【悲報】聖女、新ルートのイケメンに『極上の商品』として検品される
「……だ、誰……?」
セレスティーヌが涙を拭い、顔を上げる。逆光の中に立っていたのは、眩いばかりの純白のコートを羽織った青年だった。アルベルトのような「過去の栄光」ではない。今まさにこの世界で富と権力を握っている者だけが放つ、圧倒的なオーラ。
「僕はレオンハルト。自由貿易同盟の特使です。……ひどいものだ。神に愛された貴女が、あんな『帳簿の魔女』が作った汚物の中で泣いているなんて」
レオンハルトは躊躇なく地面に膝をつくと、セレスティーヌの汚れた手をすくい上げ、恭しく口づけた。
「ドレスが汚れるのも構わず、友を救おうとするその高潔さ。……貴女こそ、僕が探し求めていた『真の聖女』だ」
「あ、ありがとうございます……。レオンハルト様……」
(新ルートが実装されたのかしら? もしかして、運営の演出なら、すっかり騙されたわ)
セレスティーヌの胸が高鳴る。アルベルトには拒絶されたが、ここにもう一人、ゲームにはいなかった(あるいは隠しキャラだった)超絶イケメンが存在していた。しかも、彼はエリザベスを「魔女」と呼び、明確に敵対している。
「レオンハルト様……。エリザベスをやっつけて、王子様を救い出してくれるの?」
「ええ、もちろんです。あんな女に、この美しい世界のすべてを支配させておくわけにはいかない。……ですが、今の貴女はあまりにも無防備だ」
レオンハルトは馬車を呼び寄せると、扉を開いて彼女を促した。
「まずはその汚れを落とし、失われた『聖女の輝き』を取り戻しましょう。僕には、貴女を輝かせるための『投資』を惜しむつもりはありませんから」
馬車の中で、レオンハルトはワインを傾けながら、優しく微笑む。
「……セレスティーヌ。君にプレゼントがあります。真の聖女であることを世に示すための、伝説の装備です」
レオンハルトは慈しむ眼差しを向け、彼女の髪をそっと撫でた。だが、その指先は恋人に触れる熱を帯びたものではない。髪の質感を確かめ、価値を品定めする――まるで、極上の商品を検品するかのような手つきだった。
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