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ちびっこ賢者、Lv.1から異世界でがんばります!【Web版】  作者: 彩戸ゆめ
第二章 ちびっこ賢者、がんばります!

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第35話 皆でハイタッチ

 皆が注目する中、地面の上に置かれた青いスライムことマクシミリアン二世はぷるぷると揺れている。


「さて、では意思の疎通をはかるぞ!」


 カリンさんの宣言に、どうやってやるんだろうと注意深く見守る。私だけじゃなくて、他の皆も固唾を飲んで見守っている。


「では、マクシミリアン二世。『お手』!」


 そう言ってしゃがむと、カリンさんは笑顔でスライムに向かって手を差し出す。

 青いスライムが、ぷるんっと揺れた。


「どうした!? 『お手』だぞ」


 スライムはぷるぷるとしている。


「ほら。早く」


 スライムはぷるぷるしている。


「マクシミリアン二世、どうした?」


 スライムは……。


「……ふむ。どうやら効果がないようだな」


 いやそれ、当然だと思いますけど!?

 だって、スライムには手がないじゃないですかぁ!


「カリン……ちょっといいかしら?」


 額を抑えたアマンダさんが、低い声でカリンさんを呼ぶ。


「なんだ?」

「スライムに手はあるの?」

「アマンダ、何を馬鹿な事を言っておる? スライムに手などあるわけがなかろう。大体、スライムはこのぷるんとした丸い球体こそが美しいのだからな。完璧な美しさであると言ってもいいだろう。それなのにこのフォルムの素晴らしさが分からんとは、実に嘆かわしい事だ。このフォルムはだな――」

「ストップ、ストップ! 私が言いたいのはスライムの形の事じゃなくて、手がないんだから、『お手』とやらもできないでしょうって事よ」

「ふむ。そんな事か」


 アマンダさんの言葉を聞いたカリンさんは、大きく頷くと私の方を指さした。


 えっ。わ、私!?

 私、スライムにお手なんて――。

 あっ。


「そこの小娘が、スライムに『お手』をさせておったぞ。だから、マクシミリアン二世にも出来ぬことはあるまい」

「ユーリちゃんが?」

「嬢ちゃん、面白れぇことしてんな」


 今まで黙っていたアルゴさんとフランクさんもびっくりして私を見ている。

 ヴィルナさんも言葉はないけど、耳がけばだっている。


 待って待って。あれには事情があるの!


 私はあわあわしながら、両手を前に突き出した。


「あれはプルンにお手をさせてたわけじゃなくて、ノアールに教えてたんです」


 魔獣だから違うかもしれないけど、一応見た目からするとノアールは猫科だから、お手をやってくれないかなぁと思って、試してみたのよね。

 猫もお手はしないかもしれないけど、でも、試してみたかったんだもん。


「ねえ、ユーリちゃん。『お手』ってなあに?」

「えっ?」


 そう言われれば、この世界ではペットの犬とか猫っていないのかな?

 魔獣がいるから、普通の動物はいないとか?


 もし普通の犬がいないんだとしたら……。うん。魔獣をペットにするのは、ちょっと無理なのかもしれない。


 私はちらっとヴィルナさんのケモ耳を見上げた。

 この世界には動物をペットにするっていう習慣がないから、ヴィルナさんがノアールを可愛がってくれてるのかなぁ。


「えっと。本当なら、こうやってノアールに手のひらを上にして差し出すと、そこにノアールが手を乗せてくれるんですけど……。未だにやってもらったことがなくて――って。ええっ!?」


 『お手』のやり方を説明していると、なんとノアールの前足がちょこんと私の手に!


「アマンダさん! 初めてノアールがお手をしてくれました! うわぁ、うわぁ、嬉しい。可愛い!」


 思わずノアールを抱き上げて高い高いをしてしまう。

 ノアール! なんて賢いの!?


「小娘! ノアールではなくスライムの話を聞かせよ!」

「あ。そうだった」


 私はノアールを抱きしめると、ペロっと舌を出して肩をすくめた。

 えへへ。ノアールが初めて『お手』をしてくれたから、ついつい興奮しちゃった。


「すみません、カリンさん。えーと、それで、ですね。その時はノアールがお手をしてくれなくてしょんぼりしていたら、隣にいたプルンが代わりにお手をしてくれたんです」


 お手というか、ぴょんっと弾んで、私の手のひらに乗っかったの。

 ええっ。これがお手!? ってびっくりしちゃった。


 偶然かもしれないと思ってもう一度試してみたら、同じようにぴょんって手のひらに乗ったの。凄いよね。

 思わず感動して、今みたいにプルンを両手に持ってくるくる回っちゃった。


「なぜだ! なぜ小娘のスライムは『お手』をして、私のマクシミリアン二世はしないのだ!」

「それは多分、私には従魔スキルがあって、そのレベルが高いから?」

「小娘は先ほど、名前をつければ意思疎通がはかれると言っていたではないか。あれは嘘か?」

「えーっと。なんて言えばいいのかな。従魔スキルっていうのは、魔物を懐かせることができるスキルなんです。それで懐かせた魔物に名前をつけると、その魔物の力をUPしてくれて、さらにこっちの言っている事がなんとなく分かるようになってる……ような、気がします」

「その従魔スキルとやらは、どうやって覚えるのだ?」


 どうやって、って言われても……。


「ノアールが懐いてくれた時に覚えたんだと思うんですけど、分かりません。いつの間にか覚えてました」

「いつの間にか、か。……ふむ。では私も既に覚えている可能性はあるな。だが、『お手』は成功しない。……なぜだ?」

「う~ん。従魔スキルのレベルがまだ低いから、とか? もうちょっと指示を分かりやすくしたらどうでしょう? この手のひらの上に乗れ、とか」

「やってみよう」


 カリンさんはもう一度しゃがんでスライムに手のひらを差し出す。


「マクシミリアン二世、私の手のひらの上に乗れ」


 カリンさんがそう言うと、マクシミリアン二世はぷるぷるぷるると震えると、大きくジャンプしてカリンさんの手のひらの上に乗った。


 やったー! 成功した!

 成功を祝って、その場にいた皆でハイタッチしちゃいました!


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