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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第1章:愛は知りまへんけど、対価はキッチリいただきます。 ~追放令嬢の損得勘定~
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「これは泥やない、やりがいや」――元刺客、帝国軍にブラック労働を説く

 「突撃ィッ!!」  


 帝国軍隊長の怒号と共に、数百の重装騎馬が地響きを立てて駆け出した。狙いは、生意気な口を叩く令嬢一人。だが、エリザベスは逃げるどころか、ストップウォッチを片手に満面の笑みで指揮を執っていた。


「はい、角度ええ感じ! そのままのスピードで、あっちのくいが打ってある場所までノンストップで走り抜けなはれ!」


 帝国軍が駆け抜けた後には、カシムが「慈愛」の心で設置しておいた落とし穴……もとい、絶妙な「地盤改良用の溝」が待っていた。次々と馬が足を取られ、勢い余った重装騎兵たちが地面に激突する。


「ぐわっ!?」


「なんだ、この地面の凹凸おうとつは!」


「お疲れさん! ちょうどそこ、地固めしてほしかったんや。あんたらのよろいの重さ、ええ仕事するわぁ。手作業やったら何日かかるか分からん作業が、たった一回の突撃サービスで終わってもうた」


 エリがパチパチと拍手する。怒り狂った隊長が泥まみれで立ち上がり、剣を突きつけた。


「貴様ぁ! 帝国最高の軍勢を、あろうことか『土木用のローラー』扱いするかぁ!」


「扱いするか、やなくて、実際そうなってるんやからしゃあないやん。……あんちゃん、冷静に考え。今あんたらが通った道、めっちゃ綺麗きれいに踏み固められてるで? これで資材運搬の馬車がスムーズに通れるわ。おおきに!」


「ふざけるな! 全員、この小娘を切り刻め!」


 殺気立つ帝国兵たち。だが、彼らの行く手をさえぎるように、一人の男が立ち塞がった。元刺客のリーダー。今は「現場主任」の腕章(エリの手作り)を巻いた男だ。


「……よせ。お前らの気持ちは分かる。俺たちも最初はそうだった」


「なんだ、貴様は……。まさか王家の刺客か!? なぜそんな泥まみれの格好で……!」


「これは泥じゃねぇ……『やりがい』っていう勲章くんしょうだ。……いいか、このお嬢様に逆らうのはやめとけ。俺たちが一日中耕した後に飲む『水一杯』の味を知ったら、もう戦場いくさばになんて戻れなくなるぞ」


 刺客たちの虚無の、それでいて悟りを開いたような瞳。その異様な光景に、帝国兵たちがたじろぐ。


「カシム、あんちゃんらの馬、回収しといて。あんなええエンジン(馬)、戦わせたらもったいない。これからは物流のかなめとして、第二の人生歩んでもらうから」


「承知いたしました。エリザベス様。戦うためではなく、運ぶために生まれた馬……。これぞ『平和の運び手』。なんと尊いお考えか……!」


 カシムが神々しいオーラを放ちながら、帝国軍の馬を次々と「差し押さえ」ていく。


「……さて。あんちゃんら、馬もなくなったし、帰る足もないな? ウチ、ちょうど『道路工事の第二工区』の人手欲しかったんや。……サイン、しはる? それとも、そのまま荒野のゴミになる?」


 エリの手には、またしてもイチゴの汁(朱肉代わり)と契約書が握られていた。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


 もし「その契約書、逃げられへんやつや!」あるいは「現場主任、新人の教育頼んだで!」と思われましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】で応援をよろしくお願いします。


 皆様の応援(投資)が、エリザベスのソロバンをさらに激しくはじかせ、物語を爆走させるエネルギーになります!

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