞑り、眠った。

すぐに眠ったな、俺に悩みを相談して、気が楽になったのか?

まぁ、何だ、完全に事故だったが、結果オーライだな。

酔ってる状態での会話だし、覚えていないかも知れないが、こいつの悩みがこれで無くなれば良いな。

もし、記憶が無かったら、後で俺の方から言ってみよう

少なくとも、こいつがこんな悩みを抱えていたことは確かなんだしな。

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