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ちびっこ賢者、Lv.1から異世界でがんばります!【Web版】  作者: 彩戸ゆめ
第一章 やっと念願の賢者になった!
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第9話 魔法剣

 さすがにスライム1匹倒すのに、あの魔法はやりすぎでした。

 こんな所にクレーターをたくさん作っちゃダメってアルゴさんに叱られて、LV上げは中止です。


 だけど、さすがにスライム1匹倒しただけじゃ、LVは上がりませんでした。

 がっくり……


 とりあえず休憩というか、その辺に座ってアマンダさんが持ってきてくれた水筒からリコのジュースをもらっています。

 ちなみにワンピースが汚れるからと、アルゴさんがハンカチを地面に敷いてくれました。なんて紳士なんでしょう。


「さあ、リコのジュースよ」


 このまま水筒に口つけちゃっていいのかな? いいのよね?

 ゴックン。

 おお~。これが昨日グレなんとかさんに持ってきてもらうはずだったリコのジュースなんだ。

 飲んだ感じは少し酸味があって、薄いアセロラっぽい感じ。冷たかったらもっとおいしそう。


 アセロラと同じように、ビタミンCたっぷりだといいなぁ。


 ちびっこといえども。

 いえ、ちびっこだからこそ、今からお肌のお手入れが大切なのです! 美肌バンザーイ。


「それにしてもびっくりしたよ。凄い魔法が使えるんだね」


 右隣に座ったアルゴさんに言われて、ちょっと困った。

 だってあれって雷属性では一番弱い魔法なんだよね。賢者のLVが1でも、魔法使いのLV99の時のままの魔法の威力って事なのかなぁ。


 だとすると、魔法を使う時は気を付けないと、威力が大きすぎるって事かな?

 うわぁ。良かった。さっきファイアー・ボールとか使わなくて……思いっきり森林火災起こしてたかもしれない。ひぃぃ。


「しかも短縮詠唱だしね」

「タンシュク詠唱?」

「うん。普通は魔法を発動する時に、もっと長い呪文詠唱をするんだ。でもユーリちゃんは術名だけで魔法を発動させただろう?」


 うん。だってゲームで「我が呼び声に応えよ雷。その力もって敵を滅せよ、サンダー・アロー!」なんて言わないもんね。普通にサンダー・アローって呪文を選んだだけで発動したし。


「他の属性の魔法も使えるの?」

「えーっと。あとは、火と水と風と土ですね」

「全属性か……凄いな」


 そうなの? エリュシアオンラインの魔法使いでは普通だけど。やっぱりゲームとリアルは違うっていう事なのかな。


「普通は全部の属性の魔法を使えないんですか?」

「そうだね。たとえば僕は水の魔法を使うけど、他は使えない。アマンダは二属性だっけ」

「ええ、火と風ね」

「僕が知る限り、全属性の魔法を使えるのは団長くらいかな。しかもあの人、剣に魔法属性つけちゃった非常識な人だし」


 剣に属性って……上級職の魔法剣士みたい。

 もしかしてこの世界では、上級職がもう解放されてるとか?

 あ、でも賢者の塔は知らなかったみたいだから、賢者の職は解放されてないよね。


 上級職って、賢者以外って何があったっけ。興味なくてあんまり覚えてないけど、魔法剣士と忍者と、あと何だっけなぁ。

 基本職は、剣士・狩人・魔法使い・神官くらいだったんだけど。


 う~ん。私が知ってるこの世界の知識と現実が、どこまで一緒でどこまで違うのかを知りたいと思う。うっかり何か話して、この世界の人間じゃないって事を知られたくないしね。


「そうね。団長がその戦い方を広めてくれたから、イゼル砦は女性騎士が増えたのよ」


 おお~。そうなんだ。

 あ、じゃあ、もしかしてレオンさんが魔法剣士に転職する為のマスターだったりして。


「普通に戦うんじゃ、どうやっても女は男にかなわないわ。でも、こうすれば」


 立ち上がったアマンダさんが腰の剣を取り、手をかざした。


「我、身に宿りし炎の力の具現を願う。我が剣に、まとえよ炎!」


 呪文らしきものを唱えると、アマンダさんの持つ剣が燃えた。

 あ、違う。剣から炎が出てきた。


 おおおおおおお。

 すごおおおおおおおおおおい。

 なんか、これぞファンタジー、って感じだ。


「アマンダさん凄いです凄いです! うわぁ、かっこいい!」


 思わず拍手すると、アマンダさんは綺麗な顔に、それはそれはもう綺麗な笑顔を浮かべた。


 はううううう。

 かっこよくて綺麗なんて憧れますぅぅぅぅ。


「ユーリちゃん、見て見て。僕もできるよ。我、身に宿りし水の力の具現を願う。我が剣に、まとえよ水!」


 おおおおおおおお。

 アルゴさんもすごおおおおおい。


 剣の周りに水流がぐるぐるしてるよ。

 そして、剣を上にしたら竜巻っぽいのが出てくる。


「ね、僕もカッコイイでしょ?」

「はいっ。二人とも凄くカッコイイです!」

「うんうん。素直な反応でいいねぇ」


 魔法剣士、かっこいいなぁ。ああ、私も剣士のLV上げておけば良かった。魔法使いのLVは99だったから、剣士をLV99にしてれば……


 いや、でも、やっぱり賢者が一番だよ。魔法攻撃できて回復できて、剣も持てるんだもん。


 あ、だけど賢者で剣スキル使うために剣士をLV99にするっていう手もあったのか。

 でも、またLV上げをしなくちゃいけなくなるのを考えたら……うん。もうお腹いっぱいです。


「いいなぁ。カッコイイなぁ」

「ありがとう。でも、ユーリちゃんは剣より魔法の方が向いてるんじゃないかと思うよ」

「ですよね~」


 スライムすら倒せないんだもん、剣の才能はなさそう。


「イゼル砦の皆さんは魔法剣士さんが多いんですか?」

「あら、その言い方いいわね。私たちは魔剣使いって呼んでるけど、魔法剣士のほうが良い呼び方だわ。そうねぇ。まあ騎士なんて剣持って振り回すのが好きなヤツばっかりだしね。団長が剣に属性をつける戦い方を教えてくれる前も、剣士の方が魔法使いよりは多かったわね」


 はっ。よく考えると、レオンさんもアマンダさんもアルゴさんも魔法剣士なんだから、剣士のLVも魔法のLVも99なの?!


「剣に属性をつけるってことは、魔法もできないとダメって事ですよね?」

「そうね」

「じゃあ魔法使いになれるし、剣士にもなれるっていう人が魔法剣士になるんですか?」

「いいえ。私たちは元々剣士だから、魔法はそんなに得意じゃないわね。でも剣に属性をつける程度なら、ちょっと魔法の才能があればいいからできるのよ」


 じゃあ剣士と魔法使いのLVを99にしなくても、魔法剣士になれるって事なのかな。

 やっぱり、この世界とゲームの世界とは違うんだ……。


 賢者の塔も……みんな知らないみたいだけど、実在するよね……?


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