妖精2人を救う手段
俺達はしばらくの間2人の看病をしていたが、結果は芳しくなかった。
体調はあれ以上は悪くはなっていないのだが、治ってもいない。
状況は全く変わってないのだが、まぁ、悪化するよりはマシだろう。
「うぅ、良くなりませんね・・・」
「そうだな、早く治って欲しいんだが・・・」
「圭介の能力で何とかならないの~?」
「無理だな、人間ならまだ可能性はあるが、妖精だとな」
一応病を治して欲しいというのもあるから、病を治す能力はある。
だが、相手が妖精だと効果は無いだろうな、なんせ、妖精だし。
「うーん、やっぱり無理ですか・・・」
その後しばらくの間、変化は無かった。
「すみません!」
看病をしていると、神社の入り口から誰かが俺達を呼んでいる声が聞えてきた。
「あ、はい! 今行きます!」
サラ達を心配そうに見て、すぐに四宮神社の入り口に走って行った。
「心配そうにしてたね」
「そりゃな、サラと四季はあいつにとって、妹みたいなもんだし」
「確かにそうだね~」
6年間も一緒に居たわけだし、もうほぼ妹みたいなもんだろうしな。
「あの、依頼をしても良いですか?」
「はい、構いませんよ」
「では、お願いします」
「はい、どんな依頼ですか?」
「えっとですね、雨乞いって出来そうですか?」
雨乞い? そう言えば、最近あまり雨が降ってなかったな。
と言うか、降っていた記憶が無い。
「えっと、出来ると思いますよ」
「それでは、よろしくお願いします! このままだと、村の農作物が全滅してしまいます!」
「は、はい、分かりました!」
・・・そうか、なんで2人の調子が悪いのかも分かった!
妖精は自然の具現化だ、だから、自然その物と言っても良い。
で、今は雨が降らないと言う異常事態だ、だから、調子が悪いのか!
「ん? その表情、もしかして、何か分かったの~?」
「あぁ、2人を助ける手段、分かった、茜!」
「あ、はい! 今行きます!」
俺は茜を呼び、この事を説明した。
「そ、そうなんですか!? じゃあ、雨乞いが成功すれば!」
「あぁ、俺の予想が正しければな」
「じゃあ、雨乞いをする方法を探さないと駄目ですね!」
「その方法ももうすでにあるんだよ」
「え!? そ、そうなんですか!?」
「俺を誰だと思ってる? こんなでも四宮の神だぞ?」
俺がこっちに転生してきたときから備わっていた天候を操る能力。
今まで1度も使ってこなかったから茜が覚えていなくても無理はない。
「あ! そうだった! 圭介様には天候を操る能力がありましたね!」
「あぁ、だから、お前に降りた状態で天候を操れば雨を降らすことが出来る」
「お、おぉ! じゃあ、早速やりましょう!」
「よし、そうだな」
茜は凄い速さで神社の境内に走って行った。
「それじゃあ、降ろしますね!」
「あぁ!」
茜は境内に出て、目を閉じ、意識を集中させた。
少しして、頭の中に茜の声が聞えてきて、俺はその声に応えた。
視点が一瞬だけ暗くなり、次に明るくなったときは神社の境内の外だ。
神降ろしは久々にしてみたが、上手く出来てよかったな。
「よし、それじゃあ、天候を操ってみるか」
{上手くいけば良いですね!}
と言っても、天候を操る事なんて今までやったことが無いんだが感覚でやってみるか
今までの能力もそんな感じで使えるようになったしな。
「とりあえず、念じてみるかな」
俺はとりあえず目を瞑り、雨が降るようにと、軽く念じた。
それから少しして、冷たい物が手に当った。
「ん?」
俺はその冷たい物が手に当ったのと同時に目を開けてみると。
周囲はかなり曇っているようだ。
「お! 上手く行ってるっぽいぞ!」
「おぉ!」
その後すぐに、大量の雨が降り始めた。
「うぉ! すぐに降ってきた!」
{つ、冷たいですぅ! 服がぁ!!}
「急いで神社に戻るぞぉ!」
俺は急いで神社の内部に入った。
あまり神社から離れていなかったお陰で、そこまで濡れていなかったが、服はかなりびしょびしょだ。
「まさか、あんな短期間でこんなに降ってくるとは・・・」
{お、驚きましたぁ・・・}
にしても、茜に降りて思ったが、何だか少しだけ体が怠いな・・・
ついでに、頭も若干痛いしな。
「まぁ、戻るか」
俺はすぐに目を瞑り、茜から出てみた。
そして、茜から出て行ったと同時に体にあっただるさと頭痛が消えた。
「お、体が楽になった」
「ふぇぇ、服がべちゃべちゃですぅ・・・」
「わ、悪かったよ、あんな短期間で振ってくるとは思わなかったんだ」
「大丈夫ですよ、服なんて洗えばすぐですから」
「まぁ、そうなんだが・・・すまんな」
「いえいえ、大丈夫です! それじゃあ、着替えてきますね!」
茜は雨が降ったのが嬉しいのか、にっこりと笑いながら、自分の部屋に走って行った。
そして、少し経ってから、茜が部屋から出てきた。
「ふぅ、スッキリです」
「よかったな・・・所で茜、お前、体の調子とかが悪かったりするか?」
「体の調子が・・・ですか? あ、そうだ、最近、頭が少し痛いんですよね・・・どうしたんだろ」
茜は自分のお腹を軽く撫でて、呟いた。
うーむ、お腹の辺りの調子が悪いのか・・・ん? お腹の辺り?
「・・・茜、もしかして、生理とかになり掛かってたりする?」
「生理? 生理って何ですっけ?」
あ、あれ? 茜、生理なんて来てないのか?
「生理って何かと聞かれてもな、俺は男だし、そんなに詳しい事なんて知らないんだよ
女っ気なんて無かったし、娘とかもいやしないし・・・」
「そうなんですか、でも、まぁ、大丈夫ですよね!」
「あぁ、大丈夫だろ」
にしても、最初に生理が来るのって、もっと早そうなもんだが・・・詳しいことは分からないし
なんとも言えないな、それに、茜も元気そうだし、良いか。
「それじゃあ、サラ達の様子を見に行くか」
「はい!」
俺達はサラ達が休んでいる部屋に移動して、2人の看病を再開した。
でも、看病はあまり必要なさそうだな、2人の顔色もよくなってきてるし。
しばらく看病を続けていれば回復するだろう。




