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ちびっこ賢者、Lv.1から異世界でがんばります!【Web版】  作者: 彩戸ゆめ
第二章 ちびっこ賢者、がんばります!

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第77話 レヴィアタンとの戦い

「アルにーさま!」


 思わず叫ぶと、私を抱く力がぎゅっと強くなった。


「大丈夫。少しかすっただけだ。それに、この鎧には防御の魔法陣がついているからね」


 思わず顔を上げると、優しい水色の瞳が私を安心させるかのように見下ろしている。

 ほっ……。良かった。怪我はしてないみたい。


 他の人は、と見ると、アマンダさんもヴィルナさんも怪我はしてないみたいだ。

 フランクさんは頭の上にいたルアンを抱きかかえて守っていて、もちろんノアールは私の横にいる。

 そしてカリンさんは――


 木のドーム?

 洞窟の一角に木というか枝でできたドームが作られていた。少しだけ開いた隙間の奥にいるのはカリンさんだ。


「あれは言霊で結界を作ったんだと思う。あの中に入ってしまうと防御しかできないみたいだけど、どんな攻撃も無効になるというカリンの最終奥義だね」


 なんだかカリンさんのイメージがどんどん変わっていく。

 ただのスライムおたくの変態さんじゃなかったんだね。


「次がくるぞ!」


 カリンさんの声と共に、レヴィアタンの咆哮が聞こえる。


「しっかりつかまって!」


 アルにーさまに言われて、しっかりとその腕にしがみつく。

 今度はかすりもしなかったみたいで、衝撃もない。


「逃げてばかりでは我は倒せぬぞ!」


 でもホッとする間もなく、次の攻撃がきた。


「らちが明かねぇな。おい、カリン、こいつを頼む!」


 突然フランクさんが腕に抱いていたルアンを放り投げた。


「きゅうっ」


 枝のドームから、にゅっと手が出てルアンをつかむ。


「きゅーっ、きゅうきゅうっ!」


 抗議するようなルアンに、フランクさんは「そこで大人しくしてろ」と声をかける。


「いざという時の非常食だからな、安全なとこに置いとかねぇと」

「任せておけ。……こら、暴れるでない」

「きゅうっ。きゅううっ」


 でもフランクさんと離れたくないルアンは枝のドームの中で暴れてるみたいだった。


「このデカイのを倒したら出してやるから、それまでは大人しくしてな。――ルアン(・・・)

「きゅっ。きゅううううううううう」


 フランクさんに初めて名前を呼ばれたルアンは、一声大きく鳴いて……。

 それから静かになった。


「これで思いっきり暴れられるぜ。まずは小手調べだな」


 フランクさんは拳を構えると、レヴィアタンに向き直った。

 そして地面を蹴ると、レヴィアタンのお腹に向かって拳を奮う。


「くらえっ。波動掌拳(しょうけん)!」


 ――やった!

 甲冑虫を倒したんだから、ちょっとは効いてるはず。


 でも。


「かってぇな」


 内部を壊すはずのフランクさんの技は、鱗を伝っていくうちに吸収されちゃっている。


炎刃(えんじん)両断!」


 下がったフランクさんと入れ替わるように、アマンダさんが次の攻撃を仕掛ける。

 炎をまとわせた剣がレヴィアタンの固い鱗に当たって――


「はじかれるっ!?」


 ガキィィンと剣が固い物に当たる音がする。


「なんて硬いのっ」


 こっちの攻撃が全然効かない!?

 その間にもレヴィアタンはマレンティを呼び出していて、ノアールとヴィルナさんが倒している。


「おい、ヴィルナ」

「なんだ」

「こっちは俺に任せて、ちゃっちゃと、さっきみてぇにあいつを斬ってくれよ」


 フランクさんにそう言われたヴィルナさんは、剣を振るう腕を止めず、視線だけレヴィアタンへと向ける。


「……見切れぬものは、斬れん」

「仕方ねぇな」


 フランクさんはもう一度レヴィアタンに攻撃を仕掛けようとする。

 そこに――


「フランクよけろ!」


 レヴィアタンの尾が、ぐわんとうねってフランクさんに迫る。


「アルゴに言われるまでもなく……おっと」


 バランスを崩しそうになりながらも鯨のような尾を避ける。


「ユーリ、少し待ってて」


 私をカリンさんのドームの近くに下ろしたアルにーさまが、レヴィアタンに向かって走る。


「水流一閃(いっせん)!」

「……この程度の攻撃で我は倒せぬぞ。さあ、もっと本気を出すがよい!」


 ア……アルにーさまの攻撃も効かないの!?


 水属性の敵には雷属性が効くけど、ここじゃ私たちも感電しちゃう。


 じゃあ、これしかない。


「ウィンド・アロー!」


 続けて、これだー!


「ウィンド・ランス!」


 風の矢が、槍が、レヴィアタンに降り注ぐ。

 無数の切っ先がレヴィアタンを包み、その姿が沈みこむ。


 ……や、やったの……?


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