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ちびっこ賢者、Lv.1から異世界でがんばります!【Web版】  作者: 彩戸ゆめ
第一章 やっと念願の賢者になった!
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第12話 神官さん?

7月21日(土)のなろうラジオにて公開いたしましたが、本作が書籍化決定いたしました!

(株)KADOKAWA ファミ通文庫編集部 のB6版になります。

発売日は9月30日(日)で、イラストは竹花ノートさまです。

更に、みさき樹里さまによるコミカライズも決定いたしました!

どうぞよろしくお願いいたします。

 どうやら気絶したのは、魔力切れだったからみたい。


 この世界に来てからの朝の目覚めが、毎回気絶からの回復ってどうなんでしょう?あれから気が付いたら、すっかり朝になっていました。


 さすがに今回は覚醒時にアマンダさんの胸による圧迫はなかったんですが、その代わりもっと凄いのを見ちゃいましたよ。


 筋肉モリモリのプロレスラーかヤクザさんのようなコワモテの――

 神官さんです……。


 いや、いきなり目が覚めて、目の前にそんな人がいたらビックリしますよね?

 しかもどこからどう見てもカタギじゃない感じなんですよ。

 彫りが深くてラテン系の顔してて、眉のとこに傷があるんですよ。


 思いっきり悲鳴を上げた私は悪くないと思います!


「まあねぇ。フランクを見てすぐ神官だってわかる人は少ないわねぇ」


 用事があって部屋を出ていたアマンダさんの代わりに、回復魔法を使えるフランクさんが私についていてくれてたんだそうです。私の悲鳴を聞いてすぐに戻ってきてくれたアマンダさんが笑いながら教えてくれました。


「ホント、すみません……」

「わっはっは。いつもの事だ。気にしてねぇよ。お嬢ちゃん、具合はどうだい?」


 フランクさんは見た目の通りに豪快な喋り方をするおじさんでした。

 なんだろう……神官さんって線が細くてメガネかけてる人ってイメージがあったんだけど……イメージが崩れるなぁ。


「ちょっと頭が重いけど、大丈夫です」

「そうかそうか。まあ多分、魔力切れだろうから、ちっと休めば治るだろうぜ。それより昨日の朝から何も食ってねぇんだろ?アマンダが持ってきたスープでも飲んどけ。まだチビなんだから栄養はしっかり摂らないとな!」


 そう言われてアマンダさんの差し出すスープを受け取る。タマネギと人参みたいなのが入ってるあっさりしたスープは、じんわりと胃にしみわたった。


「おいしい……」

「そう。良かったわ」

「そうだ。アルゴさんは?!」


 アルゴさんとレオンさんは無事だろうか。他の騎士の皆さんは?それにゴブリンの群れはどうなったんだろう。


「ユーリちゃんのおかげでピンピンしてるわ。ゴブリンも殲滅できたし。ありがとうね」


 そうなんだぁ。……良かった……

 ほっとして体の力が抜けた。


 良かった……本当に良かった。


「アマンダに聞いたけど、ヒールを飛ばしたんだって?どうやってやったんだい?」

「へ?」


 いきなりフランクさんに聞かれて、首を傾げる。ついでに飲み終わったスープのお皿をアマンダさんに渡した。


「ヒールを飛ばす?」


 えーっと、どういう意味だろ?


「遠くからアルゴにヒールしたって聞いたぜ」

「ああ。そういう意味ですか。もしかしてヒールって飛ばせないんですか?」

「ああ、普通はどっか相手に触ってないと効かねぇな」


 ほえ~。そうなんだ……

 あれ?じゃあなんで私は飛ばせたんだろう?


「あ、そうそう。その件も含めて、団長が詳しく話を聞きたいって言ってたのよね。どうしようか……」

「連れてくのは無理だな。このちっこい嬢ちゃんはまだ本調子じゃねぇ。団長に、話が聞きてぇならこっちに来いって言っとけ」

「でも魔の氾濫が始まりそうだから、しばらく執務室から出れないと思うわよ。ユーリちゃんが回復するまで待ってもらうしかないわね」

「まあ、あと1日寝てりゃ治るだろ」

「了解。後で団長にそう伝えておくわ」


 アマンダさんたちは、ちょっと残念そうに会話を終わらせた。

 な……なんか気を遣わせちゃって申し訳ないな。


「あ……あのぅ……話しに行くくらいならできると思うんですけど……」

「でもまだ体調が戻ってないんじゃない?」

「だいじょぶです!」


 ムンと力こぶを作ってみせたら、クラっとした。

 あう……調子乗り過ぎた。


「う~ん。でも正直俺も、お嬢ちゃんの話は早く聞きてぇしなぁ。よし、俺が連れてってやる」


 そう言うなり、フランクさんは私を抱き上げた。

 ファンタジーの王道のお姫様抱っこ……じゃなく、なんか太い腕の上に座らされてますよ???


 え?いくらちびっこって言っても、片手で抱き上げられるものなの?

 しかもこの人、神官さんだよ?!


 あれぇ?エリュシアオンラインって格闘ゲーだったっけ……?


「ほんっと、フランクって非常識な筋肉してるわよね」


 私を乗せてる腕を見て言うアマンダさんの言葉に、疑問が浮かぶ。


「アマンダさんは筋肉が好きなんじゃないでしたっけ?」

「好きだけど、ほどよい色気のある筋肉が好きなのよ。こんな筋肉ダルマじゃないわ」


 ほどよい色気のある筋肉ってどんなのだろう。想像がつかないんだけど。


「筋肉ダルマで悪かったな、おい」

「しかもこの人、ゴブリンくらいなら素手で倒せるのよ。回復よりもゴブリン殴ってる方が生き生きしてるって、職業の選択を間違えたんじゃないのかしらね」

「いざってぇ時にパーッっと回復するのが格好良いんじゃねえか。男のロマンだよ、ロマン。それにちっこいカスリ傷なんざ、一々ちんたら治してられっかよ。それよりさっくり敵を殲滅しといて、味方は後でまとめて回復した方が効率がいいだろ」


 うわーーー。これが噂の脳筋さんってやつかな。

 しかも神官とか……

 リアルで見るとこんな感じなんだ。


 う~ん。まあ本人は楽しそうだからいいのかな……?



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