世界の秘密と定まる大きな目標
先代の話を聞いて、1週間が経過した、少し先代の事が気になり
俺は先代の巫女の場所を力を使って探してみた。
しかし、先代の姿は見つからない、まぁ、そりゃあ、姿も見てないのに見つけれるわけ無いか。
「はぁ、まぁ、そうだよな」
「どうしました?」
「ん?いや、少し先代を探してみようとしたんだが」
「ど!どうでした!見つかりました!」
茜はもの凄い勢いで食い付いてきた、まぁ、当然だよな。
俺は素直に見つからなかったと言うと、茜は酷くしょんぼりした。
「悪いな」
「いえ、気にしないでください・・・」
茜はやはりがっかりした表情のままだ。
「それにしてもあんた、先代の姿を見てないのに探してたの?」
「あぁ、姿を消したんなら、普通、人がいない場所にいるだろうと思ってな」
「まぁ、探すならそうやって探すしか無いでしょうね」
「そうだな、はぁ、四宮の神に過去を見る力があれば良いんだが」
「それは無理でしょう」
「まぁな」
普通、神というのはその力を司っている事しか出来ない。
八百万でたとえると、例えば豊穣を司る神がいたとしよう、その神は豊穣しか操れない。
普通の神はその様に1つのことしか司ることが出来ない。
その為、神は八百万もいるんだ。
まぁ、四宮神社の書物に書いてあったことだけどな。
「まぁ、そうね、もしもこの四宮神社が信仰されだして、色んな願いを受け入れたら
その内、過去も見れるんじゃ無いの?」
「どういう意味だ?」
「あなた、神様なのに何も知らないのね」
「新神だからな」
「そう、まぁ、良いわ、教えてあげる」
睦月の話では、神は色々な人々の想像、憧れ、幻想で出来ているそうだ。
その為、信仰が強くなればなるほど、沢山の憧れや想像、幻想を具現化できるようになる。
それが信仰が多い神が強い理由らしい。
「私が生きていた時代だと結構常識的な話だったんだけどね」
「そうなのか?」
「えぇ、昔は人間は神と一緒に生きてきたからね」
「ふーん」
「でも、ここら辺は妙よね」
「何がだ?」
「だって、四宮神社しか神社が無いもの、普通はもっとあっても良いでしょうね」
確かに、四宮神社の他には神社は見当たらなかった。
さっき先代を探してる最中も他の神社は見当たらなかった。
と言うか、他の村すら見当たらない・・・今まで疑問に思わなかったが考えてみれば異常だ。
これは・・・もしかしたら何かあるのかもしれないな。
「ふぃ、今日も駄目だったよ~」
そんな事を考えていると、花木が神社にやってきた。
少しだけボロボロになっている。
「駄目だったって何がだ?」
「うん、実はね~、遠くの方に行こうとしたんだけどさぁ~、結界に邪魔されて戻されるんだよ」
「どういう意味だ?」
「そのままの意味だよ~、昔はもうちょっと広かったのになぁ~」
「広い?昔?どういうことですか?」
「ん?あぁ、軽く説明するよ~」
花木の話によると、昔はもうちょっと世界が広かったらしい。
そして、神社がここ以外に無い理由も話してくれた。
「結構前だったかな~、私が妖怪兎になったきっかけがあるんだよ~」
「なんだ?それ」
「うん、禍津神って知ってる~?」
「えっと、人々に悪影響を与える神様でしたっけ?」
「そうだよ~、昔、その神様が大暴れしたんだ~」
「ふむ」
花木の話はこうだった、昔、禍津神達が同時に大暴れを始めた。
その時にはまだ沢山の神社が存在していたが、その大暴れを止めるために八百万の神が動いた。
しかし、禍津神の力は強く、いくつもの神社が崩壊した。
辛うじて禍津神を止めたは良いが、殆どの人間も死に、神々は力を大きく失った。
そんな中、まだ力があった四宮の神が周囲の村と神社を囲い結界を展開した。
その為、四宮神社とその周辺の村は無事に助かった。
「そして、私は禍津神の力の影響を受けて妖怪兎になったんだよね~」
「そんな事があったのか」
「うん、だから、今結界の外は結構沢山の妖怪がいると思うんだ~」
「怖いですね」
「あ、でも、まだ何人かの人間は生きてると思うよ~?」
「だとしたら助けたいです!」
茜は真っ直ぐな瞳で花木にそう言い放った。
それにしても、さっきの花木の言葉、確か昔はもうちょい遠くに行けたって言ってたな。
と言うことは、今、結界が狭まってるって事か・・・
「うーん、外の人を助けたいんだったらさぁ~、信仰を集めるしかないねぇ~」
「そうなんですか?」
「うん、結界は四宮の神様、つまり、今は圭介が支えてるんだよ~」
「え?そうなのか?」
「自覚無いんだね~、まぁ、だから信仰が回復すれば、結界は大きくなると思うよ~」
「本当ですか!?」
「うん」
少し前にこいつはこの神社のことを神聖であっても何かを拒絶しない神が主だと称したが
実際はここの人間と妖怪以外を全て拒絶した神社の主だったんだな・・・。
ふ、もしかしたらあいつは俺の事を試してるのかもしれないな。
良いだろう、俺はこの神社の主になったんだ、この場所を神聖でも受け入れる場所にしよう。
人間も、妖怪も、幽霊も、神も受け入れる、そんな理想郷を作り上げてみようかな。
よし、もしそうするんなら、最初に行うべき事は。
「そうか、なら、信仰集め、頑張らないとな」
「はい!私!本気で頑張りますね!」
夢は大きく世界の調和、目標は小さく信仰集め、夢は大きく、目標は小さく確実に!
それが俺のやり方だ。
今は大きな1歩は踏み出せないが、確実に進んでいくか!




