表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/251

異変

茜が怪我をして帰ってきてから、1時間ほど経過した。

それでも、茜は目を覚まさない、呼吸は正常なんだけどな。

結構疲れていたのか? まぁ、その可能性が高いな。


「すみません!」


俺がそんな事を考えていると、神社の入り口の方から声が聞えてきた。


「はい! どうしたの!?」

「あ、あれ? 小さい女の子? あの、巫女さんはいらっしゃいますか?」

「茜は怪我をして眠ってるの!」

「そうですか・・・どうしましょう・・・」


茜に用事か・・・と言うか、参拝じゃなくて、神社内にまで入ってくるって事は

急用なんだろうな、普通なら俺が出るべき何だろうが、茜は俺の服をまだガッシリ掴んでるし。

どうしたもんかな・・・


「はいはい、先代の巫女ならいるわよ」


ん? あぁ、葵が動いてくれたか、普段面倒くさいとか言ってるが、こう言うときは動くんだな。


「もう、この際先代の巫女さんでも構いません、実は急ぎの依頼があるんです!」

「急ぎの依頼? 何かしら?」


やっぱり、依頼か、それも急ぎの、そこまで急がないで良い依頼なら、鳥居の前の依頼入れに入れるしな。

しかし、どんな依頼だ? 気になるな。


「実は、最近里の近くの動物たちが活発に行動してしまって、困っているんです」

「そう、まぁ、何かあったんでしょうね、でも、そんなに急ぐ内容?」

「それだけなら問題は無いんですよ、でも、犠牲者が何人か出てしまっています! だから!」

「犠牲者ね・・・なるほど、それは結構急がないとならないわね」

「はい! だから、出来れば今日中に何とか動いて欲しいんです、せめて原因を探して欲しいんです」

「分かったわ、じゃあ、任せて頂戴」

「お願いします!」


この会話から考えると、この依頼は葵が解決するのか、なら安心だろう。

あいつの戦闘能力は筋金入りだからな。

そして、その後この部屋に向ってくるような足音が聞えてきた。

その足音が部屋の前で止まり、ノックの後に部屋の扉が開き、葵が立っていた。


「圭介さん、依頼ですよ、聞えていると思いますけどね」

「あぁ、完全に聞えていた、犠牲者も出てるらしいな」

「えぇ、そうです、普通なら茜が解決するべき依頼ですけど、今回はこんな状態です

 ここは、私に任せて貰っても良いですか?」

「あぁ、別に構わないが、何かあったら報告してくれ」

「分かってます、あと、地図もありましたよ、この場所です」


葵は俺に地図を軽く見せてくれた、その場所は、里の近くの森ほぼ全てだった。

色んな場所で動物たちが活発に動き出したって事か、これは厄介そうな。


「厄介そうだな」

「そうですね、範囲も広いし、正直私1人で回るのは辛いですね」


確かに1人でこの範囲を回るのは結構厳しいだろうな、範囲とかヤバいし。

でも、今動けそうなのは葵と刀子くらい何だよな、サラと四季は四宮神社の境内から出るには

俺と一緒に行動しないといけないからな。


「まぁ、1人は難しいなら、刀子に頼んでみるか」

「そうですね、刀子は動けそうですし」

「あぁ、だから刀子に頼んでみてくれ、あと、どう動くかを軽く教えてくれ」

「分かりました、どう動くかは刀子と考えた後に教えます」

「あぁ、頼む」

「では、失礼します」


葵は部屋の扉を閉めて、何処かに歩いて行った、恐らく刀子の部屋だな。

まぁ、刀子との会話は聞えるんだけど、神社は壁が薄いからな。


「刀子、依頼の話、聞えたでしょ?」

「あぁ、何だ、動物が活発に動いてるらしいな」

「そうよ、その依頼を私達は受けることにしたの、それは分かるわよね?」

「あぁ、そんで、私に協力を仰いでるんだろ? 聞えたぞ」

「じゃあ、すぐに答え出るわよね?」

「あぁ、勿論一緒に行くぞ、で、どういう風に回るんだ?」

「そうね、これが地図なんだけど」


刀子は協力してくれるという感じだな、それで、今は作戦会議中か。


「こりゃ、広いな、こんな範囲で厄介ごとが起ってるのかよ・・・」

「えぇ、それで、私は東を回っていくように行動したいと思ってる」

「じゃあ、俺は西を回るか・・・それか、一緒に行動するかだな」

「西を回って、一緒に回っても、時間が掛かるからね」

「まぁ、そうだな、2人で解決するんなら、やっぱ手分けが良いか」

「えぇ、それで、可能なら自力で解決して、駄目そうならここで合流ね」

「あぁ、あの兎の団子屋か、確かにここなら目立つからな」

「えぇ、それで、可能なら協力も仰げるからね、まぁ、私達2人で解決するけど」

「分かった、じゃあ、これを圭介に伝えるのか」

「えぇ、そう言われてるからね、と言っても、聞えてそうだけど」


まぁ、聞えてるんだよな、完全に、やっぱ、そろそろ四宮神社も大きくした方が良いかな。


「一応作戦会議は聞えた、報告は良いぞ!」

「やっぱり聞えていたんですね、じゃあ、私達は行ってきます!」

「あぁ、分かった、気を付けろよ!」

「はい、大丈夫です」

「あと、刀子、お前は本当に警戒しろよ? 完全に封印を解いたわけじゃないんだからな!」

「分かってるよ、大丈夫だって、危なくなったら逃げるって」

「あぁ、分かった」

「何か心配ね・・・圭介、茜のことはあなたに任せるわ」

「ん? 睦月、どうしたんだ?」

「私はこれから少しの間、刀子に憑いておくわ」


そう言うと、睦月は壁をすり抜けて、刀子の部屋の方に進んでいった。


「うわぁ! ちょ! 睦月! その壁から出てくるの止めろよ!」

「幽霊だからね、あと、私は少しの間あなたに憑いておくわよ」

「はぁ!? 何でだよ! お前は茜の守護霊なんだろ!?」

「そうだけど、心配だからね、特にあなたは引き際とか分からなさそうだし

 それに、後先見ないで突撃するでしょ? そのせいで久里に負けてたし」

「あ、あれはあの狸がずる賢かったから・・・」

「その上、茜にも負けちゃってるし」

「あ、あれは本当に悔しかった・・・」

「と言うわけで、私が一緒に居てあげるわ、引き際とかもアドバイスするから、ちゃんと聞きなさい」

「わ、分かったよ・・・」


これで刀子も安心出来るだろう、睦月はかなり優秀なサポートだからな。


「それじゃあ、行きましょうかね」

「そうだな・・・何か違和感があるが・・・」

「あなたの後ろの幽霊がいるだけよ、何の問題も無いでしょ?」

「それが何か怖いんだよ・・・落ち着かないな・・・」

「では、行ってきます」

「あぁ、頑張ってくれ」


そして、葵たちが外に出るような音が聞えた。

さて、俺は茜が起きるまで待っておくかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ