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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第1章、6年の時を経て
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6年経っても変わらない居場所

・・・6年だ、6年前に俺達は刀子から睦月が消滅したと言う事を聞かされた。

当然、その事を聞かされて、茜は泣きじゃくったさ、1ヵ月の間あいつに元気は無かった。

でも、刀子が睦月の遺言という物を話してくれて、茜は立ち直ってくれた。

他にも水希の必死の手助けや、葵の励ましもあった、その甲斐あって、大きくなった。

あいつは、最後の最後まで茜の成長の手助けをしてくれた。

あれが無ければ、茜はもしかしたら、まだ弱いままだったかも知れない。

睦月の消滅。茜は自分に力が無いことを嘆き、必死に努力したんだよな。

最後の言葉のお陰で努力は報われ、更に強くなった水希と互角に戦えるまでになった。

そして今、6年前に渡した縁結びのお守りを持ってきた少女が目の前にいると。

何というか、奇妙な気分だ。

ずっと幽霊だった奴が小さな女の子になって、幽霊引っさげて来るとはな。


「にへへ、お姉ちゃん、久し振りだね、こうやって話すの6年ぶり?」

「そ、そうね・・・あの時会話したとき以来ね・・・ってか、なんで幽霊になってるの?」

「いやぁ、本来はその体、私のだからさ、引っ付いてたら何か幽霊になったの」


そんな軽い感じで幽霊って生まれるんだな・・・復讐とか思い残し関係ない気がする。


「でも、幽霊は思い残しが無いと出てこないんじゃ・・・」

「だから、思い残しがあったの、ほら、お姉ちゃんと毎日楽しくお話しするって言うね!」

「そ、その程度の事で・・・幽霊になれるのね・・・」

「私にとってはそれは大切なことだったの。

 あと、多分私はお姉ちゃんが死んじゃわないと消えないよ?」


何か凄く怖いな、要するにお前が死ぬまで憑いていくからな、って事だ。

相当な恨みがあるのか、もしくは異常なまでに睦月が好きなのか・・・どっちだ?


「あぁ、そうよね…

 あなたを救えなかった上に体まで奪われたんですもの、恨まれても・・・」

「にへへ、恨みな訳ないじゃん、全部自分がしたことだし後悔は無いよ」

「じゃあ、一体どうして私が死ぬまで消えないの? 普通は相当な恨みか、執念が無いと・・・」

「だから、私がお姉ちゃんに憑いていくのはね、執念なの、お姉ちゃんと毎日お話しして

 毎日一緒に遊んで、たまに助けたり、助けられたりするの、私はそんな事をしたいんだ」

「・・・要するにだ、その幽霊はお前を嫌ってはいないんだな、むしろ好いてると」

「そうなるわね・・・全く、その程度の事で私に一生憑いてこようなんて・・・」

「私は! お姉ちゃんが! 大好きです!

 世界中の誰よりもお姉ちゃんを愛してる自信がある!」


そして重度のシスコンと・・・睦月の奴、これから苦労しそうだぞ。

毎日妹の相手をしないといけないしな。

でも、睦月は嫌そうな表情はしていない。

むしろ嬉しそうだ・・・あいつも意外とシスコンなのか?

いや、あれはどっちかというと気付いてない、天然なだけか・・・


「全く、妹に愛されるなんてね・・・でも、何か嬉しいわ」

「私はお姉ちゃんに一生憑いてくよ! もう死んでるけど!」

「あはは・・・圭介様、お姉ちゃん、大変になりそうですね」

「あ! お姉ちゃんをお姉ちゃんって呼んで良いのは私だけなんだからぁ!」

「え、え!? そ、そうなんですかぁ!? じゃあ、今度からどう言えば!

 ・・・じゃあ、睦月さん・・・は、何か違うし・・・圭介様! 知恵を貸してください!」

「そこで俺に振るか!? えっと・・・まぁ、確かに睦月のなりを考えると

 今の茜がお姉ちゃんだとか睦月さんだとかは違和感しか無いな

 ・・・じゃあ、もう、ちゃんでよくね?」

「そ、それは私の気持ち的にアウトです! ちゃん付けなんて恐れ多いです!」


確かに、茜は6歳の頃から長い間睦月の世話になってたからな。

そんな相手をちゃん何て言えないか・・・じゃあ、どうするかな・・・

相手のなりを考えつつ、茜の気持ちも汲み取った呼び方ね・・・・・・

あぁ、もう面倒くさくなってきた。


「はぁ、じゃあ、もうお師匠様で良いんじゃね? ほら、一応師匠みたいなもんだし」

「あ、良いですね! 確かにお師匠よりはお師匠様ですね!」

「茜ぇ! それはどういう意味かしらぁ!?」

「お師匠! い、いつの間に!」

「ついさっきね、で、よくも私を馬鹿にしてくれたわね!」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! お師匠! か、刀を抜かないで! きゃわぁ!」


葵は茜の制止を無視して、茜に向って刀で斬りかかってきた。

茜は腰に帯びていた刀を抜き、その攻撃を防いだ。


「・・・え? あの2人、あんなに仲が悪かったかしら?」

「あれはな、葵曰く剣術の稽古だそうだ、結構殺気があるけど」

「きゃわぁ! 師匠! 最近本気じゃありませんかぁ!?」

「多少は本気でやらないと修行にならないでしょ!」

「なります! なりますから本気は止めてくださいぃー!」

「本当に稽古? 殺気がすごいんだけど?」

「まぁ、あれだ、多少本気で戦わないと稽古にならないんだろう」

「てりゃぁ!」

「きゃわぁぁ!」

「多少?」


まぁ、多少には見えないよな・・・でも、一応あれで強くなってるし効果はあるんだよな。


「ま、あれで茜は強くなってるからな、無理に止めるわけにはいかないし」

「そうなの・・・それにしても茜、本当に強くなったわね」

「あぁ、お前が居なくなって必死に修行に励んだからな・・・どうにも

 自分が強くならないと皆を守れない、私はいつか圭介様だって守れるくらいに強くなります!

 そうすれば、誰も私の前から居なくならないから・・・とかいって、努力してたな」

「ふーん、じゃあ、私が消えたのは無駄では無かったのね。

 それにしても圭介を茜が守るねぇ…想像が全く出来ないわ」

「そうだな、俺も全く想像できない、でも、あいつならいつか本当にやりそうだし

 俺も多少は鍛えないとな、茜に守られるなんざ恥ずかしいからな」

「そうね、じゃあ、私も少しは頑張ろうかしら。

 まぁ、こんな姿じゃ、ろくに動けないでしょうけど」


確かに睦月は今小さい子どもだからな。


「所で、なんでお前は6年間姿を消したんだ?」

「すぐに私だって伝えるのが恥ずかしかったのと、6歳って年齢に運命を感じてね」

「そう言えば、お前が始めて茜に合ったのは6歳の頃だな」

「そうそう、あの頃は泣き虫で、戦いもろくに出来なかったのに…

 今じゃ師匠相手に頑張って戦ってるし」

「そうだな、そう言えば、俺があいつと会ったのも6歳の頃だ。

 集中力も無いしひ弱だし祈ることしか出来なかった茜が、

 戦えて気遣いも出来て、集中も得意になって・・・

 やっぱり、人間ってのは成長するもんだな」


しかし、茜が成長した姿を見れて、うれしさは7割くらいだけど

何処かもの悲しさを感じてしまう。

でも、茜が必死に努力して得た成果だ、10割喜んでやらないとな。


「くぅ・・・あたいも茜と戦いたいのに・・・」

「そう? じゃあ、茜とやり合ってみなさいよ」

「本当に!?」

「え!? 師匠、冗談でしょ!? 私、師匠と戦ってヘトヘトなんですけど!」

「さぁ、行くよ茜! あたいの攻撃を受けてみろぉ!」

「ちょ、ちょっと待ってよぉ!!」


まぁ、相変わらず周りに振り回されるのは変わってないな。

16歳でもそこは茜のままだ、何だか嬉しい気がする。

でも、本人はしんどいだろな。


「折角弟子同士が戦ってるんやし、うちらも戦わへんか?」

「嫌よ、4人で戦ったら四宮神社潰れるわ」

「それは止めろ、全く、折角戦える場所を作ってもお前らはすぐに神社を壊すんだから」

「あ、あはは・・・なんや、すまへんな、せやから、そないな目で見んといてぇな」

「じゃあ、お前らは見学してろ」

「分かったわ、しゃあないのぉ・・・」


さてと、茜と水希、こいつらの戦いはどうなるかな。


「あはは、四宮神社も随分と賑やかになったわね、でも、相変わらず皆楽しそうで何よりよ」

「俺達は本質的には変わらないからな、変わるのは考え方だけさ」

「そうね、何となく、あの2人を見て分かったわ」

「うりゃぁ!」

「少しは手加減してよぉ!」

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