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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第2章、妖精2匹と巫女の異変
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今日も賑やか四宮神社

「キキの方が掃除が出来るのじゃぁぁ!!」

「ぬかせぇ! わっちの方が上手に決まってる!」

「では、勝負じゃあぁぁ!」

「望むところ! 掛ってこい! この馬鹿狐がぁ!!」


うーん、後ろの方から、ものすごく元気の良い喧嘩をしている声が響いてきているな。

やっぱり、あの2人はよく喧嘩するな、でも、まぁ、競争という形になったのは、素直に嬉しいかもな。


「うぉぉ! すぱすぱ行くぞぉ!!」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! き、切りすぎ! 切りすぎです!」

「食材は切ってなんぼだろ!? 切りまくるぞぉぉ!」

「あぁぁ! 駄目ですよぉぉ!!」


で、台所からは、ものすごく連続で響いてくる、何かを切るような音と

それを必死に止めようとしている奴の悲痛な叫び声が聞えてくる。

やっぱり、刀子に食事の準備を任せたのは・・・失敗だったかも知れない。


「あはは! 見てよ! この草! 綺麗でしょう!」

「そうだね~、何だか、変わった形をしていて、面白いかもね~」

「ふっふっふ、植物はあたしの頑張りでいくらでも変わってくれるから楽しいよ!」

「うん、私もやってみたいね~」


・・・境内を掃除している2人は、変なクネクネっとした植物を見て笑っている。

あれは、ゼンマイって言う植物だったっけか、そんな感じがする・・・

しかしだな、その事にばかり夢中になっているせいか・・・掃除が進んでいない。

むしろ、境内が植物だらけになって・・・何か、逆に荒れて行っているような気がする。


「・・・・・・えっと・・・その、不満を言うわけじゃ無いんですけど・・・大丈夫でしょうかね?」

「・・・ま、まぁ、大丈夫・・・だと、信じたいな・・・」


・・・茜が不安になるのも・・・当然だろう、なんせ、境内の掃除は進んでいないし。

台所からは悲痛な叫び声にものすごい沢山の物を切っているような音が連続で響き。

色んな場所から、ものすごい喧嘩腰の会話が聞えてきてるんだからな・・・

普段なら・・・考えられもしないくらいに騒がしいぞ・・・これは。


「こらぁ! 花木! あんた! 何サボってるんだい!?」

「あ、久里~、そんな怒らないでも良いじゃんか~」

「あのね! 普段世話になってるお返しにやってるんだよ!?

 なのに、あんたと来たらいつもとやってること大差ないじゃないか!」

「そんな事無いよ~、いつもじゃあ、境内の掃除なんてしてないからね~」

「荒らしてるだけにしか見えないっての!」


久里の激励の言葉を受け、花木は自分の垂れている耳を更に押え聞えない振りをしている。


「こらぁ! 何隠してるんだい!? ちゃんと聞く!」

「わかったよ~、だから、そんな風に怒らないでってばぁ~」

「だったらさっさと!」


久里が花木を説得していると、神社の裏からものすごい大きな叫び声が聞えてきた。


「負けるものかぁぁ!」

「それはこっちのセリフじゃぁぁ! お主にだけは負けぬぞ! 馬鹿犬!」

「狼だって何度言わせれば気が済むんだ! この馬鹿狐ぇ!」

「馬鹿はお主じゃぁ!!」


神社の裏から、ものすごく必死に争いながら掃除をしているキキとキャンが出てきた。

その勢いは、今までに見たことがないほどに速く、あいつらが通った後には

ゴミは一切落ちていないほどだった・・・それに、よく見てみたら、お互いに

お互いが気付いていない埃を取っていたりしている・・・いつも喧嘩している割には

相手が苦手な場所とかをちゃんと覚えているんだな。


「取りこぼしが山の方にあるぞ!? 馬鹿犬!」

「それはお前だろう!? 馬鹿狐! あと、狼だぁ!!」

「うっさい! この馬鹿狼!」

「だから! 犬だって・・・あ、違う違う、狼だ、それで良いんだ!」

「やはり犬ではないか!」

「言い間違いだぁ!」


あの2人・・・普段はあまり長い間、人間状態でいられないのにこう争ってる間は

結構長い間人間状態でいるよな・・・疲労を忘れてるからか? それとも、力の相性とかか?

どっちにせよ、あの2人は一緒に居る方が自分たちに良い効果があるんだな。

喧嘩していることで、普段以上の体力とやる気と能力を得ているわけだし。


「あぁぁ! あ、あたしの可愛い植物ちゃんがぁ! ご、ごめんよ、あたしのお友達・・・」

「じゃあ、速くお友達を戻さないとね~、あの2人に荒らされちゃうよ~?」

「うぅ、そ、そうだね! 皆ぁ! 戻ってぇ!」


で、植物たちを刈り取られるのを恐れたサラが植物たちを引っ込めたと。

その結果、神社の境内に生えていた植物たちはなくなった。


「・・・な、何だか、あの2人の個性・・・凄いわね」

「そ、そうだね・・・圧巻されてばかりだよ・・・」

「くぅ、ひ、引き分けじゃぁ!!」

「ぐぬぬぅ、こんな狐と引き分けなんて・・・わっちは認めないぞ!」

「それはキキも同じ事じゃぁ! そうじゃ! 今度は洗濯物じゃ! 洗濯物で勝負じゃ!」

「おう、良いぞ! じゃあ、どう勝負するんだ!?」

「どっちが速く、綺麗に洗濯物を洗い、干せるかで勝負じゃぁ!」

「それで良い! わっちとお前の実力の差! 今度こそ見せてやる!」

「それはキキのセリフじゃぁぁ!!」


今度は洗濯か、この調子だと、結構すぐ終わりそうだな。


「何だか、あの2人の暴走のお陰で、ドンドン神社が片付いて行ってますね」

「そうだね! あたいもあの2人欲しいかも!」

「一応、私も手伝ってるから良いじゃないの、それに、稻とイーリアが手伝ってくれてるし」

「あの2人は、色々とパワフルすぎる気がするんだけ・・・ですけど」

「大丈夫よ、所詮洗濯板が壊れたり、箒が壊れたりするだけよ・・・社が倒れるよりはマシよ、マシ」

「・・・あぁ、そっちはイーリアと稻が手伝ってくれていたのか」

「えぇ、一応ね・・・たまにミルクが来たり、楓と擂が来たりしてるわ

 あと、チャイムが親分様はいらっしゃいますか? なんて、半泣き出来てるわ」

「ま、マジかよ・・・初耳だ」

「私も初めて言ったからね」


むぅ、そうか、そう言えば、化け猫の里に顔を出していなかった気がするな。

その内、あっちにも行ってみるか、一応、俺が親分って事らしいし。

ま、それは茜の調子が良くなったときか、今晩くらいかな。


「チャイムちゃん、最近合ってませんね、元気だと良いんですけど」

「まぁ、元気そうだったわよ、来る度に半泣きだけど」

「なんで半泣きなんだ?」

「動物はね~、寂しいのは嫌いなんだよね~」


俺達の会話を近くで聞いていたのか、花木が話に乱入してきた。

そうか、動物は寂しいのは苦手なのか、それに、あいつらはペットの猫が妖怪になった姿だしな。

しかし、そんな事を、こいつの口から聞くとは思わなかったな。


「そうかそうか、じゃあ、花木」

「何~?」

「お前の部下達は随分と寂しい思いをしているんだろうな-、頭領様が全然帰ってこないし」

「そ、そんな事は無いよ~、きっと、皆はもう麻依達を新しい頭領だと感じていることだし~

 そ、そもそも、私は頭領って感じじゃないし~」

「あたしは、何かとあんたの部下に会ってるんだけどさ、皆、寂しそうにしていたよ?

 頭領様が全然住処に戻ってきてくれないって嘆いてたからね」

「そ、そうなの~?」

「あぁ、嘘は言わないさ、あたしは化かすのは好きだが、嘘は嫌いなんだよ」


化かすと嘘は殆ど同じ様な気がするが・・・まぁ、突っ込まないでおくか。


「うぅ・・・じゃ、じゃあ、その内、帰ってみようかな~」

「あぁ、それが良い」

「きっと、あなたが住処に戻ったら、部下の兎たちは大喜びね」

「そうですね、尊敬できる頭領が久々に戻ってくるわけですから」

「まぁ、あたしは全然花木のことを尊敬できる奴、なんて思ったことないけどね!

 何かとドジをしている気がするし!」

「そんなわけ無いよ~! これでも、昔に比べると、あまりドジなんかしなくなったんだからさ~!」


まぁ、確かに昔に比べると、ドジはあまりしなくなったよな。

転ける頻度も減ってきたし・・・でも、その代わり、1回転けたら、凄い転け方するけど。

前に1度、ただ転んだだけなのに、頭からダイブしていたときは驚いた。

ダメージは殆ど無かったようだが、流石は化け兎だと感心した物だ。


「まぁ、とにかくだ花木、とりあえず、鳥居の掃除をしてくれないか?」

「任せてよ~、高いところは得意だからね~」


そう言うと、花木は兎の姿に変化して、四宮神社の鳥居近くにある

キャンとキキの象を上手く乗り継ぎ、四宮神社の鳥居まで跳ね上がった。

やっぱり、あんなんでも、兎の妖怪なんだな、跳躍力が凄い。


「サラ」

「な~に~?」

「大丈夫だろうが、鳥居の下にクッションになりそうな植物を生やしてくれ

 あ、出来ればすぐに戻せる奴が良いな」

「任せてよ!」


サラは鳥居の下方向に、結構大きめの、ふわふわしている植物を出した。

これで、もしも花木が落ちても大丈夫だろう。

さてと、それじゃあ、今度は・・・刀子達の様子を見に行かないとな。

何か、不安だし・・・食事は重要だからな、縁側でのんびりしておきたい気持ちはあるが

昼飯と晩飯を気持ちよく食べるためだし、仕方ないか。

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