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ちびっこ賢者、Lv.1から異世界でがんばります!【Web版】  作者: 彩戸ゆめ
第一章 やっと念願の賢者になった!
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第15話 パーティー!

 しばらく大泣きしたら、なんだかスッキリしました。気持ちを切り替えるためにたくさん泣くのって、実は凄くいい事なのかもしれません。


「す……すびばしぇん。泣いちゃって……」


 あう。

 いっぱい泣いたから、かんじゃいました。

 うう……恥ずかしい。


「私……いつか日本に帰れるまで、ここにいていいですか?私にできる事ってあんまりないかもしれないけど……ここにいてもいいですか?」


 レオンさんのシャツにしがみつきながら見上げれば、変わらずに優しいエメラルドの瞳。


「もちろんだ。うちの騎士見習いだしな」

「そうそう。それにユーリちゃんの魔法も教えて欲しいしね」

「ヒール飛ばしも、だな」

「いるだけで癒しだわぁ」


 アルゴさん、フランクさん、アマンダさんも優しく声をかけてくれる。


 うん。がんばれる。

 優しい皆がいてくれるから、ここでがんばれる。

 そうだ。がんばろう!


「ありがとうございますぅ……」


 今度は皆の優しさに泣きそうになった。でもがんばって堪える。

 もっと強くなるんだもん!


「魔法教えるのって、私にできるかな……」


 ちょっと自信ない。だってLVが上がったから覚えたわけで、訓練して覚えたんじゃないし。


「系統が違うようだからどうなるかは分からないが、試してみる価値はあるだろう」

「分かりました。がんばります」

「とりあえずどんな魔法があるか教えてもらったほうがいいか……?」

「あ、じゃあ紙と何か書くものをもらっていいですか?」


 アルゴさんに紙と羽を渡される。羽……?もしやこれが羽ペン???

 初めての羽ペンをじーっと見てると、レオンさんが私を抱えたまま、椅子を机の前に戻した。そしてそのまま抱っこされた状態で机に向かう。


 ま……まあ、確かにそのまま机に向かったら、高すぎて書けないとは思うけども。私、ちびっこだし。

 なんだかレオンさんのお膝の上が定位置になってるような気がする……


「えーっと、まずは魔法から……」


 おおおおお。

 凄いです。サンダー・アローって日本語で書いたつもりなのに、ちゃんとルーン文字っぽい文字で書かれてます。

 これぞまさにファンタジー!



 雷 サンダー・アロー(MP5) サンダー・ランス(MP10) 

 風 ウィンド・アロー(MP5) ウィンド・ランス(MP10) 

 火 ファイアー・ボール(MP5) ファイアー・クラッシュ(MP10) 

 水 ウォーター・ボール(MP5) ウォーター・クラッシュ(MP10) 

 土 ロック・フォール(MP5) アース・クエイク(MP10)



 最上級魔法は使えないから書いてません。あと一応、参考までに消費MPも書いてみました。 


 でも羽ペンって、響きはかっこいいけど、書きにくいなぁ。羽だから持つところが細いし、すぐ折れそう。

 紙の質もあんまり良くないからか、すぐペンが引っかかっちゃうし。

 シャーペンとかボールペンが恋しいよぉ。


 あ、そういえば私のMPって125だったのよね。魔力切れ起こしたって事は、MP全部使ったって事だから、逆算したらエリア魔法のMPが分かるのかな。

 ちょっと計算してみよう。


 あの時使ったのって


 サンダー・アロー(MP5)

 エリア・プロテクト・シールド(MP不明)

 エリア・マジック・シールド(MP不明)

 ヒールが、え~と2回だから(MP10×2でMP20)


 サンダー・アローとヒールでMP25消費したわけだから、残りはMP100。ってことはエリア魔法はそれぞれMP50消費なのかなぁ。結構使うんだなぁ。


 今度からエリア魔法使う時は、MP配分考えて使わないとダメだ。


「ユーリ。この魔法の横の数字は何だ?」


 長い指がMP5って書いてあるところを指す。顔と声だけじゃなくて、手もイケてるのか……。でも細い指って訳じゃなくて、ちょっとゴツゴツした大人の男の人の手って感じだ。


「それは消費MPです。……えーっと、その魔法を発動するのに、必要な魔力?」

「魔力を数値化しているのか?!」


 説明したらびっくりされた。

 え?ここじゃ違うの?


「では魔力切れを起こすまで魔法を使えば、自分の魔力がどれくらいなのか、数値で判断できるという事か……それは凄いな」

「今まではどうやって判断してたんですか?」

「経験による予測だな」


 ほえ~。

 つまり、達人の技、みたいな感じで自分の魔力の残りを感じてたって事なのかな?それはそれで、何か凄いような……


「魔法の種類とかは同じですか?」

「魔力を高めるための詠唱は必要だが、一緒だな」


 ふ~ん。じゃあ、裁きのいかづちみたいな最上級魔法は存在しないのかなぁ?まあ私も今はこれ使えないし、説明しなくていいかな。


 えーと、あとは回復系かな。



 回復  ヒール・ライト(MP5) ヒール(MP10)

 範囲回復 ヒール・ウィンド(MP20)

 毒とか麻痺を回復 キュア(MP5)



 補助系は……自分しか強化できないんだっけ?でも一応書いておこうかな。



 物理防御強化 プロテクト・シールド(MP5)

 魔法防御強化 マジック・シールド(MP5)



「これが、昨日ユーリの使った身体強化魔法か?」


 そう言ってレオンさんがプロテクト・シールドを指すので、違いますよ~と答える。


「これはかかるのが一人だけです。昨日のはエリア魔法といって、多分、賢者だけが使える、範囲魔法ですね」

「一人というと、自分だけにしかかからない?」

「いえ、仲間にもかけられます」

「赤と青の盾のようなものが回っていたが、あれがそうか?」

「そうですね。プロテクト・シールドをかけると赤い盾のエフェクトが出て、マジック・シールドをかけると青い盾のエフェクトが出ます。効果時間は30分です」


 ここら辺は神官になってダンジョンに行った時によく使ってたからね。ちゃんと暗記してるんだよ。えっへん。


「我々が使うのは『プロテクト』と『マジック・プロテクト』だな。どちらも自分にしか、かけられない。時間があれば、どちらの効果の方が高いのか検証できるんだがな……まあ、それは仕方があるまい」

「なあ、嬢ちゃん。このヒール・ウィンドってのは何だい?」


 今までじーっと私が書くのを見ていたフランクさんが尋ねた。


「パーティーメンバー全員を回復するヒールですけど、ヒールよりは回復量が少ないかも」

「パーティーメンバー?なんだそりゃ」

「えーっと、一緒に戦う仲間……?」

「一緒に戦えばまとめて回復できるって事かい?」

「多分、6人までのパーティーじゃないとダメかもです」


 そういえばパーティーって組めるのかな。組めるとしたらどうやって組むんだろう。

 マウスがあれば目の前の人をクリックしてパーティーに誘えるのになぁ。エアマウス、どこかに落ちてないかな。……落ちてないよねぇ。


 ゲームだと誰かにカーソル当てれば、その人の名前とかLVとか、ある程度のステータスは見れてパーティーにも誘えるけど、ここは現実だからそれはできない。そしたらどうやってパーティー組めばいいんだろう。


「嬢ちゃん、そのパーティーっていうのはどうやって組むんだ?」

「前は名前クリックしてパーティー申請すれば組めたけど、ここでは無理だし……試しに、オーソドックスに、言葉で言ってみるとか?」


 そーだよね。試すだけならタダだもん。

 やってダメだったら、また考えよう。


「えーっと、フランクさん、パーティーを組んでください、お願いします」

「な……なんだぁ?」


 いきなり私が言ったから、フランクさんは目を白黒させていた。


「ここは、ハイでお願いします!」

「お……おう」


 さあ、どーだ!


 う~ん。何だろう、何も変わってない気がする……


 はっ。きっと言葉だけじゃダメなんだ!

 態度でも示さないと……態度、態度……あ、分かった。握手してみればいいかも!


「フランクさん、握手してください」


 横に立ったフランクさんに握手してもらう。

 あ……手の平硬い。なんか神官さんの手の平じゃない~。


「フランクさん、パーティーを組んでください!」


 そうお願いした瞬間、お馴染みの半透明なウィンドウが目の前に現れた。


 やったー!パーティーウィンドウだー!

 さっそく見てみると、フランクさんの名前と職業の神官だけが書いてある。


 なんだぁ。ステータスとかは見れないんだ。ちょっと残念な気もするけど、そういうのって勝手に見るの、よくないような気もするから、これでいいね。


「やったやった。パーティー組めましたよ!わーい」

「組めたのか……?何も変わってねぇけど」

「でもこれでヒール・ウィンド効きますよ?」

「ほう。じゃあ俺も習得したら使えるかねぇ」

「練習しましょう!お手伝いしますから、がんばってください!」


 私は嬉しくなって、握手したままの手をぶんぶんと振った。


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