表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第1章:愛は知りまへんけど、対価はキッチリいただきます。 ~追放令嬢の損得勘定~
5/14

刺客やと思てたら、タダで使える「派遣スタッフ」が来たわ

 荒野に一本の線を引いた翌朝。カシムが「せめて風除けのシェルターを」と、騎士の誇りをかけて大きな岩を運んでいた時のことだ。


 地平線の彼方から、砂煙を上げて数騎の馬が迫ってきた。見るからに柄の悪い、黒ずくめの男たち。腰には抜き身の剣が鈍く光っている。


「エリザベス様、下がってください! 王家の放った刺客です!」


 カシムが剣を抜き、悲壮な覚悟で前に出る。だが、その後ろで朝食のパンをかじっていたエリは、パッと目を輝かせた。


(……来た! 待ちに待った『自走式・労働資源』やんか!)


「エリザベス様……覚悟を決めてください。多勢に無勢、せめて私一人が盾となり――」


「カシム、あんた何言うてんねん。盾なんかになられたら、資産が傷つくやろ。……おい、そこの黒ずくめのあんちゃんら! 止まりなはれ!」


 エリが馬車の前に躍り出た。急停止した刺客のリーダー格が、冷笑を浮かべる。


「ほう、命乞いか? 公爵令嬢。……お前を殺せば、俺たちは一生遊んで暮らせる報酬が手に入るんでな」


「一生遊んで暮らせる? どこにそんな金あんねん。そもそも王家、ウチの家への借金を踏み倒そうとしてるくらい火の車やんか。そんな『不渡り手形』みたいな報酬信じて、この炎天下に馬走らせたん? 損害賠償もんやで、それは」


 エリの正論パンチに、刺客が「え……?」と毒気を抜かれる。


「ええか、あんちゃん。その報酬、たぶん振り込まれへんわ。それよりウチ、今ちょうど『人手』探してんねん。あんたらのそのガタイ、岩運ぶのに最高やん」


「な、何を……俺たちは刺客だぞ! 殺し屋だ!」


「殺し屋? 効率悪いわぁ。人間、殺したら一回きりの利益やん。でもな、体を動かして働いたら『継続利益サブスク』やねんで? あんた、どっちが賢いかソロバン弾いてみぃ」


 エリはふところから、一晩で書き上げた『臨時雇用(強制)契約書』をバサリと広げた。


「罪人として突き出されたいんか、ここでウチの直轄スタッフとして『更生』したいんか。……ちなみに、断る権利はないで。ウチの騎士カシム、これでも腕だけは一流やから、逃げようとしたらあし一本くらいは『担保』としてもらうけど?」


 エリの背後で、カシムが凄まじいプレッシャーを放つ。彼は彼で、「エリザベス様は、極悪非道な彼らにさえ更生の機会を与えようとなさっている……! なんという慈愛!」と、本日三度目ぐらいの勘違い(高潔)を爆発させていた。


「……さあ、はん押しなはれ。朱肉しゅにくがないなら、そこらへんのイチゴの汁でもええから」


 震える手で契約書にサインをする刺客たち。こうして、ナニワ領に「第一期・土木工事作業員」が誕生した。


(……よし、人件費は食費のみ(タダ)。初期投資ゼロ。これぞナニワの商売道や!)

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ