123_王妃の悲しみ
元の話に加筆修正しています。
「イーダとその家族はは領地に向かったと。」
はいと済まなそうに祖国から付いてきた侍女が頭を下げる。
「王都に残ったのは公爵様と嫡男だけです。」
「学園が始まれば、嫡男は寮に、公爵様も合わせて領地に戻られるでしょう。」
「・・・そう・・・」
「こちらが先程届いた返書です。」
そう言って、侍女の差し出す封書を読み、ため息を吐いた。
その封書には責める言葉は無く、王妃に対する感謝が綴られている。
そのことが余計辛かった。
「あの者達、何度やらかせば気が済むのかしら。
ここは祖国ではないと言うのに。」
王妃の言葉に周りにいるものは辛そうに頷く。
王妃の祖国はこの大陸の中で東西を含めて、大きい方だ。
が、国が拡大方向にあったのは100年以上前の話。
今は周辺が離反しないように必死に抑え込んでいる状態だ。
増え過ぎた貴族、特に皇都にいる政争に明け暮れる中央貴族は周りが見えていない。
領地を持たない官僚を中心とした中央貴族は周りを陥れることのみに注力し、皇帝はとうの昔に後宮に押し込められた籠の鳥だ。
それを打ち破るために動いた先代の皇帝である祖父と父に現皇帝の弟は徹底した実力主義を敷いた。
貴族と言えど試験に合格しなければ官職に付けず、官職についても定期的に査察を行い相応しくないものは罷免していく。
罷免の対象は貴族も平民も問わず平等に。
財政難を理由に重複した職は淘汰し、皇都の官職の数も大幅に削減した。
その恨みを買って王妃が幼い時に祖父は志半ばで暗殺されている。
20年前、皇都での官職の淘汰は既に始まっていた。
そこで王妃の輿入れに合わせて行き場のない貴族の子弟が新天地を求めてやってきたのだ。
彼等彼女等はここで仕事を求めたが言葉も分からない習慣も知らない者達に出来る仕事はない。
自分達は優秀だと信じていただけにショックは大きかったのだろう。
皇都では外国人は皆皇国語を話していたので言葉が通じると思い込んでいたと言うのだから王妃やその配下に言わせれば呆れた話だ。
これまで色々なやらかしもあって皇国から来た者達は大きく数を減らし、今残っているのはこの国に順応した者達だけたと思っていたがまだ甘かったらしい。
こちらに居るものを頼って皇国からやってくるものが後を絶たない。
「王女に付いている者達、出身もこの一件の関わりの有無を問わず罷免しなさい。」
「良いのですか?」
「ええ、あの子はもう16歳、王族とはどういうものか上の二人を見ていれば分かる筈です。
手本があるのに学ばず、公爵家にさらなる迷惑を掛ける振る舞いをするものなど不要。
あの者に免じてここに置いてきましたが修道院に送ります。」
「嫌だと言ったら?」
「そうですね。ならば選択肢を与えましょう。」
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「なんで私が修道院に行かねばならないのですか!」
案の定、王女は抵抗した。
「あの者達が勝手にしたこと。私は何も知りません!」
それでも責任を取らねばならないのが上に立つ者の責務。
それが分かっていない以上、ここに置いておく訳にはいかない。
王妃の手の者が荷造りを進める中、責任者を務める侍女は言った。
「王妃殿下よりお言葉を預かっております。」
修道院に行かないと言うなら皇国に送る。
好きな方を選べと言う言葉に王女は皇国に行くと答えた。
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「皇国に行くことを選択しましたか・・・」
王妃は挨拶もなく出ていく馬車を窓から眺めている。
王女に仕えていた皇国出身の殆どは王女に同行した。
彼等の親達は誰も同行することを選択しなかったにも関わらず・・・
「祖国に戻れば王族として扱われると思っているのでしょうね。」
侍女の言葉には嘲りの成分が含まれている。
彼女に王家の血が入っていないことは皇国側も知っている。
ここに残されたのは影武者を務め献身的に仕えてきた乳母に免じてのこと。
皇国に戻れば良くて修道院行きだと言うことを分かっていないのだろう。
彼女に付き従うものも同様である。
この国の修道院に行く。
それが一番ましな未来であったことを王女は知らない。
閲覧、有難うございます。
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この世界では共通語は特になく、あえて言うと花の部族の言葉がそれに近いです。
※伝説の時代、各地の王に花の部族の姫が嫁いだので古語として王族や高位貴族達は使えます。
平民は下位貴族派はその土地の言葉を使います。
学園では語学は数が多く、教育に大きなウェートを占めてます。




