なわとび対決!
「そろそろ、場が暖かくなってきたわね」
「そうだな、さっきの早食い対決の影響かもな」
あの早食い対決のお陰で、周りの興奮は早食い対決をする前よりも暖かくなっている。
まぁ、最高潮とまでは言えないレベルだが、十分盛り上がっていると言えるだろう。
「それじゃあ、そろそろおしゃれ大会を・・・」
「何だか楽しそう! あたしも何かする!」
「ふふ、丁度良い、そこの犬! わっちと勝負だ!」
どうやら、おしゃれ大会はまだになるそうだな。
今度は、キャンとくるみの対決かな。
「あぁ、あの2人、犬と狼の戦いね、どうなのかしら」
「良い勝負するんじゃないか? まぁ、肉弾戦とかだとくるみに勝ち目はないだろうけど」
あいつも、一応神だからな、現状、あいつらに肉弾戦で勝てそうなのは
茜、葵、水希、水菜、イーリア、擂位か、まぁ、茜は攻撃しないし、引き分けかも知れないが。
「良いよ! どんな勝負!?」
「それは、圭介様と時音さんに決めて貰おう!」
「へ? ここで私達に振ってくるわけ?」
「まぁ、独断で決めたら、一方的な戦いになる可能性が出てくるからな」
まさか俺達が考える羽目になるとは・・・とりあえず、ワンサイドゲームにならない競技だな。
パッと出てくるのは腕相撲だが、これはキャンの圧勝になる可能性がある。
基礎能力がかなり違うからな、ここはやっぱり、そう言う実力勝負以外が良いか。
だったら、ジャンケン? いやいや、これは盛り上がりそうにない。
「そうね、じゃあ、縄跳びなんかどうかしら?」
「なわとび? まぁ、それなら意外と面白いかも知れないが・・・勝負付くのか?」
「だから、短時間でどれだけこなせるかって言う物よ、時間は私が計るから
あ、飛んだ回数は、周りに数えて貰うわ、じゃあ、ちょっと待ってなさい」
そう言うと、時音はその場から姿を消した。
「なわとび・・・圭介様、なわとびとはどういった物で?」
「あたしも知りたい!」
「なわとびってのは、縄を両手に持って、それを回し、飛ぶ遊びだ」
「・・・? つまり、どういうことですか?」
こう、遊び方を口だけで説明するってのは、中々難しい物だな。
「仕方ない、サラ! 来てくれ!」
「なに?」
「ちょっと、ツルを作ってくれないか? お前ならすぐ出来そうだし」
「分かった!」
サラはそう言って、生えている草を握り、持ち上げた。
そして、その持ち上げた手元には、ツルが出来ていた。
流石は植物の妖精だ、こういうのはすぐか。
「け、ケロ!? 凄いケロ! あんなことが出来るなんて予想がいケロ!」
「エッヘン! どうだ! あたしの能力!」
「あぁ、ありがとうよ、大きさも丁度良い、とりあえず、このツタで実演してやる」
「お願いします!」
俺はサラに作って貰ったツルをなわとびの縄のように扱い
その縄を飛んで見せた、何か、久々にやったな、なわとび。
こう、小さい頃は良くこれで遊んでいたが、最近はさっぱりだし。
「こうやって遊ぶのですか?」
「あぁ、これがなわとびだ、今回は速さで勝負らしいから、こんなゆっくりだと駄目かもな」
「中々難しそう! でも、楽しそう!」
「難しそうですね、わっちでも出来るかな・・・」
「面白そうですな! ご主人! キキにもやらせてくだされ!」
「分かった、足とか引っかけるなよ、ツタだから痛いぞ?」
俺は縄をキキに渡し、とりあえず、簡単な遊び方の説明をした。
まぁ、実演してるから分かるだろうが、念の為にな。
「わかり申した! えっと、こ、こうですな」
キキは俺の説明通りに縄を動かし、下の方に来たときに、前に動くように飛んだ。
そして、1回目の回転はこなした。
「こうすれば良いのですな! 行きますぞ! てりゃぁ!」
少しコツを掴んだのか、キキは縄を回転させる速度を速くした。
何というか、コツを掴むの速いな、予想以上だ。
「ふはは! どうじゃ! 馬鹿犬! キキの能力は!」
「ぐ、ぐぬぬ! わ、わっちも負けてはいないはず!」
「無駄じゃ! お主では、キキに勝つことなど、でぎ!」
話ながら飛んでいたからか、キキはジャンプを失敗し、思いっきり足にツタをぶつけた。
「あ・・・ぐ、ぐぅ・・・あ、足が・・・」
そして、足を思いっきり押えながら、声に声を小さく絞り出しながら、地面に倒れ込んだ。
更には軽く半泣き状態だ、まぁ、あれだけの速度で足にぶつけたら、そりゃそうなるな。
「お、おい、キキ、大丈夫か? 立てるか?」
「うぅ、済まぬ、キャン、少し油断してしもうたのじゃ・・・うぅ、いたい・・・」
「全く、話ながら飛ぶから、一応冷やすか?」
「いえ、だ、大丈夫でございまする・・・こ、この程度、すぐに治るに決まっております・・・」
「な、何だか失敗したら大変そうだけど、面白そう!」
あっちゃぁ、キキの奴、少しだけ擦りむいてるな。
変な感じに当たったんだろうな、そうしないと擦りむかないし。
一応、軽く消毒しておくか、あと、包帯を巻くかな・・・絆創膏があればそれで済むんだがな。
「皆! お待たせよ! って、あれ? 何でもうすでに縄があるのかしら?」
「あぁ、サラに作って貰ってな、なわとびの遊び方は教えたぞ
まぁ、1人犠牲者が出たが・・・ま、大丈夫だろう、妖怪だし」
「キャン、キキは大丈夫じゃ」
「でも、キキ、お前いたいんじゃないのか?」
「大丈夫じゃ、この程度、それに、お主の足は引っ張りとうないからな! お主もあの者と同じ様に
しっかりと練習するのじゃ!」
「・・・分かった、圭介様、キキを頼みます・・・あ、でも、その前にキキ」
「何じゃ?」
「わっちは犬ではない! 狼だ!」
「時間差過ぎるのじゃぁ!!」
まぁ、何だかんだで、平常運転だったな、この2人は。
だが、良いことだ、いつも通りが1番ってね。
その後、キャンは時音に貰った縄で、軽く練習をして、本番に挑んだ。
「今度はなわとび対決! どうなるかな! どうなるかな!?」
「随分と楽しそうにしとるなぁ、ふふ、ま、水希ちゃんもなわとびで遊んどったしなぁ」
「うん! 見るのも大好きだよ!」
水希はなわとびで遊んでいたのか、知らなかったな。
と言うか、山明神社で遊んでる様を想像できないな、戦ってる姿は簡単に浮かぶのに。
「それじゃあ、始め!」
「てりゃぁぁ!」
「やっふぅぅ!」
2人は合図と共に結構な速さでなわとびを跳び始めた。
ちょっとだけ練習した程度で、あそこまで速く飛べるのか。
しかし、2人とも結構楽しそうだな、くるみなんて目が輝いてるし。
「おぉ、速いじゃないか」
「なわとび・・・懐かしい」
「そうだね! 良くお母さんと遊んでた!」
「・・・そうか」
「あ、そうだ、今度一緒になわとびしよ?」
「へ? いや、そんなの・・・」
「良いから~、同じ妖怪だし~」
「・・・う、うん、分かった・・・」
意外と盛り上がってるようだな、やっぱり、こう言う出し物はわかりやすいしな。
そこまで地味じゃないし、あの2人の真剣さもよく分かる。
何だかんだで、くるみも結構負けず嫌いみたいだし。
「残り10秒! 9,8,7、6,5,4,3,2、1,時間よ! 止まって!」
「ぜぇ、ぜぇ、し、しんどい・・・」
「はぁ、はぁ、あはは、あ、汗が凄いよ・・・はぁ、はぁ」
「じゃあ、飛んだ回数を発表するわね! キャン、30回、くるみ、26回、よく頑張ったわ!」
「あぅ・・・ま、負けちゃった」
「勝ったぞ! キキ、見ているか、わっちは勝った、あの空から見守ってくれ」
「言っておくが! キキは死んでおらんからな! あの程度で死んでたまるものか!」
「2人ともよく頑張った! キャンもくるみも凄かったよ!」
「良い勝負やったなぁ、あまり速くはなかったけど、真剣なんが伝わって来たで!」
「熱い戦いでしたね、2人とも、最高でした!」
結果、この勝負も全員に良い感じに受けたな、やっぱり真剣な様子を見るのは良い物だ。




