11/12
あんな日々は帰って来ない
1年が経った。
結局門番は私がなることになった。
そして、私には、扉を自由に開ける権限が与えられた。
これで、いつでも向こうの世界へと行くことができるし、こちらへ戻ってくることもできる。
1日に1回、わずかに開けて、地表に雨を降らせるという役目も、私は担っていた。
こうして、今日も私は櫂をさし入れて、静かに船を進めていく。
今までと一つ違うのはその扉の操作だけだ。
「よいしょっと」
雨となるための水を、ほんのちょっと開けれるように改造した扉から流す。
ゼウスさんに頼みこんで、わざわざ最小限の扉を設置してもらって、そこを開け閉めすることで、水量を調節できるようになった。
スイッチ一つひねるだけで、水は勢いよく流れていく。
水だけが流れるように、ネットも張っているから、魚とかは流れる心配はないだろう。
でも、私は水の流れに娘さんたちの幸せを込めている。
彼女たちだけでなく、全ての人たちが、できる限り幸せであるようにとも。




