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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第1章:愛は知りまへんけど、対価はキッチリいただきます。 ~追放令嬢の損得勘定~
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王家へ献上? アホ抜かせ。相場の『十倍』で売りつけたるわ!

 エリが発見した『燃焼石』。それは、ただの石炭とは比較にならないほどの高火力を、極めて長時間維持する魔法の燃料だった。この資源の恐ろしいところは、エリの領地にだけ、地表近くにゴロゴロ転がっているという点だ。


(……よし。王都の方では、ちょうど『冬の燃料独占ギルド』がストライキ起こして、暖房用のまき枯渇こかつしとる頃やな。……勝機チャンスや!)


 エリは、泥まみれの元刺客たちに「お疲れさん、これボーナスの『塩飴しおあめ』や。次はこれをもっと掘って、綺麗きれいに箱詰めしなはれ」と指示を出す。



数日後。

荒野の入り口に、豪華な意匠いしょうを施した一台の馬車がやってきた。


 降りてきたのは、王子の側近であり、会計官を務める気取り屋の男、バロンだった。


「……ひどい砂埃すなぼこりだ。おい、そこの公爵令嬢! エリザベス!」


「やかましいわ。ウチの敷地内で大声出さんといて。……で、なんの御用? まさか借金の返済に来たん?」


 エリが鼻をほじる勢いで現れると、バロンは屈辱に顔を歪ませながらも、本題を切り出した。


「ふん、相変わらず下品な女だ。……閣下から聞き及んでいる。ここで『燃える石』が見つかったそうだな? 王都が燃料不足で困っている。慈悲として、その石をすべて王家に献上しろ」


献上けんじょう? あんた、頭の中にハトでも飼うてるんか?」


 エリは耳を疑った。


「これはウチの私有地の資産や。タダでやるわけないやろ。……売ったげてもええけど、今の相場の『十倍』やな。あ、それと送料・梱包費こんぽうひ・王都への越境えっきょう手数料は別やで」


「じゅう……十倍だと!? 正気か! そんなの暴利だ!」


「嫌なら買わんでええよ。ウチ、『一見いちげんさんお断り』がモットーやねん。今までウチをないがしろにしてきた王家が、困った時だけ顔出すなんて、商売の筋が通らんわ。お引き取り願えます?」


 バロンが激昂げきこうして剣を抜こうとした瞬間、背後にいたカシムが、音もなく彼の喉元のどもとに剣先を突きつけた。


「……エリザベス様は、『正当な対価を払えない不心得者とは取引しない』と仰っているのだ。これぞ公正なる騎士道……! 恥を知れ、バロン!」


「なっ……カシム!? 貴様、なぜこの女の肩を――」


「お帰りなはれ。……あ、どうしても欲しいんやったら、あっちの『キャンセル待ち・待機列』に並びなはれ。先客は、隣国の商人や。あんたらの番が来るのは、たぶん来年の春ごろやと思うけどな?」


 エリが指差した先には、何もない荒野が広がっているだけ。つまり、売る気はゼロ。絶望の表情で去っていくバロンを見送りながら、エリはニヤリと笑った。


(……ええ感じや。飢えさせれば飢えさせるほど、価値は上がる。次に来る時は、土下座して白紙の小切手持ってくるまで待ったるわ!)

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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