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四宮神社の梅見

それから、しばらく時間が経過した、周りにある梅は皆満開状態だ。

それに、準備も完璧だし、一応酒も用意できた、さて、後は時音達が来るのを待つだけだな。


「うしうし、こんなもんだろう」

「いやぁ、あれだね、花見は桜でやるのかと思ったけど、梅なんだね」

「折角境内にはそれなりに梅の木が生えてるんですからね」

「そうだ、ほら、桜ばっかり騒いで、梅は騒がないってさ、たまには梅で花見も一興だろう」


基本的に騒ぐのは桜が咲いたときだからな、たまには梅でも良いだろう。

この四宮神社の境内にはそれなりに梅も生えてるんだしな。


「それにしても、私達の新しい着物ですか、今日は楽しみですね」

「へ? あたし達新しい着物? そんなのかあるのかい?」

「あぁ、時音と競争するためにな」

「四宮神社と~、山明神社で~、おしゃれ対決だったよね~」

「実際は俺と時音の悪ノリだがな、まぁ、気分転換には良いんじゃないか?」


実際、これを作ってたお陰で、良い感じの気分転換にはなったかな。

気分一新って感じで、まぁ、別にそれで何が変わるわけじゃ無いが・・・

しかし、あれだな、本来は茜の気分転換の為だったのに、どうしてこうなったと。


「はいはい、お待たせ」


俺達が会話をしていると、時音の声と共に、何人ものワイワイとした声が聞えてきた。

どうやら、ようやく来たようだな、文月山ご一行様がな。


「よう、来たか」

「親分様、お久しぶりでございますニャ!」

「里から出るのは、久々だからな・・・何だか緊張するな」

「何というか、あれだな、ここに来るのも結構久々だな、と言うか、俺はここに来たっけ?

 ・・・あぁ、来たな、豆まきと餅つきの時に」

「なんや、うちは水希と時音様がおらん時はいっつも留守番屋から、ほんま久々や」

「やはり、四宮神社は山明神社と比べて整ってますね、これも、茜さんのお陰でしょうかね」

「なんで私まで呼ばれたのかは分かりませぬが、お呼びしてくださり、感謝します」

「いやっふぅ! お花見だね! 最高だね! 楽しいね!」

「うんうん! お花見は楽しい!」

「うちは賑やかなのが楽しい!」

「うふふ、くるみちゃんったら、楽しそうね~」

「ケロケロ、凄く賑やかになりそうケロね」

「結構賑やかだろうね、これは」


四宮神社に来てすぐに皆ごちゃごちゃと話し始めたな。

でも、まぁ、同時でも何故かある程度の会話は聞えるな。

やっぱり、耳も良くなってる気がする、流石は神の体だな。


「皆さん、ようこそです!」

「それにしても、凄いよね~、圭介と茜ちゃんは~、この数全員が知り合いなんだからね~」

「まぁな、あたし達だけでも相当な数なのに、あっちも合わせるとこれだからね」

「むむ! あの猫から、なにやら不吉な気配を感じるのぞ!」

「わっちはあの犬だな、確実にヤバいぞ」

「あなた達、すぐに喧嘩腰は止めなさい、同じ動物系の妖怪じゃ無いの」

「もしかしたら、同じ動物系だから敵対心があるのかもね」

「本当に、今日は賑やかなことになりそうだわ、色んな意味で」

「うん! やっぱり多いのは良いことだ!」

「そうだけど、あまりはしゃぎすぎないでね?」

「何でしょうか、私達だけ場違いな感じが・・・」

「いや、呼ばれたんだし、自信を持った方が良いでしょう・・・うん」

「いやぁ、これは本当に楽しいことになりそうだよね!」


本当に、こう見てみるとものすごい数だよな、俺達の知り合いって。

まぁ、今回はまだ小規模だけど、本番の花見の時は花木達の傘下兎全員に

久里の傘下の狸全員、文月山の各々の里の住民全員を呼んでの大騒ぎだし。

確定ではないが、村の人間達も来て、本格的な祭りになる可能性もあるな。

・・・一応、その事を視野に入れて、色々と揃えておくとするかな。

ま、今はこの梅の花見を楽しむとするかな。


「それにしても思うんだけど、四宮神社ってかなり大きいわよね、境内」

「そりゃな、ここで祭りを開けるレベルだからな、そこまで規模はでかくないが」

「山明神社は祭りを開ける程大きくないのに・・・何でかしら、気にくわないわ」

「いや、あそこは妖怪が良く住んでる山だし、あまり人も来ないんじゃね?

 それに、妖怪がうようよしてるから、あまり神社も広げられなかったとか」

「確かに少しあの場所は妖怪が跋扈しすぎてる気がするわね・・・何であんなに湧いてるのかしら」

「それだけ、あの山は闇が深かったんじゃ無いか? でも、そんな場所にあるって事は

 結構な力があったんだろうな、お前には」

「仮に妖怪達を抑えるためにあった神社だったとしても、今は妖怪の力で存在できる、皮肉な物ね」


確かに基本的に神社ってのは人がそう言う物を恐れ、救われたいと願った結果出来る物だからな。

ま、神は憧れで存在するわけだから、それ以外の理由の神社もあるだろうがね。


「あぁ、それを言うと、四宮神社も軽く貶しちゃうわね、妖怪がここまでいるんだし」

「四宮神社は今は全てを受け入れるための神社だ、妖怪だろうが人間だろうが関係ないさ

 ま、流石に危害を加える奴を入れたりはしないがな」

「つまり、ここにいる妖怪達は皆、危害は加えないのね、不安なのはいるけど」

「ま、あいつらの生い立ちを考えればな、でも、今はまだ大丈夫だろう

 あいつは一部の人間以外を知ったんだし」

「耶麻の事ね、まぁ、確かにその子の事も言ったんだけど、私が言ったのはあれよ」


時音が少し呆れた様な表情で、指を刺した、俺はその指の先を見てみた。

そこにはメチャクチャ笑ってる水菜と水希、少し呆れてる葵と茜の姿があった。

他にもにらみ合っているキキとチャイム、ジッとくるみの方を見ているキャンがいた。


「まぁ、うん、あれだな、いつも通りだな」

「こんな花見の席で喧嘩なんてされたら困るわね、まぁ、その様を見るのも面白そうだけど」

「それなら、見世物にしないとな、あのおしゃれ対決用の台で戦って貰うか?」

「結構広いし、いっその事それも良いかもね、それにしても、良くあんな豪華な台を作れたわね」

「俺の知り合いにはここら辺一帯で最も規模がでかい大工屋の知り合いがいるんだぜ? それも大親方」

「そう言えばいたわね、化け狸の」

「金は何でか知らんが花木達が出してくれたしな、ノリノリだぞ、あいつは」

「本当にあれよね、色々と知り合いが凄いわよね、ま、そもそも私達は神だし当然か」


一応俺達は神だし、知り合いの力が強いのは当然なのかもな。


「さてと、それじゃあ、そろそろ花見を始めましょうか、料理を出しましょう」

「はい、お任せください、すぐに用意します」

「1人じゃ無理ろ? 私も手伝う」

「勿論私もね、茜が怪我したら困るわ」

「なら、わっちも手を貸そう、茜様にばかり働かせるわけにはいかない、馬鹿狐お前も手伝え」

「分かっておる、キキを薄情な狐だと思うなよ、あと、馬鹿では無い!」

「それじゃあ、私達は案内だよ~、こっちでお花見だよ~」

「お花見!」

「賑やかなのは楽しいなぁ!」

「ケロケロ~!」

「おい、お前達、荷物くらい運べ!」

「その心配は無いぞ、俺達が運ぶからな」

「荷物運びは任せて、力はあるから」

「丸太を運ぶよりは楽やな」

「やはり、あの3人はとびっきり怪力ですね」

「そうですね、少し羨ましいです」


この様子なら、俺達は指示を出さないで良いだろう。

さて、準備が出来たら花見の本格スタートだな。

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