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神社対抗のファッションショー

さて、今回の花見の一大イベントだ、四宮神社と山明神社対抗、お洒落対決。

盛大なイメージチェンジ大会ってね、さて、待ってましたって感じだ。

今回のための服は完璧に揃えてる。


「それで、審査員は睦月よ」

「え? 何? 私は参加できないの?」

「いや、ほら、お前って長い間霊体だったし、その霊体が少女の姿になったから

 雰囲気は十分変わってるからさ」

「な、なる程ね・・・」

「因みに、俺の服の奴は周りから色々と聞きながら作った」

「それはそうよね、私もよ、自分の主観だけで判断しても、良いもんは出来ないからね」

「そう言うこと、そもそも、俺は性別違うから、そう言うの厳しいんだよな、聞かないと」


まぁ、各々のイメージに合いそうな服を作ったし、と言うか、周りのイメージの服だし

結構面白い物は出来たと思う。


「さて、それじゃあ、皆は服を着にいってね」

「分かりました」


時音の指示もあり、最初は茜が台の裏側に行った。

あそこが更衣室だからな、本来、あの台はこのお洒落対決の為だけの台だったし。

それが、いつの間にか競争をするための物に、ま、有効活用だな。


「1人1人だから、皆も楽しめるのよね~、やっぱり、こういう感じが良いわ」

「人によっちゃあ公開処刑だがな、ま、知り合いしかいないし、自分で作ったわけでも無いし、良いが」

「茜の新しい服ね、どんな感じかしら、凄く楽しみだわ」

「全員の意見を聞いて、それっぽい感じに作ったから、似合ってるはずだ」


それから、少しして台の方から茜が服を着てやって来た。


「ど、どうでしょう?」


茜の服はお淑やかな感じの赤と白の和服だ。

ついでに金色の刺繍で茜の花も付けてみた、名前も茜だから、丁度良いだろうしな。

簪にも茜の花の飾り付けの簪、それにしても、付ける場所を指示したわけじゃないのに

茜の奴、俺が付けて欲しいと思った場所に簪をしてる。


「おぉ! 似合ってるわね! 茜らしくお淑やかじゃないの」

「そりゃあな、茜はいっつもお淑やかだし、派手めじゃない方が良いだろう

 因みに、茜の刺繍は葵の少しは派手にした方が良いわよね、と言う理想を実現するためにした」

「お年頃の女の子らしく、少しは自己主張はしないと駄目よね~、やっぱり、うん、似合ってるわ」

「そ、そうですか? え、えへへ、す、少し、嬉しいです」

「うんうん、茜ちゃんみたいだよね! でも、あれだと戦うときとか大変そうだよね」

「戦う事を前提の服じゃないし、そもそも、茜って戦いって雰囲気無いし」


まぁ、一部戦いが大好きな人達からの評判は低かったが、それでも殆どは良かったと行ってくれた。

実際、かなり似合ってる、うん、作ってやった甲斐がある、実際、1番力を入れたからな。

本来は茜にお洒落をして欲しくって色々やったんだし、まぁ、花見は予想外だったがな。


「それじゃあ、茜、こっち来てくれ」

「あ、はい」

「よし、それじゃあ、次よ! 次は水希ね」

「え? あたい? うん、行ってくる・・・ます」


ふと思い出したかのように敬語を使うな、水希は。

でも、時音は気にはして無さそうだよな、敬語とか。

それから、水希が更衣室に入って、少しして、出て来た。


「うんうん! 動きやすい!」


水希の服は上着は青で、スカートは白で膝下程度の長さの洋服だった。

服には拳の刺繍がしており、なんというか、変わった雰囲気だ。

しかし、なんで洋服? いや、普通は和服じゃね? 洋服とかあるの?


「なんで洋服?」

「洋服? 何のこと? あれは、妖怪達がたまに着てる変わった服よ、似合ってるでしょう?

 普段の服も良いのだけど、あの子は戦う事が多いから、普段のよりもあっちの方が良いと思ってね」

「まぁ、そうだな、少し派手に動けるし・・・でもよ、ズボンで良いんじゃね? イーリアみたいな感じの」

「それも考えたのだけど、どうも難しくてね、どんな素材で出来てるのかしらね、あれ」


やっぱり、一応色々と遅れてるんだな、この世界は。

それにしても、妖怪達は何であんな服を? この世界の人間の恐怖の象徴なら和服だろうに。

やはり、妖怪達の謎はそこそこ深いんだな。


「ねぇ、圭介のその服も結構それっぽいわよね、その素材、なんなの?」

「いや、なんなのと聞かれてもなぁ、えっと、神力?」

「あぁ、そうだったわね、私達の服って、そうやって出来てるのよね

 あなたに聞いても、分かるわけ無かったわ」


そもそも、ズボンの素材なんて考えたこともないんだよなぁ。

売ってる物を買って、ただ履く、ただそれだけだし。


「まぁ、良いわ、水希、こっち来なさい」

「分かった!」

「それじゃあ、次ね、次は四宮神社の方からよ」

「じゃあ、そうだな、花木かな」

「私~? 良いよ~」

「あ、はいればどの服かは分かるだろうから、名前書いてるし」

「うん~、分かった~」


そう言って、花木は控え室の中に入っていった。

それから、かなり時間が経ち・・・ようやく花木が姿を現した。


「これであってるよね~?」


花木が着てきたのは、兎の刺繍を入れ、薄く黒っぽく、全体的に小さい和服だ。

まぁ、うん、一応兎勢の服なんだが・・・


「いや、花木、それ違う、それは兎梨のだ、兎梨の」

「ん? 違うの~? おかしいなぁ、確かに小さいとは思ったけど、兎だし~」

「ちゃんと字を書いてただろ!?」

「よく分からない線みたいな物なら沢山あったね~」


・・・もしかして、え? あいつ、文字読めない?


「もしかして、文字、読めない?」

「読めるよ~? 読めないとお団子屋さんなんてしてないよ~」


・・・そういえば、兎の団子屋の商品名って、全部ひらがなだったような・・・


「・・・あぁ、完全に誤算だったわ、そうよ、考えてみれば、そうよね・・・」

「もしかして、妖怪って全体的に漢字弱かったり・・・?」

「そうよ、そう、花木は結構頭良い部類よ、場合によっては、ひらがなも読めないわ」

「・・・そうか・・・か、完全に誤算だった・・・こんな落とし穴があったとは・・・」


考えてみれば、そうだよな、妖怪だし、人間の言語なんか理解しないでも良いよな。

そりゃあ、誰も勉強なんかしてないよな、言葉は分かってる奴ばかりだから甘く見ていたが

会話と文は違うわ、花木の名前だって、口で言っただけだった気もするし。

だから、花木からしてみれば、花木って名前は花と木じゃなく、ひらがなの、かき、だったと言うね。


「あぁ、あれよ、悪かったわ、私達の完全なる誤算、仕方ないから本番は桜の花が咲いた時ね」

「え~、折角着たのになぁ~」

「うーん、楽しみだったんだけどなぁ、でも、まぁ、良いかな、後に取っておくって感じで」

「それじゃあ、圭介、それまでにあの子達に漢字を教えるわよ、せめて自分の名前を」

「分かった、そうするよ」


折角のメインがこんな形で終わるとは・・・

仕方ないが、まぁ、茜の気分転換は出来たし、良いかな。

だが、このままだと何か閉まらない。


「どうする? なんか閉まらないぞ?」

「じゃあ、あれよ、圭介、あなたの七変化で何とかするのよ」

「はぁ!? 何でそうなる! お前がやれよ!」

「いやぁ、それがその、私って信仰がまだ足りないのか、この姿にしかなれないのよね

 でも、あなたなら変化自在でしょう? だから、それで閉めてよ」

「ま、マジで!」


な、なんてこったい、まさか七変化で閉めさせられるとは。

まぁ、こうなったのは俺の責任でもあるし、仕方ない、やるか。


「はぁ、分かった、やるよ」

「よしよし! それじゃあ、ちゃちゃっとやって!」

「おぉ! 圭介がなんかやるんだ! 楽しみ!」


俺は嫌々台に上り、時音に言われたとおりに七変化を行なった。

俺は猫、蛙、犬、鳥、烏、狼、狐と色んな姿に変化した。


「さぁ、最後に女の子の姿よ! やってみて!」

「な! はぁ!?」

「け、圭介様の女の子の姿・・・ですか、想像できません」


時音の奴、余計なことを言いやがって・・・誰がそんな姿に・・・


「どんな姿だろう!」

「気になる」


うぐ、周りの視線が・・・畜生、時音の奴め本当に余計なことを!

この視線は、やるしか無い! もう、やるしか無い!


「だぁ! やってやらぁ!」


俺は仕方なく女の姿に変化した。


「どうだ!」

「おぉ! 茜をものすごく大人っぽくした感じになった!」

「け、ケロ・・・お、大きいケロ・・・爆乳ケロ・・・」


どうやら、茜の姿に似ていて、なおかつ色々と大きいらしい、だが、もうこんな姿はごめんだ!

俺はすぐに元の姿に変わった。


「・・・・・・わ、私もいつか、あんな大きく・・・お、大きく・・・な、なれますよ!」

「か、神様ってズルいです! なんですかあれ!? 喧嘩売ってるんですか!?

 お、お、男の人なのに大きいなんて、理不尽です! 小さくあるべきです!」

「いや、そんな事言われてもだな、こればっかりは変化したらそうなっただけだし

 そもそも、俺の意思じゃないし・・・と言うか、誰かのあこが・・・あ」


そういえば、神様って誰かの憧れの象徴なんだよな・・・となると、俺が女に変化したとき

色々と大きかった理由って・・・・・・これ以上は止めておこう。


「ま、まぁ、これで終わりだ! 良いだろ!」

「あはは! 面白かったね! 神様の隠し芸ってのも!」

「隠し技沢山あるようですからね、それを拝むことが出来たのは喜ばしいです」


まぁ、一部に結構なダメージを与えた俺の七変化、まぁ、八回変化したがは

結構受けた様だ、しかし、あれだな・・・うん、憧れって凄いな。

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