帝国軍の精鋭騎馬隊? ちゃうわ、タダで使える「高性能トラクター」や!
王都へ命からがら逃げ帰ったバロンは、アルベルト王子の前でガタガタと震えながら報告していた。
「で、殿下……! エリザベスは狂っております! あ、あ奴、王家が放った凄腕の刺客たちを、あろうことか『笑顔で泥まみれ』にして働かせていたのです!」
「……何だと? 洗脳でもされたというのか」
「いえ、もっと恐ろしいものです! 彼らは『水のおかわり』を求めて、泣きながら地面を耕しておりました……! あれはもはや人間ではありません。エリザベス専用の『家畜』です!」
その報告を聞いて、アルベルトは冷や汗を流した。だが、そこにさらなる凶報が飛び込む。隣接する軍事国家・インスパイア帝国が、資源の噂を聞きつけ、精鋭騎馬隊を差し向けたというのだ。
「フン、ちょうどいい。エリザベスを帝国に始末させ、我々は後からその資源を回収すればいいのだ」
――そんな王子の皮算用など露知らず、ナニワ領には地響きと共に、鋼鉄の鎧に身を包んだ帝国軍・重装騎馬隊が現れていた。
「……来た! エリザベス様、今度こそ本物の脅威です! 帝国の『鋼鉄の蹄』……大地を粉砕する破壊の軍勢です!」
カシムが悲壮な決意で剣を構える。だが、エリは日傘を投げ捨て、身を乗り出して帝国軍を凝視した。
「……カシム、あんた今『大地を粉砕する』言うたな?」
「は、はい! 彼らが通った後は、ペンペン草も残らないほど踏み荒らされると……」
「最高やんけ……! 見てみぃ、あの重そうな鎧、あの立派な馬の脚! あれ一騎で、クワを持った人間十人分以上の『耕す能力』あるで!」
エリの瞳が金貨のマーク……もとい、黄金色に輝く。
「わぁ……見てカシム! 今度は『自走式・大型重機(馬付き)』が、向こうから勝手にやってきたわ! しかもフル装備やん、中古で買おうと思たら数億は下らんで!」
「……えっ? じゅ、重機?」
「あんなええもん、戦なんかに使うたらもったいないわ! おい、帝国のあんちゃんら! そこ、そのまま真っ直ぐ突撃してきなはれ! ちょうどそこ、地盤が固くて困ってたんや!」
帝国軍の隊長が、抜剣して咆哮する。
「死ね! 小娘! 我らが蹄で、貴様の野望ごと踏み潰してくれるわ!」
最後までお読みいただき、ありがとうございました!




