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花見の賑やかし

「あはは! あれやな! あんな風に盛り上がっとるのをみると、どうしてもやりとうなるなぁ!」

「なにをだ?」

「わかっとるくせに・・・うちらもあの場所に経って戦おうって事や!」

「水菜、お前は相変わらず戦うのが好きだな、馬鹿な位に」

「元気な内は、馬鹿な位が丁度ええんやって! 好きな事に熱中できる奴は大体馬鹿やし!」

「せめて否定しやがれと思うが、まぁ、それには賛同だ、良いぜ、何ならやるか? 勝負、久々に」

「そうこな! ほんじゃ、イーリア! 暴れよか!」


駄目だ、このままだとあの台の上でルール無用の戦闘が始まってしまう。

あの2人が全力でぶつかったら、ここら辺の梅が一気に散るぞ! もしくは周りに被害が出る!


「あなた達! ちょっと待ちなさい!」

「時音様、どないしたんですか?」

「あのね、あなた達が本気でぶつかれば、被害は甚大よ? 分かってるの?」

「と言っても、本気でやらんと、戦いはおもろありませんよ?」

「分かってるわ、だから、本気を出せない条件で戦って貰うの」


そう言うと、時音は俺の方に視線を移した、それも、少しだけ冷や汗を出しながら・・・

もしかして、と、時音の奴・・・どうやってあの2人の暴走を止めるか・・・か、考えてないのか!?

で、あの視線は、俺にその方法を考えろと言う事かよ!


「え、えっと・・・だな・・・」


ヤバい、速く考えるんだ俺! 時音もものすごく不安そうな顔してる

と言うか、茜! お前までこっちを見て、指示を待ってますみたいな表情止めてくれ!

待てよ、待て待て、落ち着け、こう言うときこそ平常心、平常心・・・おわ!


「あ、あ、危なかったですね、お酒がこぼれちゃう所でした」

「あ、あぁ、済まない・・・!」


こ、これだぁー!! これなら、なんかこう難しい感じもするし、派手に動けない!

それに、今は丁度花見だし! この制限の方が面白いかも知れない!


「よし! 茜、2杯の盃に平等に半分以上までお酒を入れてきてくれ!」

「分かりました!」


茜が俺の指示を聞き、ほんの少し経ち、半分以上入った盃を両手に持ち、走ってきた。


「入れてきました!」

「よし、じゃあ、それを2人に渡せ」

「分かりました」


しかし、さっき俺に盃に入れた酒を見せたときに・・・何か、殆ど揺れてなかったんだけど。

何というか、まるで動いていないみたいな感じに、酒が揺れていなかった。

茜の奴・・・我が巫女ながら末恐ろしいな、あのバランス感覚とかとんでもないぞ。


「はい、半分だけ入れた盃です、圭介様の指示に従い、お渡しします」

「うーん、お酒? なんや? これで飲み比べでもせぇゆうんか?」

「それじゃあ、戦闘とは言えないじゃないか」

「いやいや、今回は簡単だ、その盃を片手に持って戦って貰う」

「な、何やと!?」

「そしてだ、相手に手に持っている酒を奪われ、飲まれるか、こぼしたら負けだ

 自分で飲むのは当然ながら駄目だぞ? 分かってるだろうけど」


これなら、戦闘するときにあまり派手には動けないだろ。

半分以上で、結構ギリギリだし、かなり制限のきつい戦いだろう。


「とにかく、酒をこぼさないように戦って、相手のを奪うなりこぼさせるなりすれば良いんだな」

「そう言うことだ、因みに床に置くのも駄目だぞ? 絶対に体の何処かには持ってろ」

「体の何処かに持って置けば、何処でもええんやな?」

「あぁ、例えば、頭の上でも」

「頭の上やと? そんな事しながら行動できるはずないやろ?」

「そうだな、じゃあ、茜、これ、盃、これを頭の上にのせてちょっと動いてみてくれ」

「分かりました」


茜は俺に言われたとおりに、2人と同じ量くらいの酒が入った盃を頭に乗せて

少し走ったり、軽い舞を踊って見せた、その一連の動作を終わらせたが、盃は問題なし、こぼれはしない。


「いかがでしょう?」

「よし、そんなもんだ、と、まぁ、茜がやってくれたように、頭の上にのせても動くことは出来る」

「・・・あ、ありえへんで、あの安定感は・・・」

「茜ちゃん、あんな才能を隠し持ってたのね」

「俺もさっき気が付いてな、あいつが運んできてくれた盃が殆ど揺れてなかったから」

「ど、どうしてそんな能力を持ったんだ!?」

「食事を運ぶときに、揺らしてしまっては大変じゃないですか、それに、飲み物を運ぶときも

 人混みを避けながら行かないといけませんから、こう言う安定感は大切です」


まぁ、あれだな、普段やってることが、自ずと特訓になってるって感じかもな。

と言うか、そういうとことを自主的に鍛えて居たって可能性もあるかもな。

もしそうなら、キキ達が片足立ちの練習をしていた本当の理由も分かる。

キャンが茜がバランスの練習をしていた所をみて、真似して、キキがそれを更に真似したって感じか。


「まぁ、分かったわ、とりあえず、相手が茜ちゃんじゃのうて助かった、ちゅうことやな

 このルールで、茜ちゃんに勝てる気せぇへんもん」

「あぁ、そうだな」

「買い被りすぎですよ、それでは、お二人とも、頑張ってください」

「分かったで! この花見、盛り上げてやるわ!」

「力んで速攻こぼすんじゃないぞ? 水菜!」


さて、あの2人のかなり制限された状況下での戦いが始まるか。

一体、どれだけ盛り上がるか、楽しみだな。

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