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対等な戦い

「そんなら、早速いくで、イーリア、精々、すぐにこぼさへんようにしいな」

「それはこっちの台詞だぜ、お前はバランスとか苦手そうだからな!」


台に上がった2人は、早速真っ直ぐに走った。


「おっとと」

「あ、あぶなぁ」


しかし、2人はすぐにこぼしかけたようで、一旦停止、盃を安定させた。


「そこや!」

「あっぶな、っと、こ、こぼれるっての!」

「あ、あかん! 攻撃しただけで、こぼれかけてしまうやないか!」


やっぱり、あの制限が2人には結構効いているようだな。

そりゃな、茜みたいにバランス感覚が高いのなら派手に動けるだろうが

そうじゃないんだ、それだと、非常に難しい事になるだろう。


「くぅ、こぼしそうやから、派手に攻撃出来へんわ!」

「それが目的だからな」

「ふふ、効果的ね、周りも笑ってるし」

「あはは! 師匠、面白い格好!」

「苦戦しているのがよく分かりますね」

「ケロケロ! ほらほら! 頑張るケロ!」


この戦いを見ている皆も結構楽しんでくれているようだし

盛り上がりとしては丁度良いかもな。

本来は制限を掛けるためにやっただけだが、割と良い感じで良かった。


「い、今なら!」

「おわぁ! ちょ、とと、あ、危ないやないか! こぼれるとこやったで!」

「こぼしに行ったんだ! とうぜ、あ、ちょ! あぶな!」

「追い打ちを・・・っとと、駄目や! 盃の酒が気になって、攻め込めへん!」


これは、中々決着とかは着きそうに無いな、でも、普段大暴れしているあの2人が

ここまで苦戦して、派手に動けないのは珍しいな。


「これ、決着付くんでしょうか」

「着くんじゃ無いの? どっちかが転けるかして」

「水菜さんとイーリアさんが転けてる姿は想像できませんね」

「普段は転けないからな、それに、逃げることも無いだろうから転ける様子は想像できない」


転けるパターンとしては、敵前逃亡して転けるとか。

普通に歩いていて、足を引っかけて転けるくらいしか無いからな。

だから、そう言う状況に基本的にならない2人の転けた姿は想像が難しい。


「くぅ、やっぱり、バランスを取りながら戦うっちゅうんは、難しいもんやな」

「それは思うが、ま、出された条件下でどれだけ力を発揮できるかが大事だからな!」

「そうやな、と言うわけで、大人しくうちに負けとけや! イーリア!」

「そう言われて、はい分かりました等と言うわけが無いだろう? 水菜よぉ!」


おぉ、2人がある程度あのバランスを取りながらの戦闘になれ始めたぞ。

いやぁ、流石は戦闘の天才と、その天才とタメを張れるイーリアだな。


「でりゃぁあ!」

「甘いで! イーリア! 団子並みにあまあまや!」

「それは、こっちの台詞だぜ!」


お、相手が間合いを詰めた瞬間、お互いがお互いの盃を打ち上げた。

水菜は隙を突き、イーリアが左手に持っていた盃を拳で打ち上げ。

それとほぼ同時にイーリアは水菜の左手にある盃を蹴り上げた。


「さ、盃が!」

「「勝つのは!」」

「俺だぁ!」

「うちやぁ!」


2人は自分が打ち上げた、相手の盃を掴むために、その方向に走り出した。

こうなると、最初にあの盃をキャッチして、飲んだ方の勝ちだな、さて、どっちが勝つ?


「うらぁぁ!」

「はぁぁ!」


2人は同時に盃をキャッチした、そして、キャッチして速攻で、盃の中の酒を飲み干した。


「ぱふぁ・・・」

「ぷはぁ・・・」

「ど、どうだ!」

「ど、どうや!」


これは結構厳しい判定だな、と言うか、完全に同時だったな、飲み干して顔を上げたタイミングも

完璧にシンクロしていた。


「さて、どうする?」

「これはもう、完全に引き分けね、全く寸分の違いも無いくらい同時だったわ」

「と、言うわけで、この勝負は引き分けだ!」

「「「わーー!!」」」


俺の言葉を聞き、この戦いを見ていた全員が一気に歓声を上げた。


「何や、引き分けかいな」

「まぁ、良いじゃないか、実力が均衡してたって訳だ」

「おぉ! 師匠! イーリア! 凄い!」

「かなり面白い勝負でしたね」

「何というか、激戦じゃったな!」

「あぁ、でも、茜様の方が凄いんだろう?」

「茜は色々と特殊なんだよ~、まぁ~、あの2人も相当だけどね~」

「全く、そう思うよ、普通あんな真似できないからな、私だったら確実に無理だ」

「刀で戦ってるんだし、仕方ないんじゃ無いかしら? 全身を使って戦う訳だし」

「とにかく、あの2人は頑張ったって事だね! 凄いよ!」


全員の歓喜の声を聞きながら、2人はゆっくりとあの台から下りてきた。


「イーリア、とりあえず、おもろかったで、それに、どうやら、皆も楽しめたようやし」

「そうだな、ふふ、水菜、改めてお前のすごさを痛感した、でも、今度は勝つ」

「あはは! 無理や無理や! 今度は、うちが圧倒的な力を見せ付けるんやからな!」

「ふふ、それは、どうかな!」


2人は軽くそんな会話をしながら、力強くお互いの手をがっちりと握った。

お互いがお互いを評価し、認めている関係か、中々良いじゃないか。

それに、花見も盛り上がったし、中々面白い賑やかしだったな。


「それじゃあ、今度こそね」

「あぁ、今度こそやるぞ」

「「山明神社と四宮神社のおしゃれ対決!」」

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