平和は暇やで!
雲の騒動の後、俺たちは村の人達に事情を説明して、騒ぎを収めた。
それから少しして、時音達が四宮神社まで戻ってきた。
「はぁ、何や、何事も無かったなぁ・・・残念なことに」
「馬鹿言わないの、何事もない方が言いに決まってるでしょ」
「そうそう」
葵と時音は一安心って感じだが、水菜は物足りないようだな。
やっぱり、戦闘狂だからな。
「平和なのは良いことだろ、騒ぎが酷くなったらパニック起きる可能性もあるし」
「せやけどな、最近何も起こってないやないか、うちはもう、退屈でしょうが無いんや」
「イーリアと組み手でもしてろ」
「あかんて、最近のイーリアは今まで以上に怪力やで、正面から戦った勝てへんわ」
「師匠なら、正面から戦わなければ勝てると思うんだけど」
「それじゃあ、おもろないやろ! やっぱり勝負っちゅうんは正面からやろ!」
「戦いは立ち回りが大切なのよ、あんたみたいな戦い方はただの喧嘩よ、喧嘩」
「大丈夫や、うちは喧嘩が好きやからな」
その返答に対し、葵は大きくため息を吐いた。
しかし、最近イーリアに会ってないが、そんなに怪力になっていたのか。
やっぱり、鬼だな、あいつは。
「そう言えば、稻はどうなんだ? あいつも良い勝負相手になるんじゃね?」
「稻は駄目やな、まだ弱くて相手にならへん」
ふーん、純血の鬼よりも強いのか、イーリア。
もしかしたら、混血の方が強いんじゃ無いか?
ってか、イーリアは鬼と何の妖怪のハーフなんだろうな。
そこは聞いてないから、よく分からない。
でも、本人も自分に鬼の血が流れていると知らなかったようだし、両親の事なんて覚えてないだろう。
「まぁ、稻はまだまだだからね、あの子、あまり鍛えてないし」
「そうやろ、普通は負けてしもうたら鍛えるやろうけどな」
「普通の生き物なら負けたら追従するよ~、鍛えたりしよう何て思う生き物は少ないよ~」
「そうなんか? うちの周りは基本的に負けたら鍛えてるんやけどなぁ」
「水菜のどんな人が居るの~?」
「そうやな、神様2柱やろ、人間2人やろ、半妖1人やろ、あと、妖怪3人やな」
神様は俺と時音、人間2人は茜と水希、半妖は葵、妖怪3は、多分イーリア、擂、稻・・・かな。
知り合いと言うか、戦ったことがある人物って感じだな茜も1度水菜にしごかれたし。
何か、こいつと知り合いになるには、怪我をしないと駄目なようだ。
「そうなんだ~、じゃあ、その知り合いに元動物の妖怪っているの~?」
「おらんなぁ」
「じゃあ、やっぱり見てる範囲が狭いね~」
「むぅ、そうやな、まぁ、ええわ、とりあえず、負けても鍛え直さん奴はおるって事は分かったわ」
「普通は鍛え直さないんだよね~」
まぁ、実際、負けても鍛え直す、何て行動を取る奴は、そういないよな。
喧嘩が好きだってんなら鍛え直すかも知れないが、そんなのに興味が無いなら、それは無いだろう。
「まぁ、ええわ、とりあえずな、茜、うちと喧嘩しよか?」
「はい!? な、何言ってるんですか!? しませんよ! 喧嘩なんて!」
「何や、ええやないか、久々にうちと喧嘩しようや、どんだけ強うなったかも興味あるしなぁ」
「いやいや、私は戦いはしませんって! 無駄なときに体力使って、もしもの時動けないじゃ
鍛えた意味なんて全くないじゃ無いですか! 私は何かを守るために強くなったんですよ!」
「むぅ、やっぱり頷いてくれへんか・・・わかっとったが、強情やな」
そもそも、誰が好き好んで水菜みたいな戦闘狂と戦いたがるんだか。
強いし、何かと喧嘩を売ってくるし、迷惑な奴め。
「しゃぁない、イーリアと戦ってくるかなぁ、時音さん、お願いできやす?」
「まぁ、良いわよ、送れば良いのよね、全く、私は運送やじゃないってのにさ」
時音はそんな事を言いながらも、一応向こう側に水菜を連れていった。
これで、少しは静かになるかな。
「ふぅ、な、何とか行ってくれましたね・・・」
「あぁ、そうだな」
「はは・・・水菜さんと戦ったら、絶対怪我しますよ・・・私は」
「そりゃそうだろう、あいつは強いからな」
「はい、それに、手加減してくれませんし・・・」
「苦手らしいからな、手加減」
「師匠、手加減上手だよ? 小さい頃、良く手加減して貰ってた」
「そうなのか?」
「うん、大きな擦り傷くらいで済でたし!」
大きな擦り傷・・・それって、吹っ飛ばされたって事だよな・・・
やっぱり、手加減、苦手なんだろう、しかし、なるほどな、通りで頑丈なわけだ
毎日の様にそんな怪我してたらな・・・
「よく、それ位で済んだよね・・・」
「あたいは強いからね!」
確かに強いな・・・そんな修行を毎日させられていたら、普通は師匠を恨むだろうに。
恨みという感情がこいつには無いのかも知れないな。
「さてと、とりあえず、お茶を入れてきますね!」
「あぁ、分かった」
茜は笑顔になり、神社の奥に入っていった。
しかし、茜はお茶を作るのがもはや趣味になっているな。
まぁ、美味しいから良いんだけどな。
・・・しかし、お茶を作るのは上手いのに、料理は・・・いや、もしかしたら出来るかも知れない。
今日、茜に料理を作って貰ってみるか、もしかしたら、出来るようになってるかも知れないしな
1年くらいは俺と葵が料理を作っているのを見てるしな。




