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団子屋さんでの意思確認

「はぅ・・・そう言えばさ~、2人は何でここにいるの~?」


ようやくその疑問に触れたんだな、普通はもっと早く触れるところだろうに。


「お団子を食べに来たんですよ!」

「あぁ~、お団子ね~、分かったよ~、じゃあ、もっと作って」

「お団子とお餅出来ました! 3人とも、お食べください!」


新人組の1人が団子と餅を俺達の席に置いた。


「えっと、私達のような下手くそが作ったお餅とお団子・・・その、美味しくなかったら済みません」

「あぁ、ありがとう」


俺は出された餅を食べてみた、うん、実に美味い餅だな。

やっぱり、結構すんなりと食べられる、流石は妖怪兎の作った餅だ。


「美味しいですね!」

「そうだな、美味い」

「ほ、本当ですか!?」

「あぁ、だから、もう少し自信を持て、そしたら、もっと美味くなるだろうさ」

「そうだよ~、はふ、あつ、あつ・・・完全な自信が付いたときに~本当の達人になるんだよ~」

「はい! 私、もっと自信を付けて達人を目指します!」


あまりやる気の無さそうな励ましだったが、それでも、あの妖怪兎にとっては十分力になったようだ。

彼女は炎を浮かべているような目をして、再び厨房に移動して、団子を作り始めた。

さっきまでとは違って、もの凄い速度だな。


「私は達人! 最高のお餅とお団子を作るんだ!」

「ものすごくやる気になってるな」

「あの子達はね~、腕は良いんだけど気持ちの浮き沈みが激しいんだ~

 だから、ああやってすぐにやる気になるんだけど~」

「あ!」


俺達が会話をしていると、あの妖怪兎は手を滑らせ、団子を落としてしまった。


「そ、そんあぁ・・・うぅ・・・」

「大丈夫だよ、ほら、泣かないで」

「駄目なの、やっぱり私は・・・」


団子を落とした直後、さっきまでのやる気に満ちあふれた表情から一変して

ものすごく沈み、泣き出し、自信を全て過失してしまった様な顔をした。


「あぁ! な、泣いちゃ駄目だよ! ほら、お団子は、また新しく作れば!」

「でも、このお団子が勿体ない・・・あ、そうだ、私が食べよう」

「だ、駄目だよ! そこは私達が沢山ふんじゃった場所だから!」

「ふふ、駄目な私には丁度良いの」

「わぁ! 皆! 結羽ゆうを押えて!」


周りにいた妖怪兎たちが、必死にその結羽と言われていた妖怪兎を押えた。

それでも、彼女は落としてしまった団子を食べようと、必死にしている。


「まぁ、あんな風に、ちょっとのミスで凄く落ち込んじゃうんだよ~」

「あぁ、随分と気持ちの浮き沈みが激しいんだな、あの子は」


それにしても、あの子はそれなりに力もあるようだな、あんなに周りが必死に押えているのに

それとほぼ互角な力で団子を取ろうとしているし。


「よいしょっと」


さっきまで炬燵に入ってダラダラとしていた花木が珍しく炬燵から出た。

そして、そのままあの妖怪兎たちの方に移動していった。


「あ、と、頭領様・・・ごめんなさい、わ、私は・・・」

「あはは~、そう落ち込まないでよ~」

「でも・・・私が失敗したから・・・お団子が・・・勿体ないです・・・」

「大丈夫だよ~」


花木はあの子が落とした団子を拾って、そのまま自分の口の中に入れた。


「と、頭領様!?」

「もぐもぐ、うん、美味しいよ~、やっぱり才能あるね~」

「と、頭領様! な、なんで落ちたお団子を!?」

「美味しい物は~、どんな状態でも美味しいからね~、でも~、お客さんには出せないからね~」

「そうじゃなくて、お、お腹を壊しますよ!?」

「大丈夫だよ~、私は頑丈だから~、だから、気にしないで~、これで、勿体なくないよ~」


花木はそう言いながら、結羽の頭を優しく撫でた。

そして、撫でられた結羽はさっきよりも涙を出した。


「私、頭領様に一生付いていきます! 頑張って! お団子とお餅を作ります!」

「うん、そうだよ~、お客様の為に、頑張ろ~」

「はい!」


その言葉で、結羽に再びやる気の炎が出てきた。

彼女は素早く立ち上がると、厨房を向いて、再び団子を作り始めた。


「うん、それで良いよ~、頑張ってね~」

「あの子が落としちゃったお団子を自分で食べてやる気を出させるなんて凄いですね」

「そうだな、そういう所は・・・まぁ、良い上司なのかも知れない」

「ふぅ、やっぱり炬燵は良いね~、暖かいよ~」

「こうやって、すぐサボるところが無ければ、もしかしたら、理想の上司なのかもな」

「ふへ~」


炬燵に入って、すぐに眠る体勢になってさ、どんだけだよ。

本当に、こういうのが無ければ、こいつは相当優秀なのにな。


「あ、そうだ、花木」

「な~に~?」

「結構長い間、茜と過していたお前に1つ質問がある」

「ん~?」

「茜の着物で似合いそうな物とか無いか?」


俺は男だし、正直、女物の着物の事なんざ分からない。

そういうのをよく分からないのに買ってやるのはちょっとな。

茜自身、服装に興味は無いようだし。


「茜に似合いそうな着物か~・・・巫女装束だね~」

「やっぱり花木さんもそう思いますか? やっぱり、私にはこの着物が1番ですよね!」

「そうだね~、何というか~、巫女装束以外の茜の服は考えられないね~」


まぁ、うん、実際、俺もこいつの巫女装束以外の服は考えられないんだよな。

服も今まで巫女装束と寝間着姿しか見たことがないからな。


「やっぱり、私にはこの巫女装束が1番です!」

「でもなぁ、寝間着姿と巫女装束しか着たことが無いんじゃ・・・ちょっとな」


もう茜も16歳の女の子だ、本当に、少しくらいはおしゃれをしても良いと思う。

何か、ここまでズボラだと、彼氏とかが出来そうに無いし・・・か、彼氏?

・・・茜の・・・彼氏・・・だ、だぁ! 駄目だ駄目だ! そんなの許さんぞ!


「け、圭介様? どうしたんです? 怒ってます?」

「あ、い、いや、何でも無い・・・」


駄目だな、うん、彼氏は駄目だ、何か茜が彼氏と歩いている姿を想像したら・・・怒りが・・・

もしかして、これが父親が娘に彼氏が出来たら怒ってしまうって感情か?

お、落ち着け、もしも茜に彼氏が出来たら受け入れようと、そう思ってたじゃ無いか。

でも、割り切れない・・・何か、割り切れない、いや、まて、茜に彼氏がいるわけじゃないし

そんな事を考えるのは可笑しい・・・でも、茜がおしゃれをしたら・・・もしかして・・・


「圭介、何か凄く悩んでるね~」

「そんなに、私がこのままの服でいるのはいけないんでしょうか」

「そうじゃないと思うな~」


あ、茜には年相応のおしゃれはして欲しい・・・でも、そうしたら彼氏が出来るかも知れない・・・

だけど、このままずっと巫女装束って言うのは可愛そうだし・・・これが葛藤という物か。

でも、茜には幸せになって欲しい・・・このままおしゃれも出来なかったら、きっと後悔するだろう。


「よし、やっぱり茜には少しくらい別の服を着て貰う」

「な、何でですか? わ、私はこの巫女装束のままでも」

「いいや、流石に年相応のおしゃれをしないとな・・・だが! 彼氏は認めん!」

「え?」

「いや~、巫女は未婚じゃ無いと駄目なんだし~、彼氏は無いでしょ~」


・・・あ、あれ? そ、そう言われてみれば、そんな事を聞いた事があるきが・・・


「はい、巫女は配属者を持たないんですよ、だって、神様に仕える存在ですから

 それに、四宮の巫女はそこが厳しいので、結婚所か彼氏も駄目ですよ?」

「そ、そうなのか? そんな事、書いてあったっけ・・・」

「四宮の巫女の心得です、それに、私は一生圭介様に仕えますから、彼氏なんて考えたこともありません」


・・・それは、それで可愛そうな気がするな、一生、俺に仕えることしか出来ないのか。


「・・・そうか、何か、済まないな、その、あれだ、そんな事も知らないで

 でも、良いのか? お前はそれで・・・一生、俺に仕えるなんて」

「構いません、それが私の使命ですし、それに、圭介様に一生、仕える事が出来るのはとても嬉しいです」


うぅ、こう、満面の笑みで返されると、なんともな・・・

じゃあ、仕方ない、なら、俺が茜に出来ることは、俺に仕えることが出来て

本当に良かったと、心の底から思って貰えるように尽力することか。


「いやぁ、茜、何の迷いもなくそう言っちゃうんだね~、でも、悲しくないの~?

 それしか出来ないんだよ~? 一生さ~」

「大丈夫です、他の神様の元でだったら、分かりませんけど、圭介様に仕えることが出来るなら」

「何か、こう、複雑な気持ちだが、そう思ってくれるんなら、俺も応えないとな

 と言うわけで、早速着物を見に行くぞ、何事も挑戦だ」

「はい、分かりました」


茜の覚悟を聞くことが出来たが、俺は少し心が痛む。

もしかして、純粋な神じゃ無いからかも知れないな。

元々は人間だし・・・今度、時音にでも聞いてみるか。

ま、それは後だ、今は、茜のおしゃれを手伝うとするかな。

しかし、巫女装束以外の茜か・・・今は想像も出来ないが、楽しみだ。

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