茜の自由形信仰集め
ババ抜きが終わって、少しの間俺達は軽く談笑をして、少しだけ時間が経過した。
と言うか、今思い出したが、今日は茜に修行をしていないな。
「圭介様、どうしました?」
「あぁ、今日はお前の修行をしていなかったからな」
「そう言えばそうでしたね、忘れてました・・・えへへ」
茜はその言葉を聞いて少しだけそっぽを向いて、笑った。
「まぁ、今回の修行は水希達にもやった修行だ」
「どんな修行なんですか?」
「単純に信仰集めだ」
「あぁ、分かりました、じゃあ、里の人達から困りごとを聞いて解決してきますね!」
茜は一切悩むことは無く、自分がやるべき事を瞬時に見いだした。
水希はこの行動を取るのに結構時間が掛かったって言うのに茜は一瞬か。
「それでは! 行ってきます!」
「あぁ、分かった」
茜は元気に階段を降り始めた、しかし、少しだけ不安だな。
「うーん、大丈夫か? ・・・! そうだ、良いこと考えた、刀子! 刀子来てくれ!」
「何だ? 何で私を呼ぶんだ?」
「刀子、茜に付いていってやってくれ」
「へ!? いやいや、私は神社からしばらくは出られないんじゃ無かったっけ?」
「しばらくは経った、まぁ、何だ経験は重要だからな、でも、変な気は起こすなよ?」
「分かってる、お前は確か私達を見ることが出来るんだろ? 見られているのに変な気なんて起こさない」
「そうか、じゃあ、頼むぞ、あと、お前の本体の封印を少しだけ緩くしておく」
俺は刀子の本体の妖刀の封印を少しだけ緩くした。
これでもしもの時は戦う事が出来るだろう。
「少し体が軽くなったな、やっぱり封印が緩くなると軽くなるんだな」
「まぁな、これが本体だからな」
「考えてみればそうだよな、じゃあ、行ってくる」
「頼むぞ、睦月が付いているとは言えもしもの場合があるからな」
「任せてくれ、もしも人間が茜にちょっかい出してきたら何とかするさ」
「殺すなよ? ちゃんと峰打ちでやれよ?」
「分かってるって、そんな真似をしたらお前らに迷惑が掛かるからな」
刀子はそう言いながら階段を降りていった。
あいつなら頼りになるしな、睦月は妖怪とかには触れれるが、人間には触れられないからな。
それが無ければ睦月はかなり万能な護衛だよな。
「あの2人、大丈夫だと良いね~」
「正確には3人だな、それだけ居るんだ、大丈夫だろうよ」
「そうだよね~、茜ちゃんには3人・・・あぁ、今は多分4人だね~」
花木が後ろをチラッと見て、そう言った。
俺もそれにつられ、後ろの方をチラッと見たら、そこには葵の姿が無かった。
「あぁ、茜に関する行動力は凄いな」
「それだけ茜ちゃんが心配なんだろうね~」
「そうだな、まぁ、これで茜の安全は確保されただろうよ」
妖刀に付いた妖怪付喪神、妖怪に強い守護霊、天才級の妖怪巫女、そして、茜自体は
妖怪、幽霊を確実に仕留める刀と、妖怪、幽霊に圧倒的に強いお祓い棒。
本当に、茜は安全だな。
「あはは~、茜ちゃんは守ってくれる人が多いね~」
「それがあいつの人脈なんだろうな」
「人脈って凄いよね~」
「そうだな」
昔はお祈りしか出来なかった巫女だったのに、接客スキルがドンドン上昇していって
それが功をそうして、あんなに愛され系の巫女になったんだな。
まぁ、未だに戦闘能力は皆無なんだけどな。
「さてと、俺も少しだけあいつを見守ってみるかな」
「集中するの~?」
「あぁ、そうしないと見えないからな」
俺は精神を集中させ、茜の方を見てみた。
茜は色んな場所に訪ね、依頼が無いかどうかを聞いて回っているな。
「うーん、なら、畑の仕事を手伝ってくれないかい?」
「はい! 私達に任せて下さい! おじいさんは私達が間違えたら教えて下さい」
「済まないのぅ、最近は腰も痛いし、頼りにさせて貰うわい」
茜の最初の依頼は畑仕事か、一緒に居た刀子も自然に畑仕事をするこになったようだ。
「えっと、草刈りだな、そこは得意だが・・・ど、どれを切ったら駄目なんだ?」
「今は何も植えとらんから、全部を切ってもらっても構わんよ」
「そうか、じゃあ、すぐに終わるな、おじいさんと茜は少し離れていてくれ」
「で、でも、これは私が受けた依頼ですし」
「私はその手伝いを任されているからな、それに、こう言う奴は私の方が得意だからな」
「確かにそうですね・・・それじゃあ、下がっています、おじいさん」
「あぁ、分かったよ」
刀子は茜とおじいさんが下がったのを確認すると、鞘に収めていた刀を抜き
かなりの速度で畑の雑草を刈りまくった、やっぱり刃物を使えば凄いな、流石妖刀の付喪神だ。
これなら、まぁ、安心だろう。
俺は集中を解き、視界を自分の方に戻した。
「ふぅ・・・んあ? 何でお前らは俺の膝の上に座ってるんだ?」
「ん~? あぁ、集中するの止めたんだね~」
「あぁ、で、なんで俺の膝の上に座ってるんだ? 兎の姿でよ」
「ここが安心するんだよ~、あ、羽衣達はグッスリ寝ちゃってるから起きないよ~?」
「神の膝の上で寝るなよ」
「良いじゃん~、安心するからね~」
全く、困ったなこれじゃあ、山明神社にいたときとあまり変わらないな。
違うのは数だけか・・・ふぅ・・・あ、お茶が入ってるな、いつの間に
俺はそのお茶を少しだけ飲んでみた、そのお茶は少しだけ渋かった。
ふむ、これは茜が入れたお茶じゃ無いな、これは花木の店で飲んだことがあるな。
なるほど、このお茶を入れたのはこいつらか。




