表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/251

恐怖を操る妖怪

・・・ふぅ、さてと、あいつは逃げていったわね。

全く、こんな妖怪に出くわすなんて、最高に運が悪いわね、私は。

いや、刀子が幸運だったのかしら、私が居なかったら、多分あの子は死んでいた。

恐怖で足が竦んで動かないんじゃ、逃げようも無い。

・・・恐怖って感情は、私にとってはいい食べ物なんだけど、敵に回ると厄介極まりないわ。


「貴様・・・確実に、しとめ、る」

「それはこっちのセリフよ、私に動物たちの攻撃は当らない、もう、純粋に実力勝負ね」

「めんど、うだ」

「それも、私が言いたいわ、でも、まぁ、あいつを追わせるわけにはいかない、速攻で仕留める!」


私は幽霊、瞬間的な加速速度は、妖怪のあいつよりは速い。


「ぬん!」

「当らないわね!」

「ぐ!」


私はこの妖怪の攻撃を回避し、懐に潜り込んで一撃を叩き込んだ。

しかし、厄介なのよね、私には決定打が無い、攻撃力もあまりないし、嫌になるわ。

こうなると、手数で攻めるしか無いし、時間も掛かる、でも、あまり時間は掛けたくない。


「一気に沈めてやるわ!」

「ぐおぉぉ!」


私はそのまま、ひたすらに攻撃を仕掛けた、一撃に威力が低いなら、連続で叩くしか無いからね。


「だりゃぁ!」

「軽いぞぉ!」


私の攻撃に対し、あの妖怪が反撃を仕掛けてきた。

と言っても、私は空中でバランスを取っての攻撃じゃ無いんだけどね。


「おっと」

「ぐ!」


私は攻撃を瞬時に止め、後ろに下がった。

なんせ、どんな体勢であろうと、後ろにのけぞることが出来るからね。

いやぁ、幽霊になってよかったわ。


「私を捉えるのはさぞ難しいでしょ?」

「ぐぬぅぅ! 卑怯、物め!」

「使える力を最大限に使うのは当然でしょ? これは、決闘じゃ無いんだから」

「ぐがぁぁ!」


私の言葉で怒りを覚えたのか、あの妖怪は猪の様に私の方に突っ込んできた。

ふふ、挑発成功ね、こいつが単純馬鹿で助かったわ。


「うがぁぁ!」


私はその妖怪の怒りにまかせた一撃を大樹の近くで回避し、その木に刃を当てさせた。


「なにぃぃぃ!!」

「こんな状況で我を忘れる何て、馬鹿よね」


私はその直後に妖怪の懐に入り、とにかく全力で攻撃を仕掛けた。


「ぐがぁぁ!」

「さっさと、くたばりなさいよ!」


そして、私の連続攻撃が聞いたのか、その妖怪はようやく刀から手を離し、地面に倒れた。

あぁ、腕が痛いわ、始めてよ、あんな全力で何かをひたすらに殴ったなんて。


「ふぅ、結構あっさりだったわね」

「貴様、は、強い」

「それはどうも」


あの妖怪が、地面にぶっ倒れている状態で、私を褒めだした。

何かしらね、命乞いでもしようって言うのかしら。

まぁ、私はそもそも妖怪の生死をどうこうできるほど、力は無いんだけどね。


「だから、こそ、面白い!」

「な!」


妖怪はいきなり懐に手を入れると、そこから小さな短刀を取りだし、私に投げつけてきた。

間違いなく動けない、そう勘違いしていた私に、その攻撃を完全に回避するのは無理だった。

私はその妖怪が投げた短刀を横腹に貰っちゃったわ・・・凄くいたい・・・


「くぅ・・・あぁ、もう・・・妖気が纏ってたら、幽霊にも当るのね!」


それにしても、驚いた、まさか、この妖怪が自分の妖気を道具に流すような真似が出来るなんて・・・

接触している間しかその効果は無いのかと思っていたけど、本当に想定外よ!

あぁ、最高に嫌な相手よ、もう、最悪の一言ね。


「ぬん!」

「くぅ!」


私がそんな事を考えていると、あの妖怪が、大樹に飲まれていた刀を冷静に引き抜き、斬りかかってきた。

私は急いでその攻撃を回避した。


「ぐぁう!」


しかし、私の横腹に刺さっていた短刀に、その刀が思いっきりヒットして

私の横腹を引き裂いた、血とかは出てないけど、かなり痛いわ・・・


「や、やってくれるわね・・・」

「やはり、幽霊、は、頑丈、だ、これ、で、死なんか」

「あ、当たり前よ、私はもう死んでるの、痛み程度でくたばる訳ないわ」

「な、ら、精神、を、壊せ、ば、殺せ・・・るな」


まぁ、確かに幽霊は魂だし、精神を破壊さえすれば死んじゃうんでしょうね。

いや、死んじゃうと言うか、消えるかしら。

魂が壊れるって事は、転生とか出来なくなるのかしら、ま、今はどうでも良いことか。

いま、大切なのは、どうやってこのウザったい妖怪を倒せるかよね。

・・・そうだ、決定打が無いなら、決定打を奪えば良いわ。


「行くぞ!」


あの妖怪は私の横腹から落ちた、短刀を拾うと、私の方に走ってきた。

どうやら、一気に仕掛けてくるみたいね。


「ぬん!」

「っと」


私は妖怪が短刀を持っている方向に回避行動を取った。

普通は逆が良いんでしょうけどね。


「取った! 終わり、だ!」


妖怪は私の予想通り、短刀を私に突き立てようとしてきた。

それも、完璧に私が想定したとおりの軌道。


「そうね、終わりよ!」

「く!」


私はその短刀を少しだけ回避して、伸びきった関節を取り、腕を曲げさせた。

そして、その短刀をこの妖怪自身に刺さるように軌道を変えた。


「ぐがぁ!」


私の狙い通り、こいつは自分の短刀を自分に刺した。


「終わりよ、くたばりなさい!」


私はトドメにその短刀を思いっきり殴った。

結構痛いのね、やっぱり、本気で殴るのは嫌かも。


「グ・・・アがぁぁ!」


その攻撃で、更に刃が食い込んだ妖怪は地面に倒れた。

そして、少しの間のたうち回った後に、真っ黒な煙を噴出して、消滅した。

何とかなってよかったわ、でも、時間かけ過ぎちゃったわね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ