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始まりの港
かれらは、知っていた…。
それなのに乗せてしまった…。
黒のヒトがいる。
大きな船には、黒のヒトがすんでいる。
鳥なヒトがいた。
大きな船には、鳥なヒトがすんでいた。
黒のヒトは、鳥なヒトがつれてきてしまった…。
鳥なヒトに、黒のヒトがついてきてしまった…。
船長がのせてしまった…船のジュウミン達がソレを許してしまった…本当は…駄目なのに…。
小さな港の小さな倉庫に、黒のヒトがいたらしい。
その倉庫は、大きな船にのせるニモツを保管する為の場所。
鳥なヒトは、船を降りて倉庫の中に入ってしまった…。
鳥なヒトは、黒のヒトをつれてきてしまった…もう船には空き室なんてないのに …。
船長が乗せてしまった…船のジュウミン達が許してしまった…もう、空き室がないのに…知っていたのに…船の掟を…。
黒のヒトは言った。
『ボクはいいよ…切符がないんだ…』
鳥なヒトは言った。
『私の切符を君に《贈ろう》其ならば乗れるだろう?』
黒のヒトは、乗ってしまった…一枚しかないのに…。
船長は乗せてしまった…ジュウミン達は許してしまった…知っていたのに…。
かれらは、知っていた…。
船の掟を…。