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体調回復!

茜の生理からおよそ1週間経過した。

茜は生理が終わり、何とかいつも通りに動けるようになった。


「いやぁ、やっぱり調子が良いって、本当に素晴らしいことですね!」

「そうだな」

「あれですね、普段気にしていない健康が、風邪を引いて、治ったすぐ直後に

 健康って素晴らしいって思うのと同じですね!」

「あぁ」


何か知らんが、今日の茜は随分とテンションが高いな。

やっぱり、体の不調が回復した直後って言うのは、こんな風になるもんなんだな。


「それじゃあ、圭介様! お買い物! お買い物行きましょう!」

「まぁ、良いけど、何処に行くんだ?」

「花木さんのお団子屋さんですよ! きっと、健康なこの状態で食べたら、美味しいですよ!」


確かに、健康な状態で食った方が飯は美味いってもんだからな。


「じゃあ、行くか」

「はい!」

「ん? 何処に行くんだ?」


茜の嬉しそうな叫び声に呼ばれたか、刀子が部屋から出てきた。


「あぁ、刀子か、丁度良い、ちょっと俺達花木の団子屋に行ってくるから、留守番頼む」

「へぇ、圭介が団子屋ねぇ・・・あぁ、もしかして、茜か?」

「そうだ、茜が団子屋に行きたいって言ってな」

「神様も大変だな、大きな子どものお守りをさせられるなんてよ」

「ま、大丈夫さ、お前らのお守りよりは楽だ」

「ハッキリ言うな・・・まぁ良い、留守番は任せてくれ、ちゃんと団子も買ってきてくれよ!」

「あぁ、分かった」


刀子に留守番を頼んだし、そろそろ出発するかな。

それにしても、あいつの団子屋に行くのは随分と久々な気がするな。

団子は良く持ってきてくれるから、行く必要も無かったし。

でも、まぁ、たまにはあいつの所に金を使いに行くかな。

俺はそんな事を思いながら、茜と一緒に村まで下りていった。


「何だか、こうやって2人で村を歩くのは久々ですね」

「そういやそうだな、買い物はお前に任せっきりだし」

「そうですよね、たまには一緒に持って上がって欲しいんですけど」

「いや、それは刀子とか葵が付き合ってくれてるじゃないか」

「そうなんですけどね、でも、たまには一緒にお買い物がしたいです」


そんな事を思ってたのか・・・・・・買い物か・・・そう言えば、茜って巫女装束位しか服がないんだよな。

折角一緒に村に下りてきたんだし、たまには買い物に付き合ってやるかな。


「よし、分かった、今日は買い物に付き合ってやる」

「本当ですか!?」

「あぁ、何でもねだってくれ、買ってやるからよ」

「本当ですか!? じゃあ、最近! 神社の箒がボロボロになってきたので! それを!」


・・・うーん、女の子が欲しいものってのは、服とかなのかと思ったが

これは意外だな、まさかの箒? それも、神社の為の?


「あ、あと、洗濯板も最近痛んできたので、それも欲しいです! あと、釣瓶も新しい物にして

 神社の中を掃除するために、雑巾とかも沢山買わなくっちゃ!」

「あ、えっと、茜? それで良いのか? 全部、仕事道具みたいな物じゃないか?」

「そう言う道具って、大切なんですよ、あ! 安心してください! 昔の道具も

 ちゃんと使いますよ! 古い洗濯板はちゃんと壊して薪に再利用します!

 箒も同じ様に利用しますから、安心してください! 付喪神にはなりませんよ!」


そう言えば、道具って壊さないで放置してたら付喪神になるんだっけ。

まぁ、かなり長い時間がいるし、付喪神になることなんてそうそう無いんだろうがな。

それにしても、最初に出てくるお願いが、そう言う道具って辺り、流石は茜だな。

だが、このままだと茜がドンドン神社の仕事しかしない女の子になっちまう。

それは、まぁ、神様としてはありがたいんだけど、親的な視点から見てみるとあれだな。


「まぁ、それは買うとしてだ、服とかは買わないのか?」

「服ですか? 大丈夫ですよ、神社には同じ服はありますから」

「いや、まぁ、神社には確かにそれと同じ巫女装束は沢山あるが、それしか無いじゃないか

 他にも、こう、浴衣とか着物とか振り袖とかは要らないのか? あ、後、かんざしとか」

「うーん、他の服ですか・・・」


茜が真剣に悩み出した・・・そんなに悩まないと出て来ない答えなのか?


「あ、圭介様、もうお団子屋に着いちゃってますよ?」

「ん? あ、本当だ、話してたから気が付かなかったな」

「それじゃあ、服のことは一旦置いておいて、まずはお団子を食べましょう!」

「そうだな、本来の目的はそれだし」


何か、結論が出なかったから少し釈然としないが、まぁ、時間はあるしな。

取り合えず、さっさと花木の団子を食うことにするか。


「圭介様と茜ちゃん! お2人もこちらに?」

「あぁ、久々にな、団子を食おうかと思って」

「はぁ、それでは、お先にどうぞ」

「何か、ここに来る度に譲られてる気がするんだが・・・良いのか?」

「はい、構いません」

「そうか、分かった」


俺は並んでいた人達の言葉に甘えて、先に団子屋に入店した。


「いらっしゃいま、あぁ! け、圭介さん! 茜さん! どうしたんですか!? ここに来るなんて!」

「久々に来たんですよ、お店で食べるお団子を食べたくって!」

「そうなんですか! じゃあ、こちらにどうぞ!」


俺達は羽衣に案内されて、この団子屋の裏口に案内された。


「別に普通に他の客と食っても良いんだが?」

「それだと、ここに来て下さったお客さんが恐縮してしまいますよ

 圭介さんは自分が村の人間からしてみれば凄い存在だって事を自覚して下さい」

「まぁ、今は神様なんて4人しかいないからな」

「それもですけど、圭介さんはその中で、最も大きな存在ですよ?」

「ま、一応1番力はあるが、1人じゃ何も行使できないぞ? 規模がヤバいし」

「だから私が居るんでしたよね、少し前に久し振りに神降ろしをさせていただきましたし」


それで、その後すぐに体調が悪くなったんだったな。


「ですので、村の人達が恐縮しちゃわない様に、別室で食べて貰うんですよ」

「あぁ、分かった、理由は納得いったよ、でもさ、なんでこの部屋なんだ?」


そこでは、兎達が何人も必死に何かを訓練している部屋だった。


「えっとですね、ここ意外に広い部屋がなかったので・・・その、すみません」

「あの、ここの人達は何をしてるんですか?」

「ここは、最近人型になれるようになった兎達が餅作りや団子作を練習している場所です

 ですので、ここにいる兎たちの殆どは圭介様達と面識があります」

「なるほどな・・・じゃあ、あそこでぬくぬくと休んでいる見慣れた兎は何だ?」


後ろでは部下が必死に練習しているというのに、その前では

花木がぬくぬくと炬燵に入って、休んでいる姿があった。


「あ! 誤解しないで下さいよ!? 頭領様は休憩時間と言うだけですよ!?

 普段はちゃんと指示を出してくれてますし、いつも休んでるわけじゃないんですから!」

「うぅ~ん・・・むにゃぁ~」

「あんな、完全に寝ている状態なのにか?」

「と、頭領様は本気をだしたら、私達30人分以上のお仕事をこなすので、その反動ですよ・・・」


そう言いながら、羽衣はかなり汗をかいている。

これは、どっちかが花木を庇うための嘘だな。

もしくは、両方か、どっちにせよ、30人が嘘なら普通の仕事しか出来ないのに寝てるって事で

仕事をこなすので、その反動ですよって方が嘘なら、今日は仕事してないな。


「・・・羽衣、どっちが嘘だ?」

「う、嘘なんて付いてませんよ、えぇ」

「どうしてそっぽ向いてるんですか?」

「そっぽだからかも知れませんね・・・」

「じゃあ、あれだ、どっちが嘘か言わないなら、どっちも嘘って事で解釈するぞ」

「あぁ! い、言います! 言いますよ!」


俺の言葉を聞き、羽衣はかなり焦りながら、下を向き、モジモジしている。

まぁ、あれだな、これで言うって事は、両方嘘はないんだな。


「え、えっと、えっとですね・・・・・・と、頭領様は・・・今日・・・仕事をしてません・・・」

「はぁ、やっぱり」

「あ! いえ! 頭領様はいてくれるだけで私達の支えになってくれてるんですよ!?

 確かに何もしてはいないんですけど、いるってだけで仕事をしてるような物なんですよ!?

 だから、あまりここに顔を出さない頭領様が、こちらに居ていただけるのは私達としては

 本当にありがたいことでして!」

「わかった! 分かったから、そんな必死の形相でかつ早口で説明せんでもいい!」

「あ、す、すみません・・・でも、とにかく頭領様はここにいて下さるだけで仕事をしているので」

「分かった、そういうことにしておく」

「はぁ、分かっていただければ、それでは、私はお仕事に戻ります! 何かあったら呼んでください!

 それでは! ごゆっくり!」


そう言うと、羽衣は少し早足でここから去って行った・・・しかし、あれだな、不思議なもんだな。

何で花木はあんなに何もしてないのに、あそこまで部下に慕われてるんだ?

結構長い間一緒に過しているが、そこが未だに分からない。


「やっぱり、花木さんは慕われていますね」

「そうだな、ものすごく不自然に」

「きっと、何かあるんですよ、それじゃあ、私達もあの炬燵に入りましょう」

「だな」


俺と茜はとりあえず花木がグッスリと眠っている炬燵の中に入った。

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